本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

どんなものでもキレイに写る魔法の時間!マジックアワーを逃さず撮影しよう!!

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石鎚山 夕焼け

どんな初心者だろうと、なんにも考えずに手っ取り早くきれいな写真が撮れる、魔法のような時間があります。それが今回紹介するマジックアワー

どんな時間帯でも写真は撮れますが、このマジックアワーは非常に撮影しやすく、多くの風景写真家は朝夕の2度しかないチャンスを狙って訪れることが多いのです。

そんなマジックアワーを解説します。

マジックアワー・ブルーアワーとは

マジックアワーというのは日の出、日の入りの太陽の位置によってだんだんと色が変わっていく時間帯のことをいいます。

マジックアワーでは時間帯によって目まぐるしく空の色が変化していきますが、その中でもゴールデンアワー・マジックアワー・ブルーアワーの大きく3つの時間帯に分けることができます。

太陽が地平線に朝出てくるのが「日の出」夕方落ちるのが「日の入」その時間を中心に前後10分をマジックアワー、マジックアワーより太陽が高い位置にある時間帯をゴールデンアワー、マジックアワーより太陽が低い位置にある時間帯をブルーアワーと呼びます。

このへんの呼び方や時間帯の定義はいろいろあるので、参考までに。

マジックアワーとは
  • ゴールデンアワー:マジックアワーよりも太陽が高い位置にある約20分くらいの時間帯
  • マジックアワー:日の出・日の入の前後10分くらい
  • ブルーアワー:マジックアワーよりも太陽が低い位置にある約20分くらいの時間帯

マジックアワー

出雲縁結び空港のひまわり

マジックアワーというのは、日の出・日の入り直前のほんの一瞬の時間帯のこと

この時間は空の状態にもよりますが、オレンジ、金色、赤、赤紫などの色に染まり非常にドラマチックな瞬間を撮影することができるのです。朝焼け、夕焼けはだいたい20〜30分くらい焼けてるのですが、そんななかでも太陽の位置によって実は目まぐるしく状況が変化していきます。

そして、本当にいい瞬間、いわゆるマジックアワーと呼ばれる瞬間は賞味5分くらいしかないといってもいいのではないでしょうか。

いかにこの瞬間を捉えるかが難しくもあり、楽しくもあります。

ゴールデンアワー

マジックアワーよりもまだ太陽が高い、約20分くらいの時間帯をゴールデンアワーと呼びます。

この時間帯は傾きはじめた太陽の光が徐々に金色になり地上を照らします。

空の色の鮮やかさはマジックアワーのほうが上ですが、一方で地上に光があたりにくく、コントラストがなくなっていきます。

ゴールデンアワーの時間帯では太陽光によるコントラストがしっかりあり、地上部にも彩度がのった写真が撮れます。

また、シルエットやフレアなどのテクニックを使った撮影にもおすすめな時間帯です。

ブルーアワー

醍醐桜 ライトアップ

日が登る直前や、沈んでしまったあと。昼と夜の境目。夜の真っ暗な時間が訪れるほんの一瞬の時間、世界は青く染まっています

この時間帯のことをブルーアワーといい、静かながら美しい瞬間を捉えることができます。夜景やライトアップなどと合わせると、また一段と美しく撮影できることでしょう。

こちらも日の出の前や、日没後のほんの数10分の時間帯になります。

初心者のころにマジックアワーやブルーアワーを撮れない理由

大山 鍵掛峠の夕景

マジックアワーは写真を撮るうえで「いちばんおいしい時間」なわけです。そして、そのチャンスは一日に2回もあります。けど、なぜか初心者の頃にはこのおいしい時間を撮らなかったりするんです。

これ、僕も経験があるのでよくわかるんですが、この時間帯って撮りに行くのに億劫な時間帯なんですよね。

朝早い

朝のマジックアワーを撮るためには、日の出前に撮影地に到着しておかなければいけません。近くの撮影スポットならまだいいんですが、例えば車で1時間くらいいくようなところ。んでもって、じゃあ日の出が6時だとしましょう。そうしたら、5時には起きて動き出さないといけません。いやいや、準備のことを考えたら4時おき?となかなかきつい。

んでもって、撮影スポットにつくじゃないですか。そしたら、もちろん真っ暗ですよ。だって日の出まえだもん。そんな中ヘッドライトつけて準備して、日の出を待ってるんです。下手したら一人で。

夜も遅い

朝はやいのはきつい。んじゃあ、夕方のマジックアワーを狙うか。となると、こんどは夕方の6時くらいですね。6時が日没っていってもマジックアワーからブルーアワーまで撮ってたらだいたい7時くらいですよ。もうね、7時になったら帰りたい。帰って一杯やりたい。あたりの家からはカレーの匂いだってしてくるわけです。明日は仕事なわけです。

奥さんからいつまで写真撮ってんの!ってお叱りの電話もかかってくるかもしれない。撮って慌てて帰って夜の8時や9時ですよ。

だからこそ、今よりちょっといい写真を撮りたいなら、マジックアワーを狙いましょう

経島の夕景

お昼に撮るのは気分的に楽チンです。人はお昼に行動するものです。けど、お昼にはほとんどおいしい時間ってないです。あったとしてもかなり難しい。僕はお昼は移動か仮眠の時間とわりきってます。それくらいお昼に撮るのは難しい。

この辺の意識が変わると、あなたの写真はだいぶ変わってくると思います。朝誰よりも早く撮影地に赴き、夜は誰よりも遅く撮っている。それだけで、今までよりもグッと写真が変わってくるはずです。

とはいえ、とはいえ。じゃあ、お昼に撮るのがダメかというとそうでもない。朝はやく、夜おそく、そんなめんどくさくてしんどい思いをしてて楽しくない、なんてことになったら本末転倒です。僕も基本的にはあんまり夜遅くなるのって嫌いですし、さっさと帰って一杯やりたいのです。

自分が楽しいと思えるくらいの範囲の中で、それでもマジックアワーというステキな時間に写真を撮ってみると、今までよりもちょっとキレイに撮れるし、そしたら楽しいかったりしますよ、というのが今回お伝えしたいことです。写真は楽しくが1番です。

各時間帯のマジックアワー・ブルーアワー

マジックアワー・ブルーアワーと一言でいっても、朝と夕の時間帯で若干雰囲気が変わってきます。日々いろんな朝、夕があるのであくまで一例ではありますが、各時間帯にどんな情景になり、どんな写真を狙えるのかちょっと見てみましょう。

朝のブルーアワー

坊ガツルの朝焼け

日の出のだいたい1時間くらい前から、だんだんと空が白み始めてきます。朝のブルーアワーは、太陽というものすごいエネルギーを持ったものが飛び出してくる寸前の、静かながら沸き立つような雰囲気が感じられます。

この時間帯というのは、夜に冷やされたものが太陽の熱に暖められる時間帯でもあるので、例えば朝霧や雲海など、夕方には見られないドラマチックな自然現象と出会うこともあるでしょう。

朝のマジックアワー

富士山 精進湖 朝焼け リフレクション

日の出前後の20〜30分が朝のマジックアワー。朝のマジックアワーはけっこう難かったりします。わりと焼けることもなくすーっとマジックアワーが終わってしまうことも度々。

ですが、ピンクに焼けるようなマジックアワーというのは朝ならではないでしょうか。

モルゲンロート

穂高連峰のモルゲンロート

朝の光が山肌をピンク色に染めることをモルゲンロートと言います。これもマジックアワーの時間帯の、山がもっとも美しい瞬間のひとつ。

夕方のマジックアワー

宍道湖の夕景

日没前後の20〜30分が夕方のマジックアワー。夕方のマジックアワーの特徴はとにかくゴージャスですね。金色やオレンジ、赤色に染まる風景はどう撮っても美しいものです。

日が沈む前に照らされる光景も美しいですが、日が沈みきった後にふわっと焼ける瞬間があり、これも逃さず撮っておきたい瞬間です。撮ったから帰ろう、と思って車に乗り込んだらめっちゃキレイになった、なんてのはあるあるネタです。

アーベントロート

石鎚山 夕焼け

モルゲンロートが朝なら、夕方に山が赤く染められることをアーベントロートと呼びます。この時間帯もまた非常にドラマチックで美しい瞬間。

夕方のブルーアワー

与一野のしだれ桜 ライトアップ

日没から約30〜40分くらい、空はゆっくり青く染まっていき、やがて夜の黒へと変わっていきます。日本語では薄暮と呼びますね。

夕方のブルーアワーの時間帯には街に明かりが灯りはじめています。また、時期によっては桜や紅葉などのライトアップをしてたりします。

こういう人工光と合わせて撮影するのに適した時間帯でもあります。

マジックアワー・ブルーアワーをキレイに撮るコツ

浜野浦の棚田 シルエット

マジックアワーはそれこそ魔法の時間なので、どう撮ったってきれいなんですが、それでもちょっと撮り方のコツを覚えておくといいですね。僕が撮る時に気をつけていることをいろいろ書いてみます。

あったらいい機材

明暗差に強いカメラ

夕焼け、朝焼けの時間帯は太陽が目線の高さにあるので案外まぶしかったりします。ということは明暗差ができやすい時間帯

カメラは人の目に比べ明暗差に弱いのですが、それでもできるだけ明暗差に強いカメラがあるといいです。

最近はスマホで撮ってもかなりキレイに撮れるようになりましたが、それでもこのマジックアワーやブルーアワーの時間帯は本格的なカメラの出番だと思います。

三脚

光の量は日中に比べて少なくなる時間帯。手持ちで撮ってもなんとかなるかもしれませんが、それでも三脚があると安心です。できればレリーズなんかもあるとさらにベター。

初心者からマニアまで!あなたにピッタリなおすすめの三脚の選び方!!

ハーフNDフィルター

マジックアワーの時間帯は空はまだ明るいのですが、地上部には光が少なくなっていきます。

明暗差が生まれ、どちらかが白飛びしたり黒つぶれしてしまうので露出に注意が必要。

ハーフNDフィルターがあれば地平線の部分から上の部分だけ暗くできるので、全体的に明暗差の少ない写真を撮ることができます。

カメラの設定

白飛びしないように露出を決める

マジックアワーの時間帯は空は明るいのですが、地上部分に日があまりあたっていないと明暗差が激しい状態になってしまいます。

まずは空が白飛びしないように露出を設定していきましょう。カメラの白飛び警告やヒストグラムもしっかり確認しておきます。

カメラのヒストグラムのてっとり早い見方と使いこなす方法!

多少暗いぐらいであれば現像のときに持ち上げることができるので、明るすぎる場合は露出補正をマイナスにして調整しましょう。

ただ、太陽を真正面に捉えているような場合には明暗差が激しすぎて黒つぶれしてしまうこともあります。

そんな場合はHDR合成を試してみてもいいでしょう。

【簡単3ステップ!】HDR合成を使って空を白飛びさせずにきれいに写す方法!!

ホワイトバランスをいろいろ変えてみる

ホワイトバランスはお好みのものでいいのですが、曇天を設定するとオレンジ色が強くなるのでよりマジックアワーの時間帯の赤い雰囲気が出ます。

虫明迫門の曙

蛍光灯にするとちょっと紫がかった色になるので、こちらも妖艶な雰囲気が出ておもしろかったりします。

RAWで撮影しておけば、後でいろいろと色も変えられるのでお好みのマジックアワーに仕上げていきましょう。

手ブレしないよう気をつける

太陽が沈みはじめると、光はどんどん弱くなっていってしまいます。ゴールデンアワーの時間くらいではなんともなかったのに、暗くなってシャッタースピードが長くなってしまい、いつの間にか手ブレしていたということもよくあります。

三脚を使えば、暗くなってシャッタースピードが遅くなっても大丈夫なので、日が沈みはじめたらできるだけ三脚を使うといいでしょう。

マジックアワーの撮り方

太陽の方を狙う

富士山ご来光まつ人

太陽を狙う場合は光が強く明暗差がハッキリ出るので、シルエットなどを狙うのに適しています。明暗差に強いカメラであれば、暗部をグッと持ち上げることも可能なので、レタッチでいろいろやってみるのもおもしろいでしょう。

太陽を構図にいれる

太陽はそれ自体が非常にパワーのある被写体なので構図の中に入れるとものすごい存在感を放ってくれます。

絞りをf11〜くらいに多めに絞ると光条が現れて美しいです。

逆光を狙うとフレアやゴーストでいい感じになる

白鳥 あさやけ

逆光を狙うと、太陽の位置がかなり低くなっているので、角度的にフレアやゴーストが発生しやすくなります

例えばこれはフレアが出た写真。コントラストが下がり、いつもはやっかいなフレアですが、場合によってはいい雰囲気になります。夕方のふわっとした時間帯によく合いますよね。

ゴースト

こちらはゴーストの写真。レンズによっていろんなクセのあるゴーストがでますが、うまいこと使いこなすとかなりいい感じになります。

ポートレートを撮る時など、フレアやゴーストを効果的に使うと非常にキレイに撮影できますね。

フレアとは?ゴーストってなに?発生する原因と対策方!

太陽と反対側を狙う

須佐 ホルンフェルス

太陽の方角の反対、被写体が赤く染められているのを狙うのもとてもキレイです。そこまではげしい明暗差もないので、これもまたきれいな写真が撮れちゃいます。

ビーナスベルト

快晴の日に太陽が沈むのとは反対の方向がピンク色に染まるのをビーナスベルトと呼びます。

これはマジックアワーのときの太陽の光が遮られることなく反対側の空まで届き、青い空と混ざってピンク色になる現象です。

高い遮蔽物がないような平地や、山の上などでよく見ることができます。

雲の出方を見極める

ちょっと雲がある日や嵐の翌日なんかはけっこチャンス

富士山 精進湖 朝焼け リフレクション

マジックアワーで空が燃えるように焼ける条件のひとつとして、適度な雲が空にあることが挙げられます。

台風が来る前、来た後などの天候が不安定な日なども爆焼けしやすいのでよく天候をチェックしておきたいところです。

天気予報のチェックもけっこう難しく、曇り時々晴れみたいな予報のときほど爆焼けしたりするので、あんまり予報のいい日でもとりあえず撮りにでかけてみたいところです。

雲の無い日はグラデーションが美しい

雲の無い日のマジックアワーは燃えるような色にはならないものの、太陽付近のオレンジ色から上空に向けてのグラデーションが美しく出てきます。

太陽、沈んでから撮るか?沈む前に撮るか?

マジックアワーの時間帯というのは日の出・日の入前後の20分なんですが、この前後どちらで撮るか?というのはけっこう悩ましかったりします。

同じ日のマジックアワーの太陽が沈む前、後の写真を見比べてみましょう。

太陽が沈む前はコントラストがある

太陽が沈み切る前、その光は最も赤みを増し、その光が被写体を照らしてくれます。光のおかげでコントラストや陰影が生まれ立体感と彩度のある写真を撮影することができます。

太陽が沈んだ後は空が焼ける

太陽が沈んだ後、もしくは昇る前が最も空が美しく焼ける時間帯になります。

一方で太陽は地平線に隠れているのでその光は被写体を直接は照らしてくれません。こちらの写真を見ても分かりますが上の写真よりコントラストが低く、色味も少なくなっているのがわかります。

このように刻一刻とその表情は変わってくるので、どの瞬間も逃さずとっておきたいですね。

ブルーアワーでは空の青さを活かした表現を

ライトアップと合わせるのは鉄板

ブルーアワーの時間帯は空の色がきれいな青になります。ライトアップと組み合わせると非常にきれいに撮影することができます。

特に桜のライトアップなどはピンク色と空の青さがマッチしてとても相性がいいですね。

水がある場所もいい

海や川など、水も青のイメージがあります。ブルーアワーの時間帯はそんな水のイメージも強めてくれるので、そういった場所での撮影もおすすめです。

まとめ

ちょっと時間を変えるだけで、ものすごく素晴らしい光景に出会えることができますし、どうやって撮ったっていい感じになるマジックアワーとブルーアワー。

写真はいろんな撮り方がありますが、ぜひこの時間帯で撮影してみてください(*´∀`*)