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写真の「段」をなるべくわかりやすく解説してみる。

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写真の段をなるべくわかりやすく解説してみる

みなさんこんにちは。突然ですが「段」の話です。

カメラをやっていると、けっこうよく見かけるのがこの「段」『手ブレ補正効果4段分』とか『3段分減光できるNDフィルター』とかいうの見た経験ありませんか?

「段」ってなにかしら?と調べてみると、やたら数字の羅列を延々見せられてしまい、僕のような文系人間としてはそっ閉じしてしまう今日このごろ。いやいやいや。こんなんではいかん、ちょっと「段」ともっと向き合おう。

というわけで、みんなイマイチわからない「段」のことをなるべくわかりやすく説明してみます。



「段」はむずかしい?

難しければすっとばす

まず、一度深呼吸してみましょう。とりあえずですね、写真を撮っていて「段」が気になる場面というのは実はあんまりありません。僕自身、この記事書くにあたって久しぶり思い出したくらいです。

なので、知らなければ知らないで、写真撮れたりするもんです。最近はシャッター押せば勝手に写りますからね。

昔のマニュアルしかないような時代は知っておかないとまともに撮れなかったでしょうが、今は文明の利器にまかせておけばよかったりします。文明が進歩してよかったですね。

だから、なにこれ小難しい!こんなの覚えないと写真撮れないの、トホホなんて思わなくても大丈夫です。難しくてさげぽよになるくらいなら、無視して好きなように撮りましょう。

知っておくと、ちょっと役にたつことがある

それでも、世界にはムダな知識なんてありません。やたらとややこしい、「段」のことを知っておけば、もしかしたらちょこっと役にたつ日がくるかもしれません。

あと、パッと見、やたらややこしそうな気がするんですが、言ってることはなんも難しくないのです。ただ、説明しようと思うとやたらややこしくなるのです。

ということで、なるべくわかりやすく説明しますが、わかんねえなと思ったら適宜すっとばしながら、読み進めていきましょう。大事なところはココ大事!って言うのでそこらへんだけ覚えてください。

ではいきましょう。



「段」は明るい、暗いのモノサシ

露出補正ボタン

いちばんわかりやすいところからいきましょう。

カメラには露出補正のボタンがついていますよね?これを使うと、写真が明るくなったり暗くなったりしますよね。

段 EV

んで、例えば+1.0にするとけっこう明るくなります。この1.0、これが「1段」なんです。露出補正をマイナスにすると暗くなりますよね?そのマイナス1.0も「1段」

露出補正

この値が適当だと使いにくいので「これくらい明るさが変わる時が1段」というふうに決まってるんですね。1段明るい、1段暗い。ね?簡単でしょ?

この明るさの変化の量を「段」と呼ぶんです。とりあえず今日の一番大事なところがここです。

「段」というのは、明るさという曖昧なもののモノサシとなる目盛のことを言うんですね。

じゃあ、この1段分の明るさの変化って、どれくらいの明るさかというと

  • 1段あげると光の入る量が倍
  • 1段さげると光の入る量が半分

という基準になっています。

もう、だいたいわかってきましたね。たくさん光が入ると写真は明るくなるし、光が少ないと写真は暗いですよね。なるほど、なるほど。

露出補正

最近のカメラはほとんど露出補正が1/3刻みになっていると思います。+0.3、+0.7、+1.0みたいに。となると、これも簡単。

「+1/3段」といったら露出補正が+0.3のことをいうわけです。「+2/3段」といったら+0.7です。このへんは分数と数字が若干ちがうのですが、あんまり細かいことを言ってるとモテないのでさらっとこういうものだと理解しましょう。

露出補正ボタンはオートモードのときに使う

さて、この露出補正ボタンというのは、オートモードのときに使います。PとかAとかSとかありますよね。この場合、カメラ側が自動で調整して、明るくしたり暗くしたりしてくれます

これを自分でやるのがマニュアル(M)モードですね。カメラがだいぶ賢くなった昨今、オートモードにまかせておけばほとんど平気なんですが、それでもマニュアルモードで撮影する場面というのはやっぱりあります。

この時に、「段」を理解しておくとかなり便利なわけです。というか、昔はマニュアルだし、フィルムだしで撮った写真は蓋をあけてみないとどう写ってるか分かりません。だから「段」をきちんと理解してないときちんと写真が撮れなかったのです。

さてさて。そうなるとちょっと疑問が。

例えば、絞りを1段、とかシャッタースピードを1段、みたいに書かれているのを見たことありませんか?明るさのことを言ってるのに絞りが1段?

さらにさらに、手ぶれ補正とかの説明に書いてある『手ぶれ補正4段分』とかってちょっと意味がわからないですよね?手ブレの補正4段?

これ、もうちょっとつっこんで理解してみるとけっこう簡単なのでもう少し読み進めてみましょう。



露出(明るさ)は「絞り・シャッタースピード・ISO」で決まる

絞り・シャッタースピード・ISO

写真の明るい暗いというのは、光がセンサーにどれくらいあたったかで決まります。詳しくはこちらに書いているので、いまいちわかってない人はちょっと参考にしてみてください。

[blogcard url=”https://logcamera.com/roshutu/″]

んでもって、さっき1段分というのは光が入る量が倍とか半分とか言ってましたよね。じゃあ、この光が入る量を倍にしたり半分にしたりするのはどうしたらいいのか?

これは絞りとシャッタースピードを変えたらいいんですね。

  • 絞りを開けばたくさん光が入り、絞れば少ししか光が入らない
  • シャッタースピードを長くすればたくさん光をセンサーに当てることができ、短くすれば少ししかセンサーに光があたらない

となるわけです。実際やってみるとわかりやすいので、マニュアルモードにしていろいろ弄ってみてください。明るくなったり暗くなったりするのが分かると思います。

写真の露出を変えるのに、ISO感度を変える方法もありますが、これはスピーカーのように入ってきた光を増幅させています。これも露出をコントロールする手段のひとつです。

いまいちピントきてない人はこちらに詳しく書いてるのでまずはちょっと見てみましょう。

[blogcard url=”https://logcamera.com/a-s-iso/″]

絞り・シャッタースピード・ISOでも1段分、と言う

光の入る量が倍になると1段明るい、といいました。

さて、じゃあ実際に1段明るくするための露出はどういじればいいのか?露出補正というのはオートモード(AとかSとかですね)の時に使うんですが、マニュアルで実際に自分で露出を1段変えてみましょう。

シャッタースピード

一番わかりやすいのはシャッタースピードです。例えば今のシャッタースピードが1秒だとしましょう。それを1段明るくするには?そう、2秒にすればいいんですセンサーに2倍の光を当てることができます。

1段暗くするには?もうわかりますよね、そう、1/2です。

シャッタースピードは単純に時間の長さなので直感的にわかりやすいと思います。

ISO感度

ISO感度も簡単です。ISO200の状態から1段明るくするにはISOを400にしてやればいいです。ISOの値が2倍になると、光を2倍増幅させることになります。

1段暗くする場合は半分のISO100にしてやればいいですね。

f値

f値はちょっとややこしいのです。そもそもf値というのは「レンズの焦点距離を有効口径で割った値」というややこしい値のことをいいます。ただ、ちょっとむずかしいので今回はすっとばしましょう。こういうときは暗記です。

f値の場合は「1.4」「2」「2.8」「4」「5.6」「8」「11」「16」「22…」というのが1段分になります。例えばf4の時、1段明るくしたかったらf2.8に、1段暗くしたかったらf5.6にすればいいわけです。

覚え方のコツとしては「1.4を2倍」「2を2倍」の数字が交互になっています。

なにかのダイヤルを上げたら、他を下げることで同じ露出を維持できる

さて、もう1個、今日覚えておいていただきたい大事なことをちょっと書いときましょう

それは「何かをひとつ上げたら、他をひとつ下げることで同じ露出を維持できる」ということ。これ当たり前のようなことを言ってますがけっこう大事なのでしっかり読んでくださいね。

例えばシャッタースピードを1/1000で撮りたい被写体があります。けれど、明るさが足りないので1/500まで落とさないと暗くなってしまうとしましょう。でも、1/1000じゃないとブレちゃう。そういう時どうするか?

f値を1段上げてやればいいわけです。

ISO f SS

絞り・シャッタースピード(SS)・ISOの3つで明るさは決まります。このグラフだと縦の長さが明るさだと思ってください。シャッタースピード(SS)を1段早くすると、露出も1段下がるので、グラフが短くなる=暗くなってしまいます。これではちゃんとした明るさになりませんね(適正露出が得られない)

1段下げた分、今度は絞りを1段多く開けてみましょう。そうすると絞りとSSのバランスは変わりますが、露出は同じになるのがわかります

これ、例えば絞りを上げなくてもISOを1段あげてもいいわけです。

この明るさの量が「段」で決まっているから、明るさを維持したまま、いろいろ設定を変えられるんです。だから、「段」を理解しておくと便利なんですね。ココ大事です。

1段だと変化が大きすぎるので、最近のカメラは1/3段ごとに調整できるようになってます。これも、f値・シャッタースピード・ISOがそれぞれ1/3段ごとにコントロールできるようになってます。ダイヤルをひとつ動かせば1/3段ぶん、変化させることができるんですね。

なので、SSを1ダイヤル分(1/3段)下げた場合、絞りやISOを1ダイヤル上げてやると、同じ明るさのまま設定を変更できます。

明るさを維持したまま「ボケ・ブレ・ノイズ」をコントロールする

露出をあげると露出を下げると
絞りボケるボケなくなる
シャッタースピード動きがブレる動きが止まる
ISOノイズが多くなるノイズが少なくなる

さて、では何で露出を維持したままこれらの値がコントロールできると便利なんでしょう?それは明るさを決定する「絞り・シャッタースピード・ISO」が別々の特性をもっているからなんです。

  • 絞りを明るく(f値を小さく)すると、写真がボケ、暗く(f値を小さく)するとボケが少なくなります。
  • シャッタースピードは明るく(SSを長く)すると被写体がブレ、暗くすると(SSを短く)すると被写体を止めて撮影できます。
  • ISOは明るくすればするほどノイズが出てきてしまいます。

絞りを開けて写す

例えばこのように奥がボケている写真。後ろにダンボーがいるのでボカしたくない、というときは絞りを1段ぶん絞ってみるわけです。

絞ってシャッタースピードを早くしたら暗い

絞りを1段絞ったら暗くなってしまいました。これわかりますよね?1段絞ると光の量が半分になるので、写真が暗くなります。じゃあ、今度はシャッタースピードのダイヤルを同じだけ動かして露出を合わせてみます。

シャッタースピードを遅くして写す

今度はシャッタースピードが1段ぶん遅くなったので機関車がブレてしまいましたね。機関車も止めて、ダンボーもボケずに写したい、となると今度はISOを1段ぶん上げる、といことになりますね。

どうですか?「段」を理解しておくと、このように「適正露出(自分の思っている明るさ)」のまま「自分が思っている写真」にすることができるんです



「段」はモノサシなのでいろんなところに使う

ものさし

そろそろ、「段」のことがわかってきましたか?

「段」は明るさのモノサシなので、例えば絞りを1段分開けるとか、シャッタースピードを1段分下げるとか言うわけですね。もっと省略して1段開ける、1段絞るなどと言うわけです。

手ぶれ補正

さて、そうしたらそろそろ、最初に質問した「手ぶれ補正3段分」なんてのも分かるんではないですか?どうですか?

手ぶれ補正というのは、手で持って写真を撮るとどうしても発生する手ブレを抑えてくれる非常に便利な機能

手ブレというのはだいたい「1/焦点距離」秒から発生すると言われます。例えば200mmのレンズだと「1/200秒」です。

けれど、どうしても「1/25秒」じゃないと適正露出が得られない時があるでしょ。でも「1/25秒」じゃ手ブレしちゃう。そういう時、手ブレ補正3段分の効果のあるレンズやカメラを使うと

1/25→1/50→1/100→1/200

わかりますよね?シャッタースピードを倍にしているのが3回なんで3段分です

3段分の手ブレ補正というのは1/25秒のシャッタースピードだけど1/200秒で撮るくらいの手ブレを補正するよ、ということなんです。

NDフィルター

NiSi NDフィルター

NDフィルターなんかも一緒ですね。例えばND64だと6段分の減光ができます。これがどういうことかというと、光の量を6段分減らすことができるということ。

となると、例えば1秒で撮影していたものが、ND64をつけること

1→2→4→8→16→32→64秒

シャッタースピードが倍、が6回なので6段分。

と64秒までシャッタースピードを伸ばすことができるようになります。そうなると、例えば滝を白糸のように撮ったり、海をシュワシュワさせてりとかができるようになるですね。

このように、「段」を知っておくと、マニュアルで露出を決めたいときに、ある程度の計算ができるようになるわけです。

基本はオートモードで十分、だけどマニュアルのときに知っておくと便利

僕は文明の利器は最大限に享受したいタイプなので、ガンガンにオートモードで撮影します。好きなオートモードはAモードです。

ただ、ときにはマニュアルで撮影しなければいけないときがあるのです、星とかNDでの長時間露光とか。そういうときにざっくりとでも「段」を理解しておくと便利なんですね。

特に「何かのダイヤルを一つ上げたら、他のを下げると同じ露出のまま撮影できる」というのを覚えておくとチョー役にたちます。

写真の露出とボケ・ブレ・ノイズをきちんとコントロールすることで、自分のイメージどおりの写真が撮れるはずです。

「段」で覚えておくこと

段」は明るさのモノサシ

マニュアルで撮影するとき「段」を理解しておくと便利

1段上げるには光の量を2倍・1段下げるには光の量を半分

ダイヤルを1つあげたら、他を下げることで同じ明るさになる

光を思い通りにあやつりながら、ボケ・ブレ・ノイズをコントロールする

さてさて、いかがだったでしょうか?なんとなく「段」のことがわかってきましたか?

「段」のことを調べてみると、すぐ数字的なものがたくさん出てきて目がチカチカしてしまいますが、実際は明るさのことを言ってるだけなんですね。

ただ、この明るさのことを詳しく説明しようと思うとどうしても理系な話になってしまうんです。写真関係の話というのは往々にしてそういうことがよくあります。

その理系の話を知っておくと役に立つときがたまにはあるものの、結局シャッターを押せば写真は写るんで、まずはあんまり細かいことに気を取られすぎないようにしましょう。

なんとなくの理解でもたくさんカメラをいじって、明るさがどんなふうに変化してるのかを経験するほうがわかりやすいと思います。

まとめ

ということで、ちょっと小難しい「段」のお話でした。

知っておくと役に立つことがけっこうあるので、頭の片隅にでも入れておいてもらえると嬉しいです。

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