本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

それは空気まで写す、ツァイス「Apo-Sonnar(アポゾナー) T* 2/135 ZF.2」

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2

今現在、けっこういろんなレンズを持っているのですが、その中でも他のレンズに圧倒的な大差をつけて大好きなレンズがあります。

それが、Carl Zeiss(カールツァイス)のApo-Sonnar T* 2/135 ZF.2。

なにがどういいのか、うまく説明できる気がしないのですが、とにかくいいのでとりあえず今日はとことんその愛を語ってみようと思うのです。

135mmという画角

湯の山の枝垂れ桜

まず言いたいのは、このレンズの画角である135mmなんですが、まあとにかく使いにくいということ。

135mmというこの画角、かなりうまいこと構図を考えないとなかなかその画角の中にうまく収まってくれません。とくに風景なんかはやはり広角が使いやすいですし、持ち出してもただの重りにしかならなかったなんてことはザラにあります。

これを手に入れて、けっこう経ちますが、大好きにもかかわらず今日までこのレンズについて言及しなかったのは作例が貯まらなかったからです。めちゃくちゃ好きなんですがとにかく出番がない。

それでも。それでもですよ?

この恐ろしく使いにくい135mmという画角に見事収めることができた時。

そう、重くて使いにくいこのアポゾナーというレンズを、それでもめげることなく持ち出した結果、それがパーンとハマった時。それは震えがくるような描写を見せてくれるわけです。

写真をブログに縮小するのが、ほんとうにもったいないくらい。なんなら、うちに来てもらってデカイサイズのPCで等倍で見ていただきたいくらい。恐ろしい描写をします。実際に来られると、僕としても警察のお世話にならざるを得ないのでそのへんは空気読んでくださいね?

この桜の写真も、カリカリに解像しているくせに、花びらの1枚1枚がまるで生きているかのような艶めかしさ。

最近はいいレンズがたくさんあり、解像感がある、なんてのはあたりまえになってきましたが、この艶っぽい描写はアポゾナーならではだと思うのです。

備中松山城 雲海

絞ってカリカリに解像する。それはただ単に像がシャープに描かれている、というだけではないのです。なんでこのレンズでとるとこんなに気持ちがいいのか、説明できる知識がないのが非常に歯がゆいのですが、まあめちゃくちゃいいわけです。

とくに、こんな霧などの表現なんていうのは、けっこう野暮ったくなったりするんですが、霧が霧としてまるでその動くさまさえ見えてきそうなこの雰囲気はおしっこ漏らしそうになるわけです。

ボケる、ということを改めてきちんと考えてみる

アポゾナー ボケ

ボカせばいい写真になる、というわけではありませんが、やっぱり僕たちはボケた写真が好きなわけです。好きなもんに理由はいらないので、好きなだけボカした写真を撮ればいいと思うんです。

さて、そしたらボケた写真を撮ろう。

ここでひとつ質問ですが、あなたは今持っているレンズのボケに満足していますか?僕はこのアポゾナーを手にしてみて、あらためてボケのある写真の楽しさ、美しさ、素晴らしさを知りました。ボケた写真が撮りたい、という理由で初めた一眼レフでしたが、ようやくその思い描いていた理想にたどり着けた気がしています。

とろけるようにボケる、なんてことをいいますが、まさしくその言葉はこのアポゾナーに用意された表現ではないでしょうか?

そばの花

ソバの花を逆行で撮ります。細かくて小さいソバの花。こういった被写体というのは、実はけっこうボケがうるさくなりがちです。そんなうるささをこの写真からはほとんど感じられないのではないでしょうか?

さらに感嘆すべきは、手前から奥へと向かっていくボケのなだらかなこと。f値さえ明るければボケるのはなんぼでもボケるんですが、そのボケがなだらかにならず突然ガタッとピントが合うレンズが多いんです。

ボケがなだらか。これって簡単そうですけど、やってみるとけっこう難しいんです。

ネモフィラ アップ

ボケには前ボケと後ボケがあり、どちらもキレイにボケるレンズというのは設計が難しいといわれます。アポゾナーのボケは前も後ろも非常に美しい。中望遠ならではの圧縮効果とボケ感というのは他の焦点距離では出せない雰囲気です。

あまりにきれいにボケるので、日頃はゴリゴリの風景を撮っている僕も内に秘められた乙女心が爆発し、女子力高めの写真を撮ってしまう、いや、撮らされてしまうわけです。

アポゾナーが写し出す空気感

又兵衛桜 朝 光

ボケがキレイ、描写がキレイ。なるほどなるほど。すばらしい。けれどね、昨今のレンズはけっこういいものが多く、そいういった謳い文句のレンズなんてけっこうざらにあっちゃうわけです。じゃあ、そんなレンズの中からなぜ突出してアポゾナーが好きなのか?

これもまたうまいこと説明できなくて申し訳ないんですが、空気が写っている感じがするわけです。

この空気感というのは、今持っているCarl Zeissのレンズ全般に感じることで、それでツァイスのレンズというのは好きなんですが、アポゾナーはその空気感というのが群を抜いてすばらしいと、僕は思うわけなんですね。

ハシビロコウ

それはやっぱり135mmという画角も関係しているのかもしれません。中望遠ならではの薄い被写界深度、f2.0という明るいf値。開放でもピント面はしっかりと解像し、アウトフォーカスする部分はなだらかにボケていくこのレンズは、写真に立体感を与えてくれます。

ヒメボタル 電車

艶めかしさを超えて、エロささえ感じるこの描写、空気感。他のレンズではなかなか感じられないのですが、アポゾナーさえ使ってしまえばポンポンとそんな写真が撮れちゃうわけです。今まで試行錯誤していたのはなんだたったのか、という理不尽さも感じてしまうくらい、たった1本のレンズでさまざまなことが解決してしまうわけです。

まとめ

いかがだったでしょうか。このレンズのすばらしさを説明できている気がしませんが、僕がめっちゃアポゾナー好きということがわかっていただければ今日のところは満足です。

重いし、135mmでクソ使いにくい画角だし、オートフォーカス効かないくせに被写界深度薄いからピントなんか外しまくるし、カメラバッグの中で重りになっていることのほうが圧倒的に多いアポゾナーですが、それでも持ち出せずにはいられません。

それは、やっぱり他のレンズにはないバツグンの描写をしてくれるからです。ハマった瞬間これしかない回答を出してくれるからです。

なので、これからも、重くて使いにくいレンズをぶつくさ文句いいながらも、せっせとカメラバッグに詰め込んで旅に出ようと思うわけなんです。

Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2はすでに生産終了しており、今はMilvusというシリーズにリニューアルしています。

[amazonjs asin=”B01N5W9KEG” locale=”JP” title=”Carl Zeiss 単焦点レンズ Milvus 2/135 ZF.2 フルサイズ対応 ブラック”]

関連記事