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なんでこんな名前なの?カメラのセンサーの由来を調べてみた!

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カメラのセンサーにはいろんな名前がついていますね。35mmフルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ……。

センサーという同じものの規格の名前なのに、なんでこんな統一感のないような名前なんでしょう?今日はこのよくわからないセンサーの名前の由来をちょっと調べてみましょう。



センサーの前はフィルムだった

35mm判フィルム

なんでこんないろんなややこしい名前がそれぞれついているのか。それにはまず、センサーの以前にそこにあったものがフィルムだったということを理解しておく必要があります。

今ではもうフィルムを見かけることなんて少なくなりましたが、それでもちょっと前まではカメラと言えばフィルムの世界でした。なので、カメラ用語の中にはフィルム由来のものが少なくありません

カメラはデジタルになったけど、レンズはフィルムの頃のまま

フィルムからデジタルへ

カメラの中にはこんな感じでフィルムが入っていました。今ではこの部分にセンサーがありますね。

フィルムからデジタルへ

んで、どんどんデジタルが進歩してくると、やっぱりカメラにもその波がやってくるわけです。とはいえ、今までずっとフィルムカメラに合わせてレンズも作られてきたので、仕組みを一緒にしておかないと、フィルムユーザーはなかなかデジタルに移行してくれないわけです。今までのレンズ資産がムダになりますからね。

そのころはまだまだフィルムが主流、デジタルが傍流の時代です。

デジタルの小難しい言葉をあらたに普及させるよりは、それまでフィルム時代に使っていたものをそのまま使用したほうが、当時のユーザーにとってはピンときやすいわけです。

今ではフィルムよりデジタルのほうが優勢に

フィルムからデジタルへ

ですが今では完全にデジタルとフィルムの関係は一転。デジタルが主流、フィルムが傍流になってきました。ごらんいただいているかたの中にはフィルムカメラは触ったことすら無い、なんて人もいることでしょう。

結果、フィルム時代からの名残として、いろんな言葉が今に残っているのですが、これが新たに入ってきたユーザーにとってはちょっと理解しにくい点ではないでしょうか。

デジタルに移行してからも、フィルム時代の言葉を使い続けた結果、いまさら新しく規格名を変更するというのも浸透し辛いわけです。ちょっと背景が理解できましたか?



センサーの名前の由来

ということで、なんで昔の名前が残っているかわかったところで、じゃあ実際今使われているセンサーの名称はフィルム時代のどんなところから来ているのかその由来を探っていきましょう。

いろんなセンサーの名前が出てきますが、それぞれ大きさが違います。どんなふうに大きさが違うのか比較した記事があるのでこちらもぜひご覧ください。

カメラのイメージセンサーのサイズ比較 – ログカメラ

中判

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中判デジタルカメラは現在PENTAXや富士フィルムなどのメーカーが発売しています。

これは120mmフィルムというフィルムを使用していたカメラを中判カメラと読んでいたことから由来しています。中判カメラがあるなら、やっぱり大判カメラもあります。これらの違いは取り扱うフィルムの大きさの違い。大判は「シノゴ」なんて呼ばれるフィルムが多いですね。今でも使われているかたを見かけることがあります。

35mmフルサイズ

35mmフィルム

フィルムでもっとも普及したのがこの35mmフィルム。ドイツのメーカーであるライカが使いだし、全世界に広まったことからライカ判とも呼ばれます。

最近ではめっきり見ることが無くなりましたが、この小さな円筒形の形をしたものの中に写真が詰まっているんだと思うと妙にワクワクしたのを覚えています。

もっとも普及したということもあり、NikonやCanonなどたくさんのメーカーがこのフィルムの規格で一眼レフカメラを作っていました。というわけで、カメラの王道中の王道。今のカメラ用語には多くこの規格の名残があります。多くのカメラ初心者を躓かせるであろう、悪名高き「35mm換算」もこのフィルムが由来。

多くのメーカーがこのフィルムを使っていたので、現在のデジタル一眼レフカメラのハイエンド機はこのフィルムの面積とほぼ同じセンサーサイズになっています。

さて、その35mmフルサイズのセンサーサイズなんですが横36mm×縦24mmです。あれ?35mmじゃありませんね?

35mmフィルム

これフィルムの縦横のサイズで35mmフィルムというのではなく、フィルム幅が35mmあることが由来しているんです。真ん中の白い部分が写真が写るところ。周囲の小さいのはパーフォレーションといって、フィルムを巻き上げるための穴が開いています。

パーフォレーションまで含めたフィルムの幅が35mmなのでそう呼ぶんですね。

フルサイズってなんだ?

女の子

35mmはわかりましたが、あれ?フルサイズってなんだ?

実はもっとも普及したこのフィルムの規格。なんですが、黎明期のデジタル一眼レフカメラって実はセンサーサイズが後述するAPS-Cサイズのセンサーだったんですよ。35mmフィルムよりも少し小さな面積のセンサーです。Nikonの最初のフラッグシップデジタル一眼レフ機のD1もセンサーはAPS-Cサイズでした。

大きいセンサーを作るのは技術的に難しくコストも膨大にかかるからです。

しばらくAPS-Cセンサーで開発されてきたデジタル一眼レフカメラでしたが、日進月歩の技術の進歩のおかげでようやく35mmフィルムと同じ面積のセンサーを搭載することができるようになります

ちなみに、海外ではフルサイズのことをフルフレームと呼びます。今までフレーム(フィルムの映る部分をフレームといいます)の中を一部しか使えなかったものが全部(フル)に使えるようになったからですね。なので、フルフレーム。

それが和製英語として、フルサイズと呼ばれるようになりました。それで35mmフルサイズ、なわけです。へ〜へ〜へ〜。

というわけで、すごく歴史があるんですが、初めてのカメラがデジタルな世代にとってはちんぷんかんぷんな言葉になってしまったわけですね。

すごくどうでもいい豆知識

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ものすごくどうでもいいですし、よくわからない人が見ると余計混乱するので、すっとばし推奨です。

さてさて。もとのフレームに対して、レンズのイメージサークルの全部を使えなかったことからできた、フルフレームやフルサイズという言葉。

なので、実はSONYのEマウントのフルサイズ機(α7など)はフルフレーム(フルサイズ)とは呼べません。なぜなら、EマウントははじめからAPS-Cサイズが基本となっているからです。APS-CサイズのセンサーがEマウントのフルフレームです。わかります?APS-Cのフレームを最初からフルに使えるように設計されていますよね。

なので、Eマウントのフルサイズセンサーは言葉の本来の意味からするとオーバーフレームとか呼んだようが妥当なわけです。とはいえ、言葉というのは時代によって変化するもの。あんまり気にしすぎないように(笑)

気になるかわいいカメラ女子が「SONYのα7Ⅱ買ったょ!フルサイズだからすっごくキレイに写るょ!」なんて言ってきた時に「いやいや、EマウントはAPS-Cがもとだからね、そもそも最初からフルサイズなんだ、だから、α7はフルサイズなんて言わないんだよ」なんて言っちゃうあなたは完全にもてませんので気を付けましょう。

そういうときは「すごいね、キレイだね!でも君のほうがキレイだよ!」なんて言っときゃいいんです。

APS-C

APS-C フィルム

現在のセンサーで、35mmフルサイズの次に大きいのがAPS-Cサイズのセンサー。

これもまた、あれですよね。よくわかりませんよね。なぜ突然英語なんだと。そして、なんで棒線ひっぱってCなんだと

このAPS-Cも元をただせばフィルム由来の名前なんです。

フィルムからデジタルに移行するころに新規格として世に送り出されたのがAPS-Cというフィルム。これ、実は略語になっていまして、正式名称をアドバンストフォトシステムといいます。英語にするとAdvanced(A) Photo(P) System(S)。なのでAPS。訳すと「新しい写真のシステム」といったところでしょうか。

これ、当時の名だたるメーカーによって「世界標準の新しい写真システム」という理念のもと開発されました。フィルムを密閉型のカートリッジに入れておきフィルムに触れることなく装填できたり、35mmよりも幅の小さいフィルムを使用することによりカメラ自体を小型化できたりすることができました。

Cって?

帽子を被った赤ちゃん

さて、APSはわかったんですが、この棒線ひっぱった後につづくCってなんだ?って話です。

このAPSという規格のフィルムでは3種類のアスペクト比で現像ができたんですね。

  • Hサイズ(ハイビジョン)ー基本となるサイズ。アスペクト比は9:16
  • Cサイズ(クラシック)ー35mmフィルムと同じ、2:3のアスペクト比
  • Pサイズ’(パノラマ)ー横に長いパノラマサイズアスペクト比は1:3

H(ハイビジョン)を基準に、C(クラシック)やP(パノラマ)はHをトリミングして現像できました。

35mmフィルムなどは今でも購入することができますが、APSのフィルムって見たことある人って少ないんじゃないでしょうか?これね、うん、まああれだ。こけちゃったんだ

カメラの主流がフィルムからデジタルに移行する過渡期に提唱され、メーカーが思うようにはユーザーに浸透せず、なんだかいつの間にかそれより便利なデジタルを手にするようになっていました。

というわけで、35mmフルサイズ以上に、デジタルから入ったユーザーにとってはちんぷんかんぷんな規格となってしまったのです。35mmフィルムはまだ今でもあるので、なんとなくイメージつくんですけどね。

すでに無いフィルムの規格のCというサイズ……。そら初心者も混乱しまっせ。

マイクロフォーサーズ

フォーサーズ

via:Four Thirds│フォーサーズ│規格説明 

現在、OLYMPUSとPanasonicのカメラで採用されているマイクロフォーサーズというセンサーのサイズ。これ、前身にフォーサーズという規格がありました。センサーのサイズ自体は同じですが、カメラやレンズは別のものです。

今ではマイクロフォーサーズというと、ミラーレスカメラの代名詞となっていますが、このフォーサーズは一眼レフカメラ用の規格。

また、今まで書いてきたのフィルム由来のセンサーの規格と違い、フォーサーズはデジタルが普及しはじめてから提案されたものです。イメージセンサーは4/3型になっていてこれがフォーサーズの名前の由来となっています。

アスペクト比は4:3。35mmフルサイズやAPS-Cと比べて若干、横の比率が短いのは当時のパソコンのモニターがこのサイズのアスペクト比であり、フルスクリーンで表示できたから。ここにも新しいデジタル時代に対応しようというのが見て取れます。なんですが、今となってはパソコンもテレビも横長が主流にはなってきちゃいましたね。

三脚 シルエット

今まで説明してきたとおり、デジタル化する際にいろいろなフィルム時代のしがらみがたくさんあったわけです。そうではなく、デジタルカメラのためだけに新たに開発し、なんのしがらみなどなく、そのデジタルの性能を十二分に発揮できるように、という「デジタル一眼レフカメラシステムの将来」を見据えたコンセプトで世に送り出されました。

とはいえ、今現在フォーサーズ規格というのは開発が終了しています。これもね、うん、まああれだ。こけちゃったんだ。

センサーサイズを従来の35mmフルサイズの半分のサイズにすることで

  • 焦点距離の短いレンズでも望遠を狙える(フォーサーズの200mmと35mmの400mmと同等の画角)
  • センサーを小さくすることでカメラやレンズの小型化
  • レンズを小型化することでイメージセンサーに光を直進性をたかめて、モアレや、解像感の損失、周辺現行などの解消

などなど、かなり画期的なコンセプトがありました。

ですが、市場に出てみると

  • 大きさは他のメーカーのカメラと同じくらい
  • なのに、センサーが小さいので暗所に弱い
  • 値段も変わらない

といった評価を受けることになりました。たしかに、今のフルサイズの大きさと価格でセンサーサイズ半分だと、望遠が強いとはいえ、ちょっとなかなか買うのに勇気がいりますね。

マイクロフォーサーズへ

マイクロフォーサーズ機

残念ながらフォーサーズ規格としては終了してしまいましたが、そのコンセプトはミラーレスに特化したマイクロフォーサーズへと受け継がれていくことになります。

本来目指していたものが、ミラーを無くした新しい形のカメラにばっちり適合したわけですね。

小型・軽量・安価なたくさんの素晴らしいカメラがマイクロフォーサーズ規格として発売されています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

デジタルから始めたかたからすると、なかなかとっつきにくいカメラ用語ではありますが、その歴史を紐解くといろんな発見があったのではないでしょうか。

それでもカメラの歴史なんてまだまだ数十年。これからも新しい規格、コンセプト、技術のブレイクスルーでいろんな機種が発売されていくと思うと楽しみですね。

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