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圧倒的な絶景が撮りたいと思い、これまでカメラを片手にあらゆる場所へと行ってきた。
そんな僕にとって2020年の上半期というのはけっこう強烈で、自分の憧れや生きる意味でもあったまだ見ぬ素晴らしい世界への道が閉ざされてしまったようなそんな気がしていた。
ふと振り返ってみると、ここ10年近くはずっと写真を撮り続けていたし、逆に言えば写真以外のものがなくなってしまえば自分自身の存在意義すら見いだせなくなってしまった。やることがなくなって暇になると人間、考えなくてもいいことを考えてしまうものだ。
思い、悩み、これまでの10年果たしてこれでよかったのか。そう後悔しながら、なぜか筋トレをはじめ5キロ体重が増えた。大胸筋に名前をつけて暮らす日々がくるとは思わなかった。人生って不思議なものですね。
長い自粛期間も終わり少しずつ外へといける日々が戻ってきた。プロテインの消費量も増えた。
まだまだ予断は許さないが、それでもようやく写真が撮ることができるようになった。
写真以外に何もない自分に嫌気がさしていたけれど、やはり写真を撮っていると楽しいし、写真のおかげで僕という人間を褒めてくれる人もたくさんいるということにあらためて気づいた。なんだかんだいって、僕には写真しかないんだな。そう思った。
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新しい作品が撮りたい
それでも、この果てしなく続くかと錯覚した自粛期間のなかで、自分の作品への向き合いかた、考え方にも変化が出てきた。
これまで一貫して自分の中にもっていたテーマは「世界の美しさ」
カメラと出会っていなければ見ることができなかった美しい世界を残しておきたい。そんな思い。
自分が見て美しいと感じた光景をいかに1枚の写真のなかに閉じ込めるか。あくまで主題は目の前にある素晴らしい風景。
自分の感情を残してみたいな
しかし、突然やってきた写真を撮れない日々、写真が無くなると何にも残ってない日々。
自分への無力感。行きたかったあの場所へ行けなくなってしまったという絶望。桜がきれいな時期にまた会おうと約束していた仲間たちと会えなくなってしまった喪失感。
そんないろんな感情に押しつぶされそうになるたびに上腕二頭筋を鍛えた。腹筋はいつの間にか割れていた。
こんなにいろんな渦巻く感情に直面したのはいつぶりなんだろう。ああ、この自分の気持ちを残してみたいな、写真で。ある日、そう思った。季節は梅雨に移ろうとしていた。もうすぐ夏だ。
夏は幻
そんな僕の気持ちに寄り添うかのように1冊の写真集と出会う。『夏は幻』
以前からSNSなどでお見かけしていたIska氏の初作品集。
そこに写っているのはまだ見たことのない絶景とかではなく、日常のノスタルジックで叙情的な風景たち。誰しもが持っているようで、しかし彼しか撮ることができない幻想的な世界。
新しい世界との向き合いかた
新しい生活様式がはじまる。僕も世界と新しく向き合おう。この写真集からそのヒントをもらえたような気がした。
季節がもたらす色や匂い、それにまつわる感情を撮りたい。
これまでは写真に美しい、という感情以外こめてこなかったけれど、もっと生々しい自分の思いのたけを作品に残してみてもいいんじゃないか。結局のところ、僕に残せるのって写真しかない。だからこそ、残したい、新しく向き合った世界と自分自身を。今はそんなふうに考えている。
あ、あともう少し大胸筋が大きくならないかな。今はそんなふうに考えている。