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あなたの写真は大丈夫!?カメラで写真を撮影する時に注意したい法律のアレコレ

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先日、「写真の構図を真似るのは違法ではない」という記事を書きました。

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んで、気になったのが写真を扱う際、他に気をつけなければいけない法律ってあと何があるんだろう?ということ。

僕は自分で撮った写真をブログに掲載し、みなさんに見られる様にしているのでなるべく注意はしているのですが、もしかすると知らないうちにやっちゃいけないことをやっている可能性もあります。

今や写真をWebにアップする、という行為が非常に簡単になった時代。もしかしたら、あなたのアップした写真もなんらかの法に触れている可能性があるかもしれませんよ?



写真を撮影する時気をつけたいこと

カメラ

写真を撮影し、それを取扱う際に気をつけたいこと、大きく分けて3つあります。

「著作権」「肖像権」「パブリシティ権」

この3つです。

では、具体的にどんなことを気をつけたらいいのか?1つづつ見ていきましょう。



著作権

著作権という言葉みなさんも一度は聞いたことがあると思います。しかし、いったいどんなものに著作権があるものなのか?と聞かれたら分からないことが多いのではないでしょうか。

著作権とは

まずは著作権とはなにかを確認しておきましょう。

著作権(ちょさくけん)はコピーライト(英語: copyright)とも呼ばれ、言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、写真、コンピュータプログラムなどの表現形式によって自らの思想・感情を創作的に表現した著作物を排他的に支配する財産的な権利である。

著作権 – Wikipedia

写真の場合、簡単に言ってしまえば、自分が作品として撮ったものはその多くが著作権を持つことになります。

写真はシャッターを押すだけではありますが、その瞬間に著作権が発生します。

あたりまえのようですが、写真を撮ること自体構図を決め、露出やシャッタースピード(それがオートであれ)を決め、自分の思想や感情を四角く切り取っているのでほとんどの場合著作権が認められます。連写した一枚であれ、失敗写真であれ、そこには著作権があるのです。

写真の著作権は死後50年まで有効

あなたが撮った写真は、あなたが亡くなっても、死後50年間その著作権が守られます。

こんな写真は著作権があたえられない

いっぽう、著作権のない写真ももちろん存在します。

「思想又は感情を創作的に表現したもの」に著作権があたえられるので、そうではない写真には著作権がありません。具体的には

  • 証明写真など、アングルやその他の工夫がないもの
  • 絵画などを記録用に撮影したもの
  • 防犯カメラに写ったもの

これらの条件では著作権が発生しません。とはいえ、ちょっとでも「思想、感情」が写真にあれば著作権が与えられるので、写真に関してはほとんどの場合著作権があるといっていいでしょう。

著作権にはどんな権利があるのか?

著作者には大きく2つの権利があります。

「著作者人格権」と「著作権(財産権)」

「著作者人格権」とは自分の作品をどのように扱うか、自分で決められる権利。そして、もうひとつは自分の作品を自分の財産としてあつかうことができる「著作権(財産権)」です。

細かく見るといろんな権利があるのではしょりますが、こちらのサイトに詳しく書いてあります。

著作者にはどんな権利がある? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

ざくっとまとめると

「自分の写真は自分で好きなように使えるし、他人は勝手に使えない」

ということです。あたりまえのようですが、きちんと法律として明文化されています。

写真を撮る際に気をつけたいのは他人の著作権

自分の作品に著作権という権利があるということは、もちろん他人の作品にも同じように著作権があるということです。

写真を撮る際に気をつけたいのは、他人の著作権を侵害していないかということ。これに気をつけなければ、なんとなしにブログやSNSにアップした写真がのちのちトラブルになってしまうかもしれません。

とはいえ、何に著作権があって何にないかって法律に詳しくなければなかなかわからないですよね。具体的にどんな場合がダメなのか例を上げてみましょう。

絵画や書は自由に撮影できるか?

絵画や書も立派な著作物ですね。なので、絵や書を撮影し、使用する場合はその作者の許可を得る必要があります。

また、その写真自体も先述したように創作性がないことから著作権が認められません。他人の撮った写真をさらに自分のカメラで撮るなんてことも同様ですね。

構図を真似て撮影するのは?

他人の撮った写真を自分のカメラで撮れば、著作権を侵害することになりますが、その写真と同じ風景を同じような構図で撮ることは問題ありません。詳しくはコチラを。

写真の構図に著作権はある?ない?気になったので調べてみた | ログカメラ

ただし、創作的なアイデアのあるような構図などは著作権がある場合があるので注意が必要です。

公園に置かれている彫刻は自由に撮影できるか?

直島の黄色いかぼちゃ

彫刻自体には著作権があるのですが、公共の場に恒常的に置かれている彫刻は自由に撮っても大丈夫です。

「犬も歩けば著作権に当たる」ということわざがあるとおり(ありません)、日常には著作権のあるものが溢れていますね、それらを全部「チョサクケンガー!」と言っていたらキリがないので、公園にある彫刻などは自由に写真を撮っても大丈夫ですし、ブログやSNSにアップしても問題ありません。

とはいえ、著作権自体が失効しているわけではないので、その写真を販売したり商品化したりするのはダメです。

建物を撮るのは?

金閣寺

建造物は建築芸術のような創作的なものには著作権がありますが、建売住宅のような創作性がないものにはありません。

また、建築芸術には著作権の存続期間が満了している場合もあります。さらに、公園の彫刻などと同様に公共の場に恒常的に設置されているものを撮影するのは問題ありません。

彫刻同様にその写真を写真集などにして勝手に販売するようなことはダメですね。

また、建造物の中には写真撮影不可な所もあります。こういったものは著作権とは別でNGになる場合がありますのでご注意を。

テーマパークのきぐるみをブログにのせるのは?

テーマパークに行くと、いろんなきぐるみやキャラクターがいますがそのキャラクターと一緒に撮った写真をブログやSNSにアップするのはどうなんでしょうか?

例えば埼玉ゴズニーランドのモッキーゴウスなんてキャラクターがいます。あれ?知らない?埼玉ゴズニーランドのモッキーゴウス 。

さておき。

そういったキャラの写真を扱うのは結構グレーみたいですね。これは著作権とはまた別に、後述するパブリシティ権というのも絡んできます。そのキャラ自体に経済的な価値があるので勝手に使っちゃダメよ、ということですね。

なので埼玉ゴズニーランドのモッキーゴウスの写真を勝手に使うことは、あまりよろしくなさそうです。このへんは、各キャラクターによって扱いが違うでしょうから注意したほうがいいですね。

フィギュアの写真をブログやSNSにのせるのは?

岩場から見上げるダンボー

これもけっこうグレー。

僕もダンボーの写真をちょくちょく使っているので気になるところです。SNSに写真をアップしているかたも多いのではないのでしょうか。

これも著作権じたいは侵害していないのですが、その写真を使って営利を図る行為は不正競争防止違反というまた別の法律にひっかかってNGみたいです。

ブログやSNSなどにアップするくらいであれば営利を図るとはいえなさそうです。ていうか、問題あったらご報告ください海洋堂さん(;´Д`)



肖像権

さて、続いては肖像権について見ていきたいと思います。自分の写った写真を他人に勝手に使われたら嫌な気分ですよね!

肖像権という言葉もよく耳にする言葉です。とはいえ、実はこの肖像権、法律によって明文化されていなかったります。

肖像権とは

肖像権という言葉は一人歩きしがちであるが、日本の法律に肖像権という権利を規定した文章は存在しない。ゆえに刑法において肖像権侵害という罪で裁かれたり、罰則が与えられることはない。

肖像権ではないが、類似する事例で該当する可能性があるのは名誉棄損罪、わいせつ物頒布罪、迷惑条例違反あたりである。 民事上では個人の肖像の扱いは、判例により人格権、および財産権のひとつとして保護されるべきものとされている。

一般的に肖像権という言葉が使われた場合、このどちらかに該当する権利のことを言っているのかな?と想像するのが自然である。

肖像権とは (ショウゾウケンとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

ビックリ!

肖像権って実は法律にないんですね。なので、カメラで写真を撮られたとしても「肖像権の侵害だ!」なんていうことは言えないのです。

けど、なんだか「肖像権」ってあるような気がしてますよね。実は僕らが勘違いしているのは「人格権」「財産権(パブリシティ権)」のふたつなのです。「財産権(パブリシティ権)」は後述しますので、ここでは人格権ってなんなのか?見てみましょう。

人格権

鍵

人格権とは「個人の人格的利益を保護する権利」です。

人格権は、「個人の人格的利益を保護する権利」とされています。人格的利益とされるのは信用や名声などです。

カメラのシャッターの向こうにある権利 – ネコにもわかる知的財産権

難しいですね。

例えば、僕が誰かの写真を撮ってこのブログにアップして、「この人が万引きしてました!」みたいな記事書いたとしましょう。

けれどそんなことは事実無根でまったくのガセネタだった場合、万引きしてたってブログに写真までアップされた人はなんらかの形で実害をこうむるわけです。

このように写真に撮ったものを公開され、実害をこうむった場合人格権を侵害したと認められるのです。

表現の自由

しかし、これらは「写真を撮られたくない権利」ではないんです。では、なぜ「肖像権」と僕らが思っているものが法律にないのか?

それは日本においては日本国憲法第21条に「表現の自由」が明記されているから。日本において、多くの場合この表現の自由が優先される場合のほうが多いようです。

ですので、特に公共の場で写真撮影をして人が写りこんだような写真をブログなどにアップするのには基本的に許可などは必要ないんです。

とはいえ、人が写った写真をブログやSNSにアップする場合は慎重に

とはいえですよ。

「ヒョウゲンノジユウガー!」などと言って好き勝手に人が写った写真をブログやSNSにアップする場合は慎重になりましょうね。ちらっと写りこんでいるようなものならまだしも、はっきり本人とわかるようなものは特に注意が必要です。

僕も、基本的にブログにアップする写真は人が写っているものはそれが誰か分からないものだけにしています。

このへんは、法律とか権利とか関係なくマナーの問題ですよね。やだもん、勝手に撮られた写真に自分の姿が写ってたら。

ストックフォトなどはモデルリリースをとっている

広告や出版などの各媒体向けにいろんなシチュエーションの写真素材を用意しているサービスをストックフォトといいます。

ストックフォトのサービスの中には人物が写った写真も当然たくさんありますがこれらは写真ごとにモデルリリースをとっています。モデルリリースとは肖像権利用許諾のこと。つまりモデルになってもらった人に「写真を使っていいよ!」って許可をもらうことですね。

このようなストックフォトなどは金銭的なものも絡んできますので、しっかり権利関係を明確にしておけばのちのちトラブルがありません。

ブログやSNSにアップする場合もモデルリリースまでとれとはいいませんが、本人の許可をとってから掲載したほうがいいですよね 。

ペットには肖像権はない

ゆるくてふわふわな写真

猫や犬などのペットは法律的には物として扱われます。ですので、人格権や肖像権などは存在しません。そのペットに財産的な価値があれば(タレント活動をしているような動物など)問題になりうる可能性がありますが、基本的には法律で守られるような権利はないんですね。

とはいえ、やっぱマナー大事ですよ。犬の散歩してたら突然どっかのおっさんに「ショウゾウケンなど無い!」なんて言われて愛犬をバシャバシャ撮られたらかなりヤな気分ですよね。

撮影行為自体の禁止

いくら表現の自由があるといえど、撮影行為自体禁止されていることもたくさんあります。

例えば盗撮なんかはダメですよね、これは軽犯罪法違反となります。嫌がっている人を追っかけていって写真を撮るような行為もストーカー規制法の対象に。

人が嫌がるような写真の撮影はダメですよ。



パブリシティ権

お金

最後は写真を撮られた人に経済的な価値がある場合、その価値を保護するパブリシティ権です。

パブリシティ権とは

芸能人や有名人など、その人物の氏名や肖像そのものに商業的な価値がある場合、そこに財産的価値があると見なされ、財産権により保護される。この「有名人の氏名・肖像を財産的に利用する権利」をパブリシティ権と言う。

肖像権とは (ショウゾウケンとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

例えばシャンプーの広告に髪のキレイな女優さんの写真が一緒にのっていたら、そのシャンプーのイメージがよくなり売上に繋がりますよね。このように写真だけでも経済的な価値があるわけです。

道を歩いている写真を撮ってブログやSNSにアップして「芸能人の◯◯さん発見」なんて書いたら、その経済的価値を侵害しているといえるわけです。

パブリシティ権も厳密には法律に明文化されているわけではないのですが、やはり金銭的なものが絡むため今まで何度も裁判沙汰になっており、いくつもの判例が残っています。

芸能人の写真を撮るさいは注意が必要ですね。

まとめ

だいぶ長くなりましたが大丈夫でしょうか?難しい法律のことばかりで目がチカチカしていませんか?

法律のことなので間違いがないようしっかり調べて書いたつもりではいますが、専門家ではないので語弊があったり間違いがありましたらご指摘お願いいたしますm(_ _)m

なにげなく撮っている写真でも、じつはけっこう気をつけなければいけないことがあるんだなあと思っていただければ幸いです。今や個人で写真を世間に発信することが非常に容易になっていますからね。

また、権利関係ってやつは曖昧なところも多く、ほんとに極端な場合は実際に裁判で争ってみないとわかんないようなこともあると思います。

とはいえ、裁判で争ったりなど、トラブルに巻き込まれるのは大変ですよね。基本的には人の嫌がることはせず、マナーをしっかり守って楽しく写真を撮りたいものです。

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