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パースペクティブという言葉があります。
これは日本語に訳すと「遠近感」という意味です。パースと略されていたりもするので聞いたことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
広角レンズを使っていると「パースペクティブを生かした描写」みたいに語られることが多いのですが、どのようなことをいうのか書いてみます。
パースペクティブとは
パースペクティブを訳すと「遠近感」
近いものはより近く、遠くのものはより遠くに感じられるのが遠近感。ちょっと難しいですね。
実際に写真を見てみましょう。
この2枚、同じ場所で同じくらいの大きさに写るように撮影したダンボーです。
左の方は背景までしっかりと写っているのが分かります。右は背景がほとんど入らずダンボーの真後ろにあるように感じませんか?
左は広角レンズ、右は望遠レンズで撮影しています。焦点距離の違いで、同じ被写体を同じ大きさに撮ってもこんなに違うのがおわかりいただけるでしょうか?
1枚目の写真はレンズに近いダンボーと遠くにある背景にしっかり距離感を感じられます。これをパースペクティブ(遠近感)があるといいます。
一方、2枚目の方は背景が潰れて圧縮されているように感じますね。これを圧縮効果と呼びます。
パースペクティブは広角レンズで出やすい
先ほどの例を見ておわかりいただけるようにパースペクティブ(遠近感)というのは広角レンズを使うと出やすいです。
パースのついた表現をしたい時は広角、しかもなるべく焦点距離の短いものを選びましょう。
遠近感を感じる条件
人のは普段いろんな風景を見ています。そうやって経験として「どういったものが近くにあり、どういったものが遠くにあるのか」というのを理解しています。
ここでは普段意識せずとも、どういった時に遠近感を感じているのか見てみましょう。
消失点
同じ幅の道でも遠くに行けばいくほど狭まって見えます。最終的に一番ちいさくなって消えてしまう点のことを消失点と呼びます。
消失点はレンズの角度や向きによっていろんなところにできます。
このように2ヶ所以上に消失点ができることもあります。
あんまり難しいことは本題と離れてしまうので詳しい説明はハショリますが今日覚えていただきたいことは、消失点に向けて線を引くことができるということ。
そして感覚についてです。
遠近感を感じる条件
消失点に向けて真っ直ぐに伸びている赤い線はだんだんとその距離が小さくなっていきますが、実際には青い線の距離は同じです。
こういう写真を見た時、人はこれまでの経験則から手前が近く、奥が遠くなっているように感じます。
また、この杭の部分も奥に行けば行くほど感覚が狭くなっていきます。これもまた遠近感を感じる要因となります。
近くにあるものは大きく、遠くにあるものは小さく見えますね。この杭も同じ大きさですが黄色で囲っているように遠くに行くにしたがって小さくなっているのがわかります。
この近くにあるものが大きいというのは、消失点に向けてのラインがなくても遠近感を感じることができる条件なのでちょっと覚えておきましょう。
なぜ広角レンズでパースペクティブが出やすいのか
画角が広い
広角レンズは他のレンズに比べた画角が広くなっています。
さきほどのイメージ図を写真にとってみたら↑のようになります。
一方、望遠レンズのような画角が狭いレンズで撮ってみましょう。
望遠レンズなどは遠くのものが写せますが、それは画角がせまいからなんですね。
2枚比較してみましょう。
近くにあるものは大きく遠くのものは小さい(黄色の丸)というのが左(広角)ではよく分かりますが、右(望遠)では少し感じがうすまっています。
物と物との感覚(緑の線)も左(広角)のほうが大きく、右(望遠)のほうが小さくなります。
違う角度から広角で撮ってみたイメージ図です。花が大きく写っています。
これを望遠レンズで撮ってみると花全体が入らず見切れてしまいますね。広角レンズは画角が広いので近くにあるものをしっかり広く大きく写すことができます。そうすることで「近いものは大きく、遠くのものは小さく」という遠近感を感じるための条件をみたしやすいのですね。
ということで広角レンズを使うとパースペクティブ(遠近感)を感じる写真が撮りやすいということが分かります。
超広角レンズは人の目より画角が広いため強烈なパースペクティブを感じる
広角レンズは人の目より広い画角を写すことができます。そんな超広角レンズで撮影された写真を見ると人の目では感じられないようなパースペクティブ(遠近感)を感じることができるのですね。
これが広角レンズならではの表現に繋がります。
パースペクティブ(遠近感)を活かした撮影方法
消失点を意識する
消失点を意識して撮影するとパースペクティブのある写真が撮りやすいですね。
被写体がラインを描いているようなものはうってつけなので広角レンズで狙ってみましょう。
建造物などは下からあおるように撮影すると縦のラインが上の消失点に向かっていくので、パースペクティブが出やすいです。
竹林や森の中などで真上を向くと、収束点が中央となり、木々や枝が真ん中に向かっていきおもしろい表現となります。
消失点を意識していつもとは違う視点で撮影してみるとけっこうおもしろいです。これは東京タワーの真下から撮った写真。広角レンズは歪みがでやすいので対称になるようきちっと線を意識しておくといいと思います。
直線だけでなく斜めのラインを入れてもおもしろいですね。消失点へと向かう先に被写体を置くことで視線を誘導することもできます。
消失点が感じられるようなパースペクティブの演出は見えているものも、見えていないものもそこにラインが存在します。ラインというのは構図上でかなり強力なオブジェクトとなります。どうしてもそのラインに沿って目線を動かしてしまうのですね。
鑑賞者の視線を操ることができれば、自分の見せたいものをしっかり見せられるようになります。
近いものは大きく遠いものは小さいという特徴を活かす
広角レンズでパースペクティブを活かすと近いものは大きく遠いものは小さく写ります。
これを活かし、手前に花のような小さなもの奥に山などの大きなものを配置するとこのように人の目では見られないような光景を写すことができます。
山だけではテーマとしてのインパクトが弱いのですが、このようにインパクトのある副題を配置することができます。
特に超広角レンズを使うと、強烈なパースペクティブが生まれます。広角レンズの性質上、かなり寄って撮ることもでできるので前景を意識してみるといいでしょう。
アイデア次第で様々な表現が可能です。
まとめ
広角レンズにはいろんな特徴がありますが、なかでもおもしろいのがパースペクティブの表現。
使いこなせるようになると広角がとっても楽しくなるのでおすすめです。