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適正露出を得るためには「絞り・シャッタースピード・ISO感度」を正しく設定する必要があります。
今日はこの中の「絞り」について詳しく説明していきます。
絞り
今回説明する絞りとは①の場所の部分。
絞りはレンズの中についています。これを開けたり絞ったりすることで、光が入ってくる量をコントロールします。
カメラの機能は人間の目に置き換えるとわかりやすいことが多いのですが、この絞りも瞳をイメージすると機能が似ていることに気づきます。
人の目は明るいところでは瞳孔が小さくなり、暗いところでは光を取り入れるために逆に瞳孔が開きますね。
では、実際にどのようにレンズの中にある絞りが開いたり絞られたりするのか、動画で見てみましょう。
AF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gの絞りを開け閉めしている様子です。動画ではわかりにくいかもしれませんが、絞りは「絞り羽根」とよばれる複数の板を重ね合わせて作られています。このレンズであれば9枚の絞り羽根で構成されています。なんとなく九角形になっているのがわかるでしょうか。
AF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gmmに使われている絞りは「円形絞り」といい、絞ったときの形状がきれいな丸になるように作られています。このように絞りが丸いと、点光源をぼかして写した時にきれいな丸ボケにすることができるのです。
いっぽう、円形にならない絞りを多角形絞りといいます。
絞りの働き
絞りの働きは大きく分けると「明るさ」と「ボケ」をコントロールすることにあります。
ここで注意しておきたいのが、絞りを開け閉めするのはきちんとした明るさをコントロールすることがまず第一ということ。つまり「適正露出」を得ることが一番の目的なんですね。
僕なんかはボケスキーなのでついつい、いかにボカすかばかり考えてしまいますがきちんと写真として成立させるために「適正露出」を意識しましょう。
F値(えふち)
絞りがどれくらい開いているか、というのは「F値」という値で表されます。F値のFは「焦点の」を意味するfocalからきています。
カメラのレンズの表記に「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」と書いてあるのは開放のF値のことを指していて、この数字が小さいほどたくさん絞りを開けることができます。
Nikonでは開放F値1.4のものが最もF値が小さいですね。絞りをたくさん開ければ、たくさん光を取り入れることができます。なのでF値の小さいレンズを「明るいレンズ」なんていいます。
上の図を参考にしてもらうと分かりやすいのですが、絞りの空いた面積が1/2になるごとにF値は
「F1.4→F2→F2.8→F4→F5.6→F8→F11→F16…」というふうに大きくなってきます。
このF値の数字は覚えられれば覚えておきましょう。覚え方は簡単で1.4から2倍にしていく数字と2から倍にしていく数字が交互になっています。なんでこんなへんてこな数の順番なのかは興味があれば調べてみてもいいですが、小難しいのですっとばし推奨です。
このF値を1段階、開けたり絞ることを「1段開ける」とか「1段絞る」といいます。
次回やりますがシャッタースピードにもこの1段というのがあります。絞りを1段明るいほうに変化させたとき、シャッタースピードを1段暗いほうへ変えれば、露出量は変わりません。これもぜひ覚えておきましょう。
手ブレするのでシャッタースピードを1段早くすれば暗くなります、なので絞りを1段開けることで露出量を変えずに適正露出で撮影できるというわけです。
ボケ
F値を変化させることで被写界深度が浅くなったり深くなったりします。ちょっとコレも難しいので後述しましょう。
とにかく覚えておきたいのは
- F値が小さい(例:F2.8)=よくボケる
- F値が大きい(例:F16)=ボケる範囲が少ない
ということ。
では実際にどうなるか見てみましょう。
以下の写真では全て赤い缶にピントを合わせています。F値を変更させるとどのようにボケ方が変わるかに注目してみてください。
F2.8
F2.8で撮るとこのように、ピントが合っていない場所はかなりボケているのがわかります。奥の缶もそうですが、手前の缶もボケてますね。また、ピントが合っている部分から離れるにしたがってボケ方が強くなっているのにも注目です。
F5.6
F値をさらに2段分(F2.8→F4→F5.6)絞ったF5.6の写真です。前後の缶のディティールが分かるようになってきましたが、奥のほうはまだまだボケています。
F8
さらに1段(F5.6→F8)絞って写真がこちら。だいぶくっきりしてきました。余談ですが、F5.6〜F8くらいが一番レンズの性能を引き出せ、良い画質になることが多いです。
F16
F16まで絞ると、全体像がはっきりしてきましたね。僕が風景写真などを撮るときには、画面の隅々までピントを合わせるためF8〜F11くらいまで絞ることが多いです。
F22
F22まで絞ることで全体にピントが合うようになりました。しかし、絞りすぎると今度は「小絞りボケ」と呼ばれる、光の回折現象によってシャープさが失われるとうい現象がおきます。
小絞りボケ(回折現象)
缶の一部を拡大したものです。左がF8、右がF22で撮ったもの。F8に比べF22のほうがモヤっとして、シャープさが損なわれているのがわかるでしょうか。
必要以上に絞りすぎないほうがよさそうです。このへんは、シチュエーションによって変わるとおもいますので、いろいろと試してみましょう。場合によってはF22まで絞るのも全然ありですし。
被写界深度(ひしゃかいしんど)
出た。カメラ用語の無駄に長い熟語。
これを被写界深度が深いとか浅いとかいうんです。なんか小難しい気がしますが、せっかくなんで覚えて帰ってください。では、ちょっと噛み砕いてみましょう。結局は先ほどのピントが合うとかボケるとかのことを言ってるだけなんですが。
「被写」は写されるものの事ですね。被写体という言葉もあるので、それをイメージしたらわかりやすいです。
「界」はピントが合う範囲のことをさします。
「深度」はそのまま深さですね。
つまり、「ピントが合う範囲が多い(深い)か少ない(浅い)」という言葉なんです。コレ。
被写界深度が浅い写真
これはF2.8で撮った写真。矢印の範囲がピントが合っている範囲です。カメラを構えた時ピントが合う薄い面があるとイメージしたらわかりやすいです。この薄い面が被写界深度なわけです。
被写界深度が深い写真
絞りを絞る(F値が大きい)ことでこの面が厚くなります。ピントが合う範囲の多い「被写界深度の深い」写真となるんですね。
もっとわかりやすい用語を使えばいいのにと思うんですけどね。ピントバッチグー距離とか。とはいえ、カメラ用語として被写界深度という言葉はこれからもよく目にすると思うので、せっかくなんで覚えておきましょう。
まとめ
絞り、F値、被写界深度など専門的な用語が出てきてちょっと混乱してきそうですが、実はやってることはそんなに難しくありません。
絞りで覚えておきたいこと
- カメラに入ってくる光の量をコントロールして適正露出を得るため
- 絞りを開け閉めするとピントが合うエリアが深くなったり浅くなったりする
- 被写界深度を浅くするとボケのある写真が楽しめる
これくらいです。
すぐに全部理解するのではなく、今日説明したことを頭の片隅にでも置いてもらって、実際に絞りを開けたり絞ったりしていろいろと試してみたほうがてっとり早く実感できると思います。また、単焦点レンズなどのF値の小さいレンズで試すほうが、違いがよくわかるとおもいます。