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滝が白糸のように流れたり、波がシュワシュワになっていたり、スローシャッターを使うと普段目にすることのないような幻想的な写真が撮れます。
そんなスローシャッターでの撮影に欠かせないのがNDフィルター。
とはいえ、最初はどんなものを買ったらいいのか?どんなふうに使ったらいいのか?いろいろ分からないことが多いと思います。今日はそんなNDフィルターについてまとめてみました。
NDフィルターで撮影できる写真
NDフィルターを使うことで、普段僕たちが目にしているものとはまったく違った幻想的な世界を切り取ることができます。
白糸のような滝
ゴウゴウと流れ落ちる滝。早いシャッタースピードで飛沫を止めるのもおもしろいですが、NDフィルターを使いスローシャッターで撮影すると白糸のような写真を撮ることができます。
平らな水面
池や湖などを長時間露光することで、さざなみが真っ平らになり、つるつるとした感じになります。これもまた不思議な感じがしておもしろいですね。
波をシュワシュワさせる
海岸に打ち寄せる波をNDフィルターを使って長時間露光で撮影することで、波濤がシュワシュワした感じになります。波がぶつかるところに岩や流木などがあるとおもしろい雰囲気になりますね。
光跡を途切れさせず、白飛びさせずに撮れる
夜間に光跡を撮影するとき、あまりにも明るいものは途中で白飛びしてしまいます。こういうとき、比較明合成を使ってもいいんですが、シャッター間で切れ目ができてしまうことがあります。この写真なんかは、シャッターのところで光跡に切れ目ができているのがわかりますね。
NDフィルターを使えば光跡を白飛びさせずに長い時間撮影することができるので、切れ目がないものを撮ることができます。
雲の流れを表現する
スローシャッターで撮影することで雲が流れていくさまを表現できます。これやるにはけっこう長い露光時間がいります。日中はどうしても光が強すぎるのでNDフィルターをつけることで白飛びを防げます。
人を消す
NDフィルターで撮影すると、じっくり露光することになります。その間、動いているものは露光時間が足りずに写真に写らないことになります。
人が多いような場所でNDフィルターを使うことで、人を消して背景だけを撮ることができます。
明るい日中に絞りをあけて撮影したいとき
ポートレートなど日中に絞りをあけて撮影したいこともあるでしょう。ただ、お昼の日の光というのは思いのほか強いもので、あっという間に露出オーバーになってしまいます。そんなとき、薄いNDフィルターをかますことで、光量をおさえ、絞りを開けて撮影できるようになります。
NDフィルターっていったいどういうもの?
NDフィルターを使うことで、こういったちょっと不思議な写真が撮れるということはわかりましたが、じゃあNDフィルターっていったいどういうものなのか、ちょっと見ていきましょう。
ということでこちらがNDフィルターの実物。左が角型、右が丸型。丸型のほうが目にする機会が多いと思います。
NDというのはニュートラル・デンシティー(Neutral Density)の略で、光の色を変えず光量だけを落とすという意味があります。
まあ、見てのとおり要は黒いガラス板みたいなもんですね。まぶしい光を遮るために、カメラにサングラスかけさせてるような感じです。
NDフィルターを使うことで、意図した絞り・シャッタースピード・ISOで撮影できる
スローシャッターは別にNDフィルターがなくても撮影することは可能です。要は、シャッタースピードさえ長くすればいいんですからね。
ただ、撮影する時間帯(明るさ)によってはシャッタースピードを長くすると支障が出るときが多々あります。
白飛びする
太陽が上っている時間帯は数秒シャッターを開けただけでもすぐに白飛びしてしまいます。ですので、お昼にスローシャッターというのはほとんど不可能に近いのです。
ただ、そういう時間帯だからこそ長時間露光するとおもしろい写真がとれます。
NDフィルターを使うと日中のスローシャッターを白飛びすることなく撮影することができます。
白飛び(しろとび)とは?写真が明るくなりすぎるときの原因と対処方!
また、日中の日差しの強い時間帯に絞りを開放で撮ると白飛びすることがあります。
この写真はNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctという開放f値が0.95という非常に明るいレンズで撮影したのですが、開放で撮影すると白飛びしてしまいました。
開放でボケた写真が撮りたいんですが、白飛びしてしまう。そんなときにもNDフィルターをつけると光を抑えてくれ、適切な露出で撮影することができます。
絞りを目一杯絞ると解像度が落ちる
光が強い場合は絞りでもその光量をコントロールすることができます。
ただ、そういう場合でも光の具合によってはf22とか、目一杯絞りを絞って光量を落とさなければいけないかもしれません。
絞りというのはあまりにも絞りすぎると「小絞りボケ」という、光の回折によって解像度がおちてしまう現象がおこります。上の図はf8とf22で撮影したものを撮り比べてみたものですが、f22だとだいぶモヤッとしているのがわかります。
こういう時、NDフィルターを使うと意図した絞り(解像感のあるf8など)で撮影することができるのです。
NDフィルターは意図した絞り・シャッタースピード・ISOで撮影できる
シャッタースピードをNDフィルターでコントロールすることで、自分の意図した絞りやISOで撮影することができるようになるわけです。
ストロボが明るさをコントロールしてシャッターを調整できるのに対し、NDフィルターは暗さでシャッターを調整できるのです。
NDフィルターは暗くする度合いによって数字がふってある
NDフィルターには減光させる度合いによってそれぞれ数字がふってあります。ND8とかND1000とか。
この数字、わりとそのまんまな数字がふってあって、光量を何分の1にするかという数字になっています。
例えば、ND8なら光量を1/8に。ND1000なら1/1000に減らすことができるんです。
また、NDフィルターの説明で◯段分の減光ができる、みたいな説明がたまにありますね。光量が半分で1段分なので、例えば4段分減光できるNDフィルターとかだとND16になります。
段について詳しく知りたい人はこちらもどうぞ
[blogcard url=”https://logcamera.com/dan/″]NDフィルターでどれくらいシャッタースピードを伸ばせるか
さて、じゃあ実際NDフィルターをかますことでどれくらいシャッタースピードを伸ばせるのか?ざっくりとしたものを表にしてみましょう。
減光 | 3段 | 5段 | 9段 | 10段 |
秒 | ND8 | ND32 | ND500 | ND1000 |
1/4000 | 1/500 | 1/125 | 1/8 | 1/4 |
1/500 | 1/60 | 1/15 | 1秒 | 2秒 |
1/100 | 1/13 | 1/3 | 5秒 | 10秒 |
1/30 | 1/4 | 1秒 | 15秒 | 30秒 |
1/8 | 1秒 | 4秒 | 1分4秒 | 2分8秒 |
1秒 | 8秒 | 30秒 | 8分32秒 | 17分4秒 |
ND1000などの濃い目のフィルターを使うと日中でも長時間露光ができるのがわかりますね。
NDフィルターの種類
NDフィルターにはいくつかの種類があります。
丸型フィルター
一番オーソドックスなタイプ。
プロテクトフィルターと同じように、レンズの前玉のところにあるネジ部分に装着して使用します。
プロテクトフィルターと同じでレンズ径(レンズの大きさ)にあったNDフィルターを用意しないといけません。NDフィルターって複数枚あったほうが便利なのですが、そうなるとレンズ径ごとに複数のNDフィルターが必要、となるので一体何枚いるんだということになります。
なので使用頻度の多いズームレンズで揃えてやるのがおすすめです。例えば標準のズームレンズ用に何枚か揃える、とかですね。
ちょっと大きめのフィルターを購入しておいてステップダウンリングを使う方法のあります。
例えば大三元レンズは82mmや77mmのものが多いですが、82mmのフィルターを買っておけば77mmのステップダウンリングを使用することができます。
角型フィルター
広角レンズの中には、レンズの形が出目金のように飛び出しているものがあります。Nikonの14−24mmやタムロンの15−30mmなどがいわゆる出目金レンズです。
[blogcard url=”https://logcamera.com/15-30/″]レンズが出目金でせりだしているとレンズの前玉にフィルターを装着することができません。
そういった場合に専用のホルダーを装着し、出目金の前側にフィルターをつけるタイプのNDフィルターが最近流行っています。
レンズごとにホルダーを用意しなければいけませんが、広角レンズとNDフィルターはけっこう相性がよかったりします。
また、この角形フィルターには後述するハーフNDフィルターなども装着することができます。
ハーフNDフィルター
その名のとおり半分だけ暗くなっているNDフィルター。
日の出や日の入りなどを撮影するとき、どうしても空が明るく地上は暗くなってしまいます。いわゆる明暗差がある状態ですね。ハーフNDフィルターを装着することで明るい空の部分だけを減光させ、空と地上の明暗差を少なくするようにできるのがこのハーフNDフィルターです。
空と地上の境目は構図によって変わるので必然的にハーフNDフィルターは角型のものになります。
ホルダーに装着して使用してもいいですし、レンズの前に手でかざしても使えます。
NDフィルターにはハードやソフトなどの種類があります。固いとか柔らかい、という意味ではなく、NDの濃淡がはっきりしてるか、そうでないかで分類します。
ハード
透明な部分とNDフィルターのグラデーションの境目がはっきりとしたタイプ。水平線など、被写体じたいの境目がはっきりしている場合に使います。
ソフト
透明な部分との境目ががなだらかなグラデーションになっているタイプ。空との境目が山の稜線など、はっきりとしてないような場合に使用します。こちらのほうが幅広い状況で使えるので初めてハーフNDフィルター買う場合はソフトのほうがいいかもしれません。
リバースタイプ
半分が透明、中央が一番濃く、そこからグラデーションで薄くなっているタイプ。日の出、日の入りの瞬間など、中央に太陽を入れたい時などに使います。この時間帯は上空部にかけて暗くなっているので、こういうフィルターを使用します。とはいえ、けっこう使用頻度は少ないと思います。
可変式NDフィルター
NDフィルターをまわすことによって、NDフィルターの濃度が変わるタイプ。1枚で数段分の減光効果があるので、何枚もNDフィルターを持ち歩く必要がなくなります。
とはいえ、そううまい話もないもので、けっこうお値段が高いのと通常のNDフィルターより色かぶりがあったりするようです。購入するときはちょっと気をつけたいところです。
NDフィルターの使い方
それでは実際にNDフィルターの使い方を説明してみましょう。
必要なもの
- 三脚
- レリーズ(できればタイマーレリーズ)
NDフィルターを使う多くのかたはスローシャッターによる独特な効果を狙って撮影すると思います。そうなるとやはり必要なのがカメラを固定しておくことができる三脚とカメラに触れずに撮影できるレリーズ。
何秒のシャッタースピードにするかによりますが、長い時間固定しておくことになるので、できるだけしっかりした三脚のほうがいいでしょう。海辺や川など水中に三脚を立てて撮影することもあるかもしれませんので、あとのメンテナンスがしやすいものもおすすめです。
多くのカメラはだいたい最長のシャッタースピードが30秒になっていると思います。これ以上長く開けたいときはバルブ撮影になるんですが、1分とか2分とか時間を計って撮影したいこともあるでしょう。
そういう時にタイマーレリーズがあると非常に便利です。僕はロワのタイマーレリーズを使っています。
[blogcard url=”https://logcamera.com/rowa/″]セッティング
手ぶれ補正をオフ
三脚に据えて撮影する場合は手ぶれ補正は必ずオフにしておきましょう。レンズによっては影響ないものもありますが、手ぶれ補正が誤作動おこして写真がブレることがあります。
オートフォーカスもオフに
薄いNDフィルターであればオートフォーカスも効きますが、ND1000などの濃いフィルターだと画面が真っ暗になります。せっかくピントを合わせても、ふとしたタイミングでオートフォーカスが作動して狂ってしまうことがあります。
撮影モードは「M(マニュアル)」か「A(絞り優先オート)」
シャッタースピードが30秒以内であれば「A(絞り優先オート)」、それ以上のシャッタースピードのときはバルブ撮影になるので「M(マニュアル)」モードにしておきましょう。
マニュアルで数分のシャッタースピードになると適正露出の計算がちょっと面倒ですが、これ簡単な方法を後述しようと思います。
できればファインダーを塞いでおく
長い時間シャッターを開けていると、ファインダー側から光が入ってきて写真に悪さをする(逆入光)ことがあります。フレアっぽくなったり、変な光の筋が入ったり。
それを防ぐために、ファインダーに黒いマスキングテープを張っておくと、その逆入光を防ぐことができます。めんどくさい人はすっとばしてもいいですが、後で泣かないように。僕はこちらのマスキングテープを使っています。高いカメラにはファインダーのとこが閉じられるようになってるのもありますね。
最近はミラーレスカメラが多いので、その場合にはこの作業は不要です。
[blogcard url=”https://logcamera.com/kamo/″]カメラの設定
ISO・f値は自分のやりたいように
NDフィルターのメリットは「ISO・f値を自分の好きな設定でシャッタースピードを変えられる」という点です。というわけで、ISOとf値は自分のやりたいように設定しましょう。
ただ、手持ちのNDフィルターの種類によっては微調整が必要な場合もあると思います。f値を変えると被写界深度が変わってしまうので、細かい調整はISOでやってやるといいと思います。
構図、ピントを合わせる
濃いNDのフィルターを装着してファインダーを覗くと真っ暗にしか見えませんが、背面液晶のライブビュー画面だと明るさをマックスにすると(ISOをあげたりシャッタースピードをあげたり)うっすら被写体が見えてきます。これを利用してフィルターをつけたまま構図やピントの決定もできます。
もしも、それでも真っ暗であれば、まずはフィルターなしで構図、ピントを決定してその後フィルターを装着します。その際、決めた構図やピントがズレないように気をつけましょう。
NDフィルターを付ける前にシャッタースピードを計算してみる
Aモードで撮影していれば、カメラ側で勝手に長秒にしてくれるんですが、マニュアルで撮影する場合は自分でシャッタースピードを設定しないといけません。
何度かシャッターを切って適正露出を試してみてもいいんですが、数分の露光時間とかになるとかなりかったるいので自分でシャッタースピードを計算できるようになっておくと便利です。
まずはフィルターなしで適正露出で撮影して計算する
まずはフィルターをはずした状態で適正露出露出になるように撮影してみます。この時のシャッタースピードに装着するNDフィルターが何段分減光するか計算したらいいのです。段がわからない人はこちらも参考にしてみてください。
例えばフィルターなしで撮影した時のシャッターが「1秒」だった場合、ND32のフィルターを装着すると5段分の減光になるので「1秒→2秒→4秒→8秒→16秒→32秒」となります。ですので、NDフィルターつけるときシャッタースピードを32秒(32秒のシャッタースピードがないのでそういうときは30秒)にするとフィルター無しのときと同じ露出でシャッタースピードだけ違う写真が撮影できます。
アプリを使う
それめんどくさいな、それめんどくさい。という人は文明の利器を利用しましょう。スマホのアプリには専用のアプリがあるので探してみましょう。
NDフィルターを実際に装着してシャッターを切る
ここまでセッティングできたらあとはNDフィルターを装着してシャッターを切るだけです。
ただ、NDフィルターを装着するときって三脚を動かしたり、AFを誤作動させてしまってピントや構図が変わりがちなので慎重に。
どのくらいの濃度のフィルターがおすすめ?
空を流したい・水面をつるつるにしたいならND500以上
日中の空を流したり、水面をつるつるにしたいのなら1分以上のシャッタースピードが欲しいところです。ND500くらいの濃い目のものをがおすすめかなと思います。
シャッタースピードやISOでうまいこと調整できるのならND1000とかも、さらに長いこと露光できるのでおもしろいですね。
水の流れを表現したい
ベターっと凪にするのではなく、水の流れる感じを表現したいならそこまで長いシャッタースピードはいりません。1/30〜数秒くらいで撮れるでしょう。
そういう場合はND16〜64くらいのを選んだらいいでしょう。
開放で白飛びさせないようにしたい
f値の明るいレンズでボケた写真を撮るときに白飛びさせないようにしたい場合はND4〜8くらいのものを使うといいでしょう。
あまり濃いものを使ってしまうと、今度はシャッタースピードが長くなってしまいブレたりする原因となるので注意。
フィルターは重ね付けできる
NDフィルターは重ね付けできるようになっています。重ね付けしたときの計算も非常に簡単で、単純に掛け算してやればOKです。
例えばND64とND8を重ねると64×8=512になります。なので、ND500の効果を得ることができるわけです。
NDフィルターは複数枚あると便利ですが、このように重ね付けするとND500は持って無くてもなんとかなるんですね。
ちなみに僕はND8・64・1000の3枚で運用しています。
丸型フィルターは重ね過ぎに注意
NDフィルターはけっこう厚いのでフィルターを重ねすぎると、フィルターの枠が写りこんでしまうことがあります。プロテクトフィルターをつけている上からNDを重ねる時も注意が必要です。
saizou的おすすめNDフィルター
僕が使っているフィルターを紹介してみます!
Kenko NDフィルターPRO-ND1000
いちばん使用頻度が多いのがKenkoのND1000。1分を超えるようなスローシャッターを撮るのが好きなのでいつもカメラバッグに忍ばせています。
メインのレンズの口径が82mmと77mmなので、NDフィルターも82mmと77mmの2種類をそろえてます。
Kenko NDフィルターPRO-ND500
ND1000だとちょっと暗すぎる場合に備えて、ND500も持っています。こちらはいつも使用頻度の高い82mmのみ。
カメラバッグにいつも入れてるもの全部見せてみる in 2023
まとめ
NDフィルターをつけると、普段見ているものが一風変わった幻想的な風景になります。
難しそうですが、やってみるとわりと簡単なので撮影がマンネリしているかたなど、ぜひ一度チャレンジしてみてください。