本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

写真展を開催する際にやったことや気づいたこと

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先日、初の個展「ああ、世界は美しい」が無事に終了しました。また、同時期にはグループ展「Message from Nature」にも参加させていただくこともできました。

これまでプリントすらやったことのない僕がいきなり写真展という経験をさせてもらえたわけで、今回どのような段取りでやったかというの備忘録的に書いておきたいと思います。

今後、写真展やってみたい!というかたの何かの参考になれば嬉しいです。

写真展「ああ、世界は美しい」無事に終了しました!ので、今回の写真展を振り返ってみる

会場・日時の決定

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まず最初にやることは場所と日時の決定です。

今回、僕が個展をやったのはニコンプラザ内のTHE GALLERY、そしてグループ展をやったのはギャラリールデコという場所。

メーカー系のギャラリー

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ニコンやキヤノンなどのカメラメーカーでギャラリーを持っているところは、そこを使わせてもらって写真展を開催することができます。

メーカーも写真文化の向上を目的としているので、会場の使用料金は無料なところも多いようです。

例えばニコンには

  • ニコンが企画し発信する「THE GALLERY」
  • 写真文化の普及・向上を目的とする公募制の写真展示場「ニコンサロン」

の2つがあります。

今回はニコンの企画だったので僕が写真展をやらせてもらったのは「THE GALLERY」

一方、ニコンサロンのほうは選考があるもののプロ、アマに関わらず、また撮影機材などの制約もなく写真展をすることができます

会場費も無料なうえ、諸経費の一部をニコンが支援してくれるという太っ腹っぷり。

以下のような支援をしていただけるようです。

無償貸与

  • 展示スペース
  • ニコンサロン常設額

開催に伴う諸経費の一部支援

  • 案内ハガキ制作費の一部
  • 会場内の挨拶文や略歴、キャプションなどの展示物制作費(多量の場合は出展者側で一部ご負担いただきます)
  • 案内状の発送費(個人分除く)
  • プレスリリースの発行
  • 展示作業費
ニコンサロン – 出展のお申し込み | 写真文化活動 | ニコンイメージング

他のカメラメーカーによって違いはありますが、同じようにギャラリーを開いています。

レンタルギャラリー

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利用料を払えば誰でも借りられるのがレンタルギャラリー。1日から借りれるところもあれば1週間のスパンで借りるところも。

グループ展で使用させてもらったのが「ギャラリールデコ」ですが、こちらの要項を見てみると

  • 1フロアを借りる(B1階・3階〜6階)
  • 1単位・7日間20万円
  • 月曜日は搬入日

となっています。渋谷の立地のいい場所にあるので知り合いだけでなく、通りすがりのようなお客さんなんかも展示を見にきていらっしゃいました。

どんな展示をするか、どこで展示をするかとかでもいろいろと変わりそうですね。

都会のほうにいけばギャラリーはたくさんあるのでいろいろ選べそうです。

日時の決定

場所が決まればあとは日時の決定。

僕は今回は東京と大阪で各2週間やらせてもらえましたが、レンタルギャラリーなんかを借りてやる場合は1週間くらいのが多くなるかもしれません。

会期が短くなれば来てもらえるチャンスが少なくなるデメリットもありますが、その分短い期間にたくさんの人が集中して来てくれるので賑わってる感じはでそうです。

実際の会期にプラスで搬入、搬出などの作業時間も必要になります。

搬出は片付けるだけなので、最終日を午前くらいで終わらせて午後から、とかでもよさそうですが搬入はなにかと時間がかかるので1日あったほうがよいのではないかなと思います。

搬入、搬出を自分でやることも、もちろんできますが、業者の方にお願いできることもできます。

タイトルの決定

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場所と日時が決まれば、次は写真展のタイトルを決めましょう。

どんなタイトルをつけたっていいのですが、どのような展示をするのか分かりやすいよう、お客さんが興味を惹かれるようなタイトルがいいかと思います。

今回の僕の写真展は「ああ、世界は美しい」としました。

もう、お前、そのまんまやんけもうちょい考えろやと、つっこまれそうですね……。

このブログをけっこう長いこと書いてきて、いろんな素晴らしい場所へ行ってきた記録を残してきたんですが、特に心を打たれたような時の記事に、これまで意図的にこの「ああ、世界は美しい」というワードを忍ばせていたんですね。

どれくらいの読者のかたが気づいていらっしゃるか、というかほとんど気づかれてないような気もするんですが、それでもこの「ああ、世界は美しい」という言葉は自分の中でけっこうこれまでの写真人生を象徴するような言葉と捉えていたので、安直感はいなめませんがこのタイトルにすることにしました。

ステートメント・プロフィール

タイトルが決まったら、次はステートメントとプロフィールを書いていきました。

プロフィールはもうそのまんまプロフィールなんで分かりますが、ステートメントとはなんぞや?と思いますよね。

ステートメントというのは作品の説明書のことをいいます。写真展であればその写真展の説明書です。

などと、書いてますがイマイチ僕もよくわかっていません。ただ、まあなんとなくこの写真展をなんでやろうと思ったかとかどういう写真展でどういうことを伝えたいのかっていうのを書けばいいのではないかと見当をつけわわわーっと書いてみました。担当の方からもオッケー出たのでまあ、そういうもんではないかという認識でおります。

ちなみに、以下が今回の写真展の作家ステートメントになります。

「ああ、世界は美しい」

私がカメラを手にしてから、何度この言葉を呟いただろうか。

凍てつく大地を覆うようなオーロラ、まるで鏡の上を歩いているような塩の湖、寒さと強風に耐えながら迎えた冬山から見る朝日。青く深い海の底。それまで知ることさえなかった、想像を絶する光景の数々。


テレビの向こう側にしか見られないような世界に、カメラを持つと飛び込んでいくことができた。

仕事終わりの体にムチを打ち、夜を徹して車を走らせてでも見たかった景色。


全ての力が尽き果てるまでに歩いたその先に見えた山々。


写真を始めなければ出会うことができなかった生き物たち。
全て写真は記録してくれた。


あと何度、このような素晴らしい光景に立ち会えるのだろうか。


死ぬまでに行きたい場所を挙げればきりがないけれど、私たちには夢を叶える力がある。夢を叶える権利がある。一歩踏み出すときいつも手にしているのは小さなカメラだ。

そして、また出会える光景を見てきっとつぶやくのだろう。

「ああ、世界は美しい」

自分のことをまったく知らないような方も来ることになると思うので、その写真展の説明というのはあったほうがいいですね。

DMの作成

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このへんは全部同時進行でやってます。

写真展の日時と場所が決まったらDM(ダイレクトメール)の作成に移りました。とはいえ、こちらもNikonさんにやってもらったので、僕はDMのデザインと色のチェックだけなのですが、、、

ちなみにこちらが今回作ってもらったDM。カッコよろしいですね。

写真展を開催するのであれば、できればたくさんの人に来て欲しいわけで、そうなると宣伝が大事になってきます。

友だちや知り合いに写真展やりますよ!来てくださいね!っていうふうにこちらのダイレクトメールを送るわけです。

また、知らなかったんですが、ギャラリー同士でも交流があるようで、例えばニコンプラザでやる写真展のDMを Canonや富士フィルムなんかでも置いてあったりします。

競合メーカーなんだけどそういうやりとりがあるんだ、いいもんだなあと思った覚えがあります。ギャラリーなどに持ち込んでお願いしたらDM置いてくれるところけっこうあるのではないかと思います。

展示プラン・どの作品を並べるか考える

ここから実際にどのような展示にしていくか中身を詰めていきます。

また、ここでも僕はほとんどおまかせしているのですが、、、

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ちなみに今回の展示がこんな感じ。

当初はアイレベルに同じ高さに作品を並べるのを提案されたのですが、僕が「とにかくデカい写真を並べたいです」と要望を出していたのでいろいろと話し合った結果このような展示になりました。

今回はB0が2枚、A1も10枚、その他のもA2サイズと希望をしっかりと聞いてくださり、デカくて迫力のある展示になりました。

作品選び

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どの作品を並べるか?というのもかなり悩ましいところだと思います。

自分の好きなものを並べる、というのも考えたのですが、第三者のご意見もいただきたかったので、候補をわさーっと送らせてもらって、そこから写真展にふさわしそうなものを選んでもらいました。

結果、自分では選ばないような作品も並びましたし、そういった作品の方がお客さんからの反応も良かったのでよかったなと思います。

どの作品をどのように並べるか?どんなテーマでやるか?というのは選択肢も無限にあるので納得いくまでしっかりと考えてみましょう。

どのようなプリントにするか?

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プリントをどうするかというのもけっこう難しいですね。

僕の場合はラムダプリントという、銀塩写真印画紙にレーザーで直接感光させる方式のものを選びました。インクジェットに比べマットな雰囲気となり、すごく上品な感じでとてもよかったです。

この辺も展示する写真や構成、作品によってふさわしいプリントの仕方もいろいろとあるので悩ましいところです。

額装

写真を額に入れるのか、入れないのか?入れるのならどのような額装にするのか。

額に入れなくても、写真の周囲を白く余白を入れるだけでも雰囲気はまったく変わってきます。

テストプリント

どのようなプリントにするか決まったらテストプリントをします。

普段、よくプリントしている人ならいいですが、僕はまったくというほどプリントの経験がありませんでした。

パソコンのモニターではRGBの3色を足して色を表現する加算混合ですが、プリントはCMYKを混ぜていく減算混合となります。

最初テストプリントしてもらったとき、その違いにけっこう慣れず、さらにはマットな仕上がりのプリントだったので、けっこう地味に感じてしまいました。

また、モニターで見ている色との差異もありかなりイメージと違ったので、直してほしいところをいろいろと相談させてもらいました。

写真展で実際にライトをあてて展示してみるとまた雰囲気が変わるので、最初は地味に思いましたがまったくイメージが変わり落ち着きのあるいい色あいになりました。

気になっていた部分もしっかりと修正してもらい素晴らしい仕上がりになったので、やはりその道のプロはすごいなあとひしひしと思いました。

名刺、フォトブック、ポストカードの作成

ここまでくると写真展自体の準備は大方終わってきます。

あとは、来場者の方にお配りする名刺ポストカード、展示場に置いておくフォトブックを作りました。

名刺

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名刺はいろいろ探したのですが、イマイチピンとくるものがありませんでした。

デザインのテンプレートを用意してくれてる業者さんはいくつもあるんですが、どこも絶妙にイマイチというか…

ということで、自分の好きなデザインで作ろうとcanvaというサイトを利用しました。

こちらはいつもブログのアイキャッチを作るときに利用しているのですが、いろんなデザインのものを簡単に、なおかつそれなりにオシャレに作ることができて重宝しております。

とはいえ、僕のセンスはかなり壊滅的ですので、さほどオシャレな感じにはできなかったです。

また、裁ち切りなどの作法がよく分からず、デザインの意図しない部分から切られてたり、印刷の色の出方もイマイチ微妙だったので、なかなか難しかったです。

saizouとしての名刺なので電話番号やら住所やらは書かず、SNSやブログを載せました。

URLを記載しても打ち込むのめんどくさいかなと思って全てQRコードにしたのですが、写真展にいらっしゃるかたは、ニコンプラザに併設されてるサービスセンターに行ったついでに来られたような高齢の方も多くちょっとわかりにくかったかなと反省してます。

URLも併記しておけば親切だったかなと思ってます。

ポストカード

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ポストカードはラクスルで発注しました。

ポストカードに関しては写真があって反対側にポストカードっぽい郵便番号書くとこや切って貼るとこさえあればそれっぽく見えるので、テンプレート選びもそんなに難しくありませんでした。

一応、各SNSのQRコードも載せておいたのですが、これまたどれくらい読み取ってくれる方がいたかあやしいところです。

フォトブック

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フォトブックは、展示場での販売用と閲覧用の2種類作成しました。

ニコンプラザではサービスカウンターで販売を委託することができ、在廊してない時でもお買い求めいただくことができました。

価格に関しては作成前にTwitterでアンケートをとったところ3000円くらいがが一番需要が多かったので、なるべく安くあがりながらもそれなりのクオリティになるようにしました。

もう1種類、写真展で閲覧してもらえるようなちょっといいのが欲しかったのでMybookで作成。かなり高かったものの納得のいくクオリティのものができました。

MyBook

Mybookでフォトブックを作ってみたのでやり方とか感想を書いてみる!

写真展本番

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ここからいよいよ写真展本番です。

搬入

搬入は今回はニコンの方にお任せしましたが、自分でやる場合はけっこう時間をとっておいた方がいいかと思います。搬入の業者のかたもいるので慣れないのならそちらを使わせてもらうのもいいでしょう。

在廊

写真展がはじまれば、時間の許すかぎり在廊しましょう。

僕は島根に住んでいるのでなかなか行けませんでしたが、それでも東京に2回、大阪に3回赴き在廊しました。

友人たちはもちろん、SNSで繋がっているかたやブログをご覧になっていただいている方々と実際にお会いさせていただける機会となり本当によかったです。

さらには、ニコンプラザですので一般の、僕のことも知らないかたもたくさんお越しいただくことができました。

お話を聞かせてもらうなかでたくさんの気づきがありとても刺激をいただくことができました。

声のかけ方

わりと内気なほうなので、声のかけ方はけっこう悩みました笑

ふらっと立ち寄って写真展に来ていただいてるかたなのか、SNSやブログをご存知で来ていただいて、できたら話したいと思ってる方なのかがこちらからだとなかなか判別がつかないんですよね。

まあ、幸い今回はポストカードがありましたので、一通り見終わった方に「ポストカード差し上げてますのでよかったらいかがですか」みたいな感じで話しかけていきました。

その後、話したい人は会話が始まるし、そうでもない人はポストカードだけ選んでいただけるので、用意しておいてよかったなと思いました。

搬出

展示が終了したら搬出です。

搬入と違い、さっさと片付ければいいだけなのでそこまで時間はかからないと思います。

ニコンプラザでの展示では、こちらも業者の方にやっていただけたのですが、15時くらいに展示を終了し、そこから数時間で片付けが終わり、さらには翌日の写真展の準備をされていて「プロすげえな」と思いました。

まとめ

SNSなどで感想をいただくことはありますが、実際にプリントした写真を目の前にお話ができるというのはすごく楽しく、またとても勉強にもなりました。

なかなか大変ではありますが写真展にしかない魅力というものがあります。僕もまた作品を撮りためて、次の写真展ができればいいなと願っております。