本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

測光とは?4つの測光モードの違いと使い分けをわかりやすく解説

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

カメラの設定を触っていると、「測光」という機能を見かけます。光を測る機能だということはなんとなく分かる。

でも、「マルチパターン測光とスポット測光は何が違うの?」「結局どれを使えばいいの?」「ミラーレスなら撮る前に明るさが見えるし、測光なんて必要ないのでは?」と聞かれると、意外と説明しにくい機能ではないでしょうか。

今回は測光の基本から4種類の測光モードの違い、実際の使い分けまで解説したいと思います。

YouTubeに動画もアップしてます。いいねとチャンネル登録よろしくお願いします!

いい写真には、理由がある

人間の本能的な反応を利用した構図理論と視覚心理学に基づく色彩テクニックを体系的に学べる有料コンテンツ「本能をハックする写真術」をnoteで公開中。

無料で読み始める

そもそも「測光」とは?

測光とは、その名前の通り「光を測ること」です。カメラは写真を撮るときに、レンズから入ってきた光をもとに被写体や画面の明るさを判断しています。

例えばAモード(絞り優先オート)で、F8・ISO100に設定したとします。このときシャッタースピードを決めるのはカメラです。カメラが光を測り、「この明るさなら1/250秒くらいがよさそうだ」と判断してシャッタースピードを決定します。この判断材料になっているのが「測光」です。

つまり測光とは、カメラが適正だと考える露出を決めるための判断材料と考えると分かりやすいと思います。

測光と露出補正の違い

ここで混同しやすいのが「露出補正」です。測光と露出補正はセットで考えると理解しやすくなります。

測光=カメラが最初の露出を判断するもの
露出補正=その判断を撮影者が修正するもの

例えばカメラが「このくらいの明るさがちょうどいいと思います」と判断したとします。しかし撮影者としては「もう少し明るく撮りたい」と思うかもしれません。そこで+1EVなどの露出補正を行います。

言い換えれば、測光はカメラからの提案、露出補正は撮影者の意思という関係です。

なぜ測光モードが何種類もあるのか?

カメラが自動で光を測ってくれるなら、測光は1種類だけでもよさそうです。ところが、例えばニコンのカメラには代表的なものとして「マルチパターン測光」「中央部重点測光」「スポット測光」「ハイライト重点測光」の4種類があります。

なぜこんなに必要なのでしょうか。理由は単純で、写真の中はすべて同じ明るさではないからです。

例えば風景写真なら、空は明るいけれど地面は暗い。逆光なら太陽は非常に明るいけれど、日陰になった被写体は暗い。こうした場面でカメラは、「一体どこの明るさを基準に露出を決めればいいのか」を判断しなければなりません。

その判断方法を変えるのが測光モードです。つまり測光モードとは、画面のどこを重視して明るさを判断するのかをカメラに指示する機能だと考えると分かりやすいでしょう。

カメラは「白いもの」「黒いもの」を人間と同じようには理解しない

測光を理解するうえで重要なのが、カメラと人間では明るさの捉え方が違うということです。

例えば、同じ場所に白いTシャツを着た人が立っている場合と、黒いTシャツを着た人が立っている場合を考えてみます。撮影場所もカメラも周囲の明るさも同じで、変わったのはTシャツの色だけです。それでも、カメラが判断する露出が変わることがあります。

僕たちは「これは白いTシャツだから白い」「これは黒いTシャツだから黒い」と理解しています。しかし、カメラの露出計が人間とまったく同じ意味で「これは黒いTシャツだから暗い」と理解しているわけではありません。入ってきた光をもとに露出を判断しているため、画面の中を占める明るいもの・暗いものの割合が変われば、測光結果も変わることがあります。

分かりやすい例が雪景色です。人間からすれば「雪だから白い」のは当然ですが、カメラはその明るさを測って露出を判断します。全体的に白い部分が多いのでカメラは「明るい場面だから露出を下げよう」と判断します。

その結果、白い雪が思ったより暗く写ってしまうことがあります。

逆光で人物が暗く写ってしまうことがあるのも同じです。僕たちは「この人物を撮りたい」と分かっていますが、カメラから見れば画面の中には明るい背景と暗い人物の両方があります。では、どこを基準にするのか。ここで測光モードの違いが重要になってきます。

測光の種類

① マルチパターン測光

まずは「マルチパターン測光」です。普段これを使っている方が最も多いと思います。

先に結論を言うと、よく分からなければ、基本はマルチパターン測光で大丈夫です。

マルチパターン測光では、画面の広い範囲の情報を使ってカメラが総合的に露出を判断します。かなり簡単に言ってしまえば、「画面全体を見て、いい感じにお願いします」という測光モードです。

明るい空、暗い地面、人物など、画面内に存在するさまざまな明るさの情報をもとにカメラが露出を判断します。現在のカメラは非常に優秀なので、一般的な撮影であればマルチパターン測光でかなり適切な露出にしてくれます。僕自身も基本的にはこのモードを使っています。

② 中央部重点測光

中央部重点測光は、名前の通り「画面中央」を重視して露出を判断する測光モードです。

例えば画面中央に明るい窓があれば、その明るさの影響を強く受けます。反対に中央を暗い室内へ移動させれば、それに合わせて露出も明るくなります。

そのため、画面中央に重要な被写体を配置して撮影するときなどに使いやすい測光です。

③ スポット測光

スポット測光では、画面内の非常に狭い範囲を基準にして露出を判断します。

「画面全体ではなく、ここを基準に露出を決めてほしい」という場所が明確な場合に便利です。ニコンの場合はフォーカスポイントに連動して測光できるため、被写体にフォーカスポイントを合わせながら、その場所を基準に露出を判断させることもできます。

例えば同じ構図でも、明るい窓を基準にするのか、暗い室内を基準にするのかによって露出は大きく変わります。マルチパターン測光よりも、撮影者が「どこを基準にするのか」を明確に指定したい場合に向いています。

④ ハイライト重点測光

ハイライト重点測光は、画面内の明るい部分を重視して測光するモードです。目的は非常に分かりやすく、明るい部分の白飛びをできるだけ防ぐことです。

例えば日の出や夕日、ライブや舞台のスポットライトなど、明るい部分を飛ばしたくない場面で役立ちます。画面内に非常に明るい部分が入ると、そのハイライトを守るために全体としては暗めの露出になることがあります。

暗部はRAW現像などである程度調整できますが、完全に白飛びして階調情報が失われてしまった部分は復元できない場合があります。そのため、「とにかくハイライトを守りたい」という状況では有効な選択肢になります。

4種類の測光モードを整理

測光モードどこを重視する?向いている場面
マルチパターン測光画面全体普段の撮影全般
中央部重点測光画面中央中央の被写体を重視したい
スポット測光狭い範囲特定の場所を基準にしたい
ハイライト重点測光明るい部分白飛びをできるだけ防ぎたい

結局のところ、測光モードによって変わるのは、「カメラに画面のどこを重視してほしいのか」という部分です。

ミラーレスなら測光は必要ない?

ここで「でも今のミラーレスなら、測光なんて知らなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。これは半分その通りだと思います。

ミラーレスカメラならファインダーや背面モニターで、撮影前からおおよその明るさを確認できます。ヒストグラムも表示できますし、白飛びも確認できます。

カメラのヒストグラムのてっとり早い見方と使いこなす方法!

特に僕が普段撮影している風景写真の場合、三脚を立てて構図を決め、ファインダーで明るさを見る。ヒストグラムを確認して、必要なら露出補正するという撮り方ができます。風景写真なら比較的じっくり露出を決められるため、僕自身も毎回忙しく測光モードを切り替えているわけではありません。

基本はマルチパターン測光、必要なら露出補正。 普段はこれで撮影しています。

それでも測光を知っておいた方がいい理由

測光を理解する最大のメリットのひとつは、カメラがなぜその明るさにしたのか分かるようになることです。

例えばAモードで撮影していて、少し構図を変えた瞬間にシャッタースピードが変わった。写真が突然暗くなった、あるいは明るくなった。初心者の頃は「なんで勝手に変わったの?」となりやすいところです。

しかし測光の仕組みが分かっていれば、「明るい空が画面にたくさん入ったからか」「暗い部分の割合が増えたからか」「スポット測光でこの部分を拾ったからか」と原因を考えられるようになります。

カメラが勝手に変なことをしているのではなく、カメラなりの理由があってその露出になっている。これが分かるだけでも、撮影中のトラブルにかなり対応しやすくなります。

測光が本領を発揮するのは「光が変化する場面」

測光が特に重要になるのは、人間が露出の変化を追いかけきれない場面です。

例えば動物や野鳥を撮影していて、被写体が日向から日陰へ移動し、また日向に出てくる。そのたびに光の状態が変化します。ライブや舞台撮影でも、先ほどまで暗かったのに次の瞬間には強烈なスポットライトが当たるなど、照明の明るさが次々と変わります。

こうした状況で毎回「+0.7EV……いや、今度は-1EV……」と人間がすべて追いかけていたら、撮影が間に合わないことがあります。

そこでAモードやSモード、あるいはMモード+ISOオートなどを使い、変化する光への対応をカメラに任せます。そのうえで、「何を基準に露出を決めるのか」という大まかな方針を撮影者が測光モードで決めます。

例えばライブ撮影なら、周囲は真っ暗でも演者に強烈なスポットライトが当たっていることがあります。この場合、明るく照らされた演者を白飛びさせたくないのであれば、ハイライト重点測光を使うという選択肢があります。

人間が大まかな方針を決め、細かな光の変化への追従はカメラに任せる。これが現在のカメラで測光を使う、かなり実践的な意味だと思います。

測光と露出補正は一緒に使う

測光と露出補正は、どちらか一方だけを使うものではありません。まず測光モードで「何を基準に露出を判断してほしいのか」をカメラに伝え、その結果を見て「もう少し明るくしたい」「もう少し暗くしたい」と撮影者が調整します。これが露出補正です。

つまり、測光で判断基準を決める → 露出補正で撮影者の意図を加えるという流れです。

全部カメラ任せにするわけでもなく、全部人間が手動で操作するわけでもありません。撮影者が方針を決めて、細かな変化への対応はカメラに任せる。このように考えると、測光という機能がかなり理解しやすくなると思います。

Mモードでも測光は関係する

「自分はMモードだから測光は関係ない」と思う方もいるかもしれません。

確かにMモードでは、絞りとシャッタースピードを自分で設定します。そのため通常のオート露出のように、測光結果によってシャッタースピードなどが自動的に変わるわけではありません。ただし、露出インジケーターに表示される情報はカメラが測った明るさを基準にしています。

さらに「Mモード+ISOオート」の場合は、測光結果に応じてISO感度が変化し、カメラが露出を調整します。

例えば動体撮影なら、シャッタースピードは被写体がブレない値に固定し、F値も使いたい値に固定して、ISO感度だけカメラに追従してもらうという撮り方もできます。そのため、「Mモードなら測光とは無関係」というわけではありません。

結局、どの測光モードを使えばいい?

最初から4種類すべてを完璧に使い分ける必要はありません。基本的には、普段はマルチパターン測光でOKだと思います。

そこから、特定の狭い場所を基準に露出を決めたいなら「スポット測光」。画面中央を重視したいなら「中央部重点測光」。日の出や夕日、舞台のスポットライトなど、ハイライトをできるだけ守りたいなら「ハイライト重点測光」という使い分けです。

普段はマルチパターン測光を使い、「なんだか思ったような露出にならないな」という場面に出会ったときに、ほかの測光モードという選択肢があることを思い出すくらいから始めれば十分だと思います。

まとめ

測光という言葉だけを聞くと難しそうですが、考え方はそれほど複雑ではありません。覚えておきたいのは、「カメラが画面のどこを重視して明るさを判断するのか」ということです。

マルチパターン測光なら画面全体、中央部重点測光なら中央、スポット測光なら狭い範囲、ハイライト重点測光なら明るい部分を重視します。

そして測光は、単に「カメラ任せにするための機能」ではありません。撮影者が「ここを基準に考えてください」と方針を決め、カメラがその方針に従って変化する光に対応する。そして最後に露出補正で撮影者の意図を加える。

人間が判断基準を決め、変化への対応はカメラに任せる。

ここまで理解できれば、今までなんとなく使っていた測光モードの見え方も変わってくると思います。ぜひご自分のカメラでも、同じ構図のまま測光モードを切り替えて、露出がどのように変化するのか試してみてください。