本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

『PHOTOGRAPHER’S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』がとにかく難しいけどためになったという話

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Photographers eye

まあ難しかった

こんなに骨太な内容と思ってなくて、購入してから読了するまでものすごく時間がかかりました。

万人におすすめできる本ではありませんが、写真に関する事象の様々なことを網羅しているので勉強してみたいと思うかたはおすすめです。



『PHOTOGRAPHER’S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』

『PHOTOGRAPHER'S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』目次

本書は6つのチャプターから構成されています。

  1. 画像のフレーム
  2. デザインの基本
  3. グラフィック要素と写真要素
  4. 色と光による構図
  5. 意図
  6. プロセス

目次のそれぞれを見てみると「バランス」だとか「三角形」だとか、一見すると僕たちが知っている当たりまえの単語が並んでいます。

そういう写真を構成するあたりまえのことを一から順に小難しく書いてあります

そう、けして噛み砕いてわかりやすくは書いてありません。小難しく書いてあります。

写真はセンスではない

iPhoneで写真

もちろん天才的なセンスを持った人間が感覚的にすばらしい写真を撮っているのは間違いありません。

しかし、そんなものはほんの一握りです。

センスという言葉がもつ甘美な魅力。そんな正体不明なものがほしい気持ちはよくわかりますが、なにもせずにそのセンスを手に入れられる人なんてほとんどいないのではないでしょうか。

僕のような凡人にできるのは、「何をもってこれを美しいと感じるのか」とすばらしい写真を構成するものを紐解いていくことだけなのです。

そして、この写真を紐解くという作業はこれまでたくさんの先人たちによって行われてきました。

紐解いたひとつひとつがどんな意味を持つのか

『PHOTOGRAPHER'S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』画像のフレーム

本書は写真を細かく紐解き、そのひとつひとつが小難しく掘り下げて書いてあります。

せっかく噛み砕いたものを小難しくしてあり、さらに元の文章が英文なので翻訳の際にさらに小難しくなっている感がありますが。

「なんでオレは三角形についてこんなに小難しく考えなければいけないのだ」という気持ちにならなくはないのですが頑張って読みました。

写真を撮るということにおいて「知っているか知らないか」というのは雲泥の違いがあると感じています。

四角いフレームに入れるという作業は簡単なようで、実はあらゆる無限の選択肢の中からそのひとつを選んでいるのです。

同じ被写体を前にしてその選択肢を「知らない」ということは、もしかしたら得られたであろう最高のシャッターチャンスを逃していたかもしれないのです。

例えばさきほどの「三角形」というオブジェクトがどういう意味をもち、画面の中でどのような効果をもたらすのか。

そういうことを「知っている」だけで目の前に広がる世界の中から「意図的に」三角形を探すという選択肢を選べるようになるのではないでしょうか?

そして、すばらしいフォトグラファーは「知っている」

『PHOTOGRAPHER'S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』デザインの基本

「オレ、全然勉強してないわ〜」そういった友人がテストで高得点出していた。という経験ありませんか?

特に難しいことしてないッス、センスで撮ってるッス。みたいに思える天才的なそしてすばらしいフォトグラファー。

けれど、そういうフォトグラファーは確実に「知っている」

こういう小難しい本を読み得られた知識で、写真を紐解き噛み砕いていくと、彼らが無数の選択肢の中から選んだすばらしい1枚というのは、おそろしく計算的で意図的で野心的な1枚となっていることに気づきます。

本書は必要以上に小難しく、長ったるい本にはなっているのですが、その実、写真において我々が知っておくべきことの大多数を網羅しているともいえます。

それをすべて理解できるかできないかは、また別の問題ですが。

ただ、それらも含めて今まで知らなかったことを知る機会になるでしょう。そして、それを知っているだけであなたは今までとは違ったアプローチで被写体に向き合うことができるのではないでしょうか。

もちろん知らなくたって写真は楽しめる

『PHOTOGRAPHER'S EYE -写真の構図とデザインの考え方-』グラフィック要素

何度も繰り返しますが、非常に難しい本です。正直、写真を始めたばかりのかたは何を書いてあるかよくわからないと思うのでおすすめしません。

懸念するのが「こういう難しい本を見ないと写真を撮れないのか、写真って難しい」と思われてしまうこと。

こういう難しい理屈や知識を得るということは写真が上達するための「十分条件」であって「必要条件」ではありません。

写真をうまくなるために1番大切なのは「写真を楽しむ」ことです。写真を撮って楽しかった、昨日より今日すこしうまくなれた気がする。そういう細かい成功体験があなたの写真人生を豊かにしますし、結果上達していくことになります。

楽しいからこそ、こういう小難しいことにもチャレンジしてみようかなとなったときに初めてこの本のページを開いてみたらいいと思います。

何も知らないうちから「勉強するんだ」という気持ちだけが先ばしって、結果よくわからないから写真は難しい。難しいことはやりたくない。となるのがいちばんよくないわけです。

まずはシャッターを切って、自分の1枚に日々感動することからはじめましょう。

まとめ

いちおう全部読んでみたのですが、分かる部分だけすっとばしながらつまみ読みするくらいがいいかもしれません。それくらい膨大で事細かく掘り下げて書いてあります。

いろんな経験をして、また読み返す。そんな長い付き合い方をするような本。

万人におすすめはしませんが、しかし、非常にすばらしい1冊だと思います。