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いまや写真をバックアップするなら「NASでRAIDを組む」みたいに考えている人も多いと思います。
しかし、実際やってみるといろいろと弊害もあるので、あなたの使い方や環境に合っているかしっかり考えてみましょうという話をします。
写真データの保管にNASでRAIDを組む必要ないんじゃないの?
まずは結論からです。今回言いたいことは写真データの保管にNASでRAIDを組むメリットって実はそんなに無いんじゃないの?ということです。
なぜか「写真のバックアップにはNASでRAID」みたいな雰囲気ありません?
僕自身がそう思っていて、RAIDは組んでいませんが溜まった写真データはNASに入れて運用しています。ただ、実際使ってみるといろいろ「あれ?」と思うところもありまして。
個人的な意見にはなりますがなぜ写真データの保管にNASでRAIDが向かないかその理由をお話ししてみます。
QNAPのNASを購入!現在のバックアップをどんなふうにしてるか書いてみる
NASとは?
そもそもNASってなんぞや?というお話をしましょう。
NASは「Network Attached Storage」の略で訳してみるとネットワークに繋がったストレージという意味です。ストレージというのは記憶装置のことをいいます、まあHDDみたいなもんと思っておけばオッケーです。
このNASには、色々とできることがあります。
- 例えば、外付けHDDはUSBなどで接続すると思いますが、NASであればWi-Fiなどを使って無線で繋ぐことも可能。
- 1台とだけでなく、複数台のパソコンからNASにアクセスすることができる。
- なんなら、ネットワークに繋がってるため外出先から自宅のNASに繋げることも可能。
外付けHDDがネットワークで繋がってさらに便利になってると考えると分かりやすいかもしれませんね。
RAIDとは
んで、このNASなんですけど、このようなスロットのついた箱です。このスロットにはHDDを入れることができます。
冗長性
ハードディスクドライブ(HDD)というのはけっこう頻繁に故障します。そうなっても困らないために他のHDDにデータのコピーをとっておくのがバックアップです。
HDDが故障したら、新しいHDDを用意してそれを復元する作業が必要になってきますが、そうなると一時的にそのシステムって停止させないといけないですよね?
しかし、24時間稼働させておき止めることのできないシステムだってあるわけです。そんな時、複数の予備システムを稼働させておく必要があります。これを冗長性と呼びます。
RAIDはハードディスクを用いて冗長性を持たせる仕組みのことをいいます。
複数のHDDでデータを保存しておくことで稼働を止めない
RAIDにはいろいろ種類がありますが、一番基本的なRAID 1は2つのHDDに同じデータを書き込みます。
鏡に写したようにまったく同じデータが保存されているので、何か障害が起きて片方のHDDがストップしてしまってもシステムを停止することがありません。
NASはファイルサーバー的に使われることが多いので稼働が止まってしまうと困ります。
ですので、冗長性を持たせるために、RAIDでシステムを組むことが多いのです。「NAS=RAID」といったイメージを持たれてるかたも少なくはないのではないでしょうか。
- システムを止めないために全体を二重化していることを冗長性という
- 冗長性を持たせるために複数のハードディスクを1つのドライブのように扱う技術をRAIDという
RAIDの種類
RAIDはHDDの本数や組み合わせでいくつかの種類に分けることができます。
ちょっと本筋と外れるので詳しく知りたいかたは下をクリックしてみてください。
RAID 0
複数のHDDを1つの保存領域として扱い、それらにデータを分散して読み書きします。複数のHDDに分散されるため読み書きのスピードが早くなりますが、冗長性はありません。
RAID 1
ミラーリングとも呼ばれます。2つのHDDを1組として保存することでどちらか片方に障害が起きても、もう片方にデータが残っていため、システムも停止しません。
RAID 5
RAID 5は3本以上HDDを1組のHDDとし、パリティデータ(誤り訂正補正)をあわせて書き込むことで対障害性を持たせながらRAID 1より読み書きが早くなっています。
RAID 6
RAID 6は4本以上を1組のHDDとし、パリティデータを二重に書き込むことで、RAID 5より耐障害性を高めた構成です。
RAID 10
RAID 10はRAID 0とRAID 1を組み合わせたもの。2本のHDDにデータを分散させて読み書きすることで高速性をあげ、それぞれをミラーリングすることで耐障害性にも対応しています。
なんで複数のHDDを使ったRAIDが必要か?
なんでRAIDを組むのにこんなにたくさんのRAIDを使うの?と思ったかたもいるかもしれません。
HDDはけっこう壊れやすく、時には1度に2本停止してしまうこともあります。例えば同じ時期に導入したHDDは同じタイミングで壊れたりすることがけっこうあるみたいです。
そうなってもシステムを止めないように複数本以上のHDDを使い冗長性を保つようなRAIDのシステムがあるわけです。
果たしてRAIDは必要か?
さて、ここまでNASやRAIDについてざっくりとご理解いただけたところで今日の本題です。
なぜかカメラやる人が今ふんわりと思っている「写真のバックアップはNASでRAID」これが果たして本当に必要か考えていきます。
RAIDとバックアップの違い
RAIDは複数のHDDにデータを保存し、どれか1本に障害が起きても大丈夫になっています。これはバックアップがとれているように見えますが本質は冗長性です。
「同じデータが同じタイミングで複数のHDDに書き込まれている」のがRAIDです。
繰り返しになりますが、障害が発生してもシステムを止めることなく稼働させ続けることができるのです。
しかし、裏を返せば「消したデータは同じタイミングで全てのHDDから消去される」ということでもあるのです。
例えばゴミ箱に入れたものはそのまま消える
例えば、うっかり写真データをゴミ箱に入れてしまってそのまま完全に消去してしまった、なんて場合RAIDを組んだHDDではそのまま消えてしまいます。
一方、バックアップを取っている場合複数のHDDが完全に同期してるわけではないので、メインのHDDで誤って消去してしまっても、バックアップのHDDにはまだデータが残っています。それを使えば復旧させることができるわけです。
データを誤って消してしまうと、そこで復旧させる手立てがなくなるというのはバックアップとしてけっこう致命的なのではないかと個人的には思っております。
特に、個人が写真データを失ってしまう大きな原因の一つにヒューマンエラーがあります。
データを移したと思っていたけど移せてなくて消した、パソコンの操作を間違って誤って消した、などなど。そして、そういう場合、RAIDでは復旧することができません。
バックアップは実行しなければコピーができない
RAIDを組んだHDDに写真データを取り込む場合、取り込んだその瞬間に同じデータが複数のHDDに保存されます。
一方、バックアップの場合は「バックアップを実行しなければコピーは保存されない」という点に注意が必要です。
例えば、毎日12時にバックアップのスケジュールを組んでいたとします。データを取り込んだ時間が8時ならばその4時間の間はバックアップがとられていない状態となり、そのタイミングで障害が起きればデータが消失してしまいます。
写真データに冗長性は必要か?
さて、ここでRAIDの一番の特徴である冗長性が果たして写真データに必要か考えてみましょう。
繰り返しになりますが、冗長性が必要なものというのは24時間365日稼働が止められないようなシステム。例えばAmazonなんかがシステムに障害が起きてしまえば、ネットショッピングができなくなってたくさんの人が困ってしまいますよね。
絶対に止めることのできないものにはRAIDによる冗長性の確保が不可欠です。
一方、写真データは24時間常にアクセスしているわけではありません。バックアップのコピーがあれば復旧できますし、復旧の作業はRAIDでも必要です。
冗長性があるためにおこるRAIDの問題点
さきほどすこし触れましたが「RAIDは同じデータが複数のHDDに同時に存在」しています。つまり、データを書き込むのも同時であると共に消去されるタイミングも同時です。
誤って消したデータ場合、保存してある複数のHDDから消えてしまうのでデータをロストしてしまいます。
冗長性のために「HDDを複数台、常に同じ状態にしておく必要がある」ので起こってしまうRAIDの問題点です。
NASでRAIDを組むことが写真のバックアップに向かない理由
RAIDとバックアップの違いがなんとなくわかってきたでしょうか?
ここからはNASでRAIDを組むことが写真のバックアップに向かない理由を書いていきます。
バックアップではない
まず、本質的にRAIDはバックアップとは違うということです。
写真データが同時に記録されるので、データを消してしまえば、複数のHDDから同時に消えてしまいます。
HDDの故障には強いですが、ヒューマンエラーには弱いですし、どちらかといえばヒューマンエラーでデータをロストするほうが個人的には多い気がしてます。
難しい
まあ、難しい。
そもそもNASを動かすOS自体が独自のものも少なくなく、外付けHDDのように使おうと思っても勝手が違うことが多々あります。
導入自体も難しく、いろんな設定が必要になります。何かトラブルがあってもネット上にあまり解決策が見つからず途方にくれることも少なくありません。
実際、先日NASのHDDがエラー吐いていたんですが、エラーが英語だしなにしたらいいか分かんないし、見て見ぬ振りしていたら見事にHDDが死にました…
挙動があやしかったので別のHDDにデータを移しており事なきを得ましたが、実際トラブルがあってもうまく対応ができないことを身にしみて感じました。
コストが高い
構造上、NASの入れ物とHDDが必要になるため普通の外付けHDDよりコストがかかります。
また、RAIDのデータはバックアップではないので、別途バックアップとれば「データの書き込みの時点で故障に強いし、それのバックアップがあればデータを誤って消去してしまっても万全だ!」などとお考えになるかもしれません。
少ないデータならそれでもいいですが、膨大なデータになってくるとどんだけお金がいるんだという話になってきます。ただでさえHDDを複数用意しなければいけないのにですよ。
1TB 、2TBくらいならいいですが写真ファイルは4TB、8TBとどんどん膨らんでいきます。最近は高画素機も増えてきたのでなおさらです。
HDDの値段が安くなったとはいえ、やはりそこまでの容量になるとコストもかさんでしまいます。
おすすめは外付けHDD
ということで、NASでRAIDでバックアップと思ってる人に一考してもらえればなと思います。
僕は今はNASをRAID組まずに、NASに外付けHDDをつけバックアップをとってます。詳しくはこちらをご覧になってください。
[blogcard url=”https://logcamera.com/nas/″]デスクをごちゃごちゃさせたくないので今はこうやってますが、やってみた結果、外付けHDDでバックアップとるのがいちばんではないかなと思います。
まとめ
写真データの保存とバックアップは尽きない悩みだと思います。
消えてから後悔しても遅いので、しっかりバックアップ考えてみてくださいね。