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いい写真とはなんなのか。ということをよく考えます。僕は残念ながら才能とかセンスというものが皆無で写真を始めたために、ひたすらに理詰めで写真について考えてきました。
なので写真を撮るとき、見るとき、常に「なぜこの写真は僕の琴線を震わせるのだろう」ということを意識しています。
写真における平面的な構成について論じられているものは構図ですね。
しかし、同じような構図、構成で描かれているものでも、人々の琴線に触れるものとそうでないものがあります。これは一体なぜなのか、ということをこれまでずっと考えてきたのですがその一端をになうものがあるのではないかということがぼんやり頭の中に浮かんできたので備忘録として書き残していみたいと思います。
あくまで僕のぼんやりとした考えなので、教科書的なあれではありません。なのでまあ生ぬるく読み進めてもらえばありがたいです。
写真に奥行きを与えるものがある
写真という二次元の中に要素を組合わせていくものが構図ですね。◯◯構図、というのも構図ですが、本質としては様々な要素をどのように配置していくかというのが構図だと思います。
美しい写真、いい写真に美しい構図というのは必要不可欠です。
ただ、構図だけでは説明できない写真だってあります。同じような構図でもなにか心を打つような写真とそうでないものがある。
つまり、構図という平面的な美しさの他に写真には『奥行き』のような要素が隠れているのではないかと考えるわけです。
そう、二次元的なものと思ってた写真は実は三次元的なのではないかと。じゃあ、その奥行を担っているのはなにかとずっといろいろと考えてみました。
写真に奥行きを与えるのはストーリーではないか
写真に奥行きを与えるものは『ストーリー』ではないか。と思うわけです。
ここで言うストーリーというのは物語性のあるような写真、という意味ではありません。
構図が線や点、ビジュアルウェイトなどの『要素』を平面的に並べることを言うなら、ストーリーは奥行きに向かって配置されていく要素みたいなことを考えております。
そう、ストーリーという要素を奥に向かって置いていくというイメージです。そして、それが重なっていくほど写真に厚みが出てくる。それが人々の琴線にふれるのではないかと。なんだかよくわからなくなってきましたね。ついてこれてますか。
例えば雪の鳥取砂丘
例えばこれ、雪の鳥取砂丘の写真です。
なんだかいい感じの写真ですね。この写真を撮ったとき、けっこう褒めてもらえた記憶があります。僕は褒めて伸びるタイプなので、積極的に褒めてくださいね。
さてさて。じゃあ、この雪の鳥取砂丘の写真。
これ、雪国のそのへんの丘だったらどうなんだという話ですね。あれあれ。そうすると途端になんか普通の写真に見えてきますね。
そう、これ鳥取砂丘に雪が降ったというストーリーがあるからこそ、写真としての奥行きが生まれているのではないでしょうか。
構図的には雪国のそのへんの丘と構図は一緒なのに、です。
それぞれの要素が持つストーリー
鳥取砂丘に雪が降った、というストーリーですがもう少し分解して考えましょう。分解して考えることでいろんなところに応用が効くようになるはずです。
今回、大きく分けてこの写真の中には2つの要素があります。『雪』と『鳥取砂丘』です。
そして、この2つはそれぞれがストーリーをもっているわけですね。
雪がもつストーリーは「冬・冷たい・寒い…」などがあります
鳥取砂丘は一見砂ばかりなので、多くの人は砂漠のようなストーリーを思い浮かべるのではないでしょうか?つまり「暑い・水がない・干上がっている…」などなど。
そして、この2つの要素がもつストーリーを奥に並べていった結果「暑くて水も干上がってしまうような場所に、奇跡的に雪が降った」といったような『ストーリーの厚み』が生まれているわけです。
このストーリーには希少性、という要素も組み合わさることでさらに物語に厚みがまします。
構図は平面的に、ストーリーは三次元的に要素を組み合わせる
一回まとめてみましょう。
構図は平面的な要素の組み合わせ、ストーリーは三次元的に奥行きとしての要素の組み合わせではないか、と考えたわけです。
まあ、自分で考えているのであってるかあってないかは置いといて、それでもそう考えることで腑に落ちることもたくさん出てくるのではないでしょうか。
物語を考えた写真ではなく、要素ひとつひとつが持つストーリーを組み合わせること、というのがポイントです。
この2枚の写真なんかわかりやすいじゃないでしょうか。
どちらも冬の大山。1枚目も冬山というけっこう強いストーリーを持っているのでまあ悪くないんですが2枚目のほうが完成度が高いと思いませんか?
2枚目に追加されているのは山を歩く人と太陽。
人は強いストーリーを持っている
特筆すべきなのは、やはりここに人が写っているということ。
個人的な考えではありますが、人というのはもう超強烈なストーリーを持っているわけです。構図の中に人を配置するだけで物語が動き出す、それくらい強烈。
この雪山での写真でも彼らはどのような山行を経てここに立っているのか、そしてこの険しい峰をどのように歩くのか。様々なストーリーを連想させてくれます。
ストーリーのある要素を配置することで奥行きが生まれる
さらに、奥には太陽が配置されることで「熱、暖かさ、情熱…」などなどの要素がストーリーとして奥行きを生むわけです。
平面的には手前から人、奥の太陽という視線誘導を意識した構図で構成し、同時に「冬の大山・登山者・太陽」などがストーリーとして3次元的に配置され写真の奥行きを生んでいる、と考えながら撮影したわけです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
同じような構図でもなにか足りない…というような時ってあると思うのですが、そのへんのところってこの「ストーリー」という理屈でけっこう説明できるのではないかと思っております。
このストーリーも構図と一緒で少なければ物足りないし、多すぎればごちゃごちゃしてしまったりもします。
あなたがもし何か物足りない、なんて思うことがあればこのストーリーをちょっと意識してみてはどうでしょう。