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登山をやっていらっしゃるかたならそんなにいないかもしれないんですが、Twitterなどを見ているとたまに「今度、寒いところに行くから防寒具としてハードシェルが欲しい」なんてツイートを見ることがあります。
わりと勘違いしている人も少なくないのかな?と思うので、ハードシェルはそれだけだと全然あったかくないし、防寒具としてはほとんど使えないよということを今日はちょっと書いてみようと思います。
防寒については以前こちらにも書いているのであわせてご覧になってみてください。これをご覧になるか、あるていど基礎的な知識がある前提でお話していきます。
[blogcard url=”https://logcamera.com/boukan/″]そもそもハードシェルとは?
そもそもハードシェルというのはなんなんでしょう?
登山では、高度や場所の変化、行動中や停滞中などで目まぐるしく体感温度が変わっていきます。なので、こまめに衣服の脱ぎ着をしないと寒すぎたり暑くなりすぎたりするわけです。
状況の変化に合わせて衣服を重ねていくことをレイヤリングと呼び、大まかにわけて
- アウターレイヤー
- ミドルレイヤー
- ベースレイヤー
以上の3つに分けられます。ハードシェルはこのアウターレイヤーに分類されるものです。他のレイヤーについても上記のリンクで解説しているので気になったかたは読んでみてください。
このアウターレイヤーというのは、雨や雪、風など外から襲ってくる寒さをシャットアウトするものです。身も蓋もない言い方をしてしまえばカッパです。
普通のカッパであるレインウェアとは別に冬山用にハードシェルとしてラインナップされているので、なんだか寒さに強そうなイメージをがあるのかもしれません。なので、みんな防寒具としてハードシェルが欲しいのかもしれませんね。
冬山には不可欠
このハードシェルなんですが、冬の山に登るのならやはり用意しておきたいもののひとつです。特に天気の変わりやすい冬の山、いつ暴風と雪に襲われるかわかりません。下界にいるとわかりにくいですが、風に吹かれると一発で体温が持っていかれますし命の危険もあります。
なので、ハードシェルというのはとにかく冬の山で死なないような機能がたくさんあるわけです。
例えば、雪山で滑落した時のために生地がすべりにくいようザラザラしていたり、雪山でヘルメットの上からかぶれるような大きなフードがついていたり、耐久性のあるしっかりした生地が使われていたり。
とにかく、下手をすれば生死にかかわるような場所で使われるので、技術の粋を尽くして作られています。
ただ、そういった「冬山で死なないため」の服を、下界で防寒具として使うにはちょっとおすすめできないいくつかの理由があるので書いていきます。
ハードシェルを防寒具としておすすめしない3つの理由
暖かくない
もう、ぶっちゃけこれに尽きるんですが。あれですよ。暖かくないんですよ、ハードシェル。
もちろん、外からの風などを防ぐので体感温度は上がるかもしれませんが、基本的に衣服で暖かくするのは「空気の暖かい層」を作ることが重要になってきます。
そして、その空気の暖かい層を作れる衣服というのはダウンやフリースなどのモコモコしたものなのです。
ハードシェルはいわゆるカッパのようなものといいました。この下にフリースやダウンを着込めば、防風しながら空気の暖かい層を作ることもできますが、それなら最初から防風性のあるダウンジャケットを着ているほうがはるかに暖かかったりするわけです。
[blogcard url=”https://logcamera.com/baltro/″]もちろん、このバルトロなんかは防風性はあるものの水を防ぐわけではないのですが、普通に写真を撮りに行くときに降る雪ならそこまで濡れにシビアになる必要もありません。
高い
冬山で死なないために技術の粋を尽くして作られるハードシェル。なので、もうね、ものすごくお高いわけです。
安いものでも3万くらい。高いもので10万するようなアホみたいな値段するものもあります。ただね、もう1度繰り返しますがカッパです。字面はかっこいいですが、カッパです。
いやいや、ゆうてカッパとはちょっと違うんでしょ?とか思うでしょ?甘い、もう純然たるカッパ。カッパ以外の何物でもない。
そんなものに数万かけるわけです。だって死にたくないから。下界でそうそう死なないですよ。けど、山だと下手すりゃ死ぬわけです。だから仕方なく買うわけです。
なので、例えば写真撮影で使う時なんかの防寒具として考えた場合、恐ろしくコスパが悪いんです。いやいや、それでもオイラ写真撮影もけっこうシビアなところ行くぜ?みたいな人もいるかもしれませんが、まあいりません。やめときなさい。
同じお金つかうなら、それこそ防風性のあるバルトロやマクマードパーカのようなダウンジャケットのほうがはるかにコスパがいいと思います。
着心地が悪い
大事なことなのでもう1度繰り返しますが、カッパです。さらには、冬山でなにかに引っ掛けても破れないようにかなり丈夫につくってあります。
カッパを着て、着心地いいと感じる人は少ないと思いますが、まああんなもんだと思ってください、ハードシェル。もちろん、登山中に行動しやすいように普通のカッパよりは動きやすく作ってはありますが、それでもやはり着てて感じるのは「ああ、カッパだな」という感じです。
ハードシェルの多くは、ゴアテックスと呼ばれる透湿性のある生地を使っているので普通のカッパと違って蒸れないと勘違いしている人もいるかもしれませんが、蒸れます。ガンガンに蒸れます。
ゴアテックスはカッパに比べてマシ、というもので、普通の衣服と比べるとめちゃくちゃ蒸れます。まあ、冬なのでそんなに汗をかくこともないですからそうそう蒸れて気になることもないかもしれませんが。
コスパが悪く防寒性もイマイチ、着心地も悪いハードシェル
さて、こんな防寒性もイマイチ、着心地も悪い、コスパは最悪なハードシェルなんですが、なんでみんな冬になると欲しがるのか考えてみましたが、あれですね。かっこうが良いわけですよ。
なにをミーハーな。登山用具なんてのは何はなくともまずは機能性を重んじるべきだ。そう思っていた時期が俺にもありました。街でハードシェル着るファオタプギャーなどと思っていた時期が俺にもありました。
いや、あれですね。実際買って着てみると、こう、なんつうか?かっこいいやん?まあ、冬山で使うっつっても雪でも降らないとザックの中にしまいっぱなしなので、ね?
というわけで、コスパも防寒性も着心地もイマイチなハードシェルですが、それでもかっこいいから欲しいという人は、買っちゃってもいいんじゃないでしょうか。
山で着るだけならコスパがちょっと悪い
もちろん、山だけで使うにはコスパが悪すぎるのも事実としてあります。
冬山でハードシェルを出すような場面ってけっこう限られています。登山口から山頂までハードシェルを着て登るということは風がすごいとか雪がすごいとかっていう日になるんですが、そんな日はそもそも登山を中止したほうがいいわけですよ。
なので、僕自身、登山中にハードシェルを着るタイミングはけっこう少ないです。
そうなってくると、なんでこんな着る機会もないものに数万も払っているんだという気持ちが湧いてこないわけでもありません。
ということで、最近では僕も街着としてハードシェルを着る機会が増えてきました。
ハードシェルを着たいなら中にインサレーションを入れる
街着として冬にハードシェルを着る場合は、薄手のダウンジャケットとかのインサレーションを間に挟んでやるといいかと思います。
そもそも、ハードシェルは防風性には優れているので、外からの風はしっかりと止めてくれます。
なので、間にインサレーションを入れると冬での街着として着ても暖かく活動することができるでしょう。
僕はpatagoniaのナノパフがお気に入りでよく着ています。
まとめ
といういわけで、ちょっと誤解されているんじゃないかな?と思うハードシェルについて書いてみました。
雪山登るのでハードシェルは購入しましたが、普通の写真撮影(それがけっこうハードなものであっても)ならハードシェルはちょっとコスパ悪すぎて買わなかったかなあと思いますが、いざ買ってみるとかっこよくて気に入っております。
ただ、最初の1着目の防寒具は外側がしゃりっとしているダウンジャケットとかのほうがいいかなと思います。