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春の一大イベントである桜。とはいえ、ぶっつけ本番で撮っちゃうと案外難しい被写体だったりします。
桜を撮影するうえで押さえておきたい基礎知識と手っ取り早くきれいに撮るためのいくつかのアイデアを書いてみたいと思います(๑´ڡ`๑)
いつ撮れるの?
みなさんのご存知のとおり、桜の見頃というのは非常に短いです。
開花から4.5分咲きとなり、8分咲き〜満開の時期が1週間くらい。撮影をするのに本当にいいタイミングは2〜3日くらいではないでしょうか。早すぎると花のボリュームが少ないですし、遅いとすぐに葉っぱが生えてきてしまいます。
ソメイヨシノも短いですが、シダレザクラやエドヒガン、ヤマザクラなどはもっと見頃の時期が短いです。また、3〜4月は案外天候が安定しない季節なのでせっかくの見頃に花散らしの雨が降ることもめずらしくありません。お天気と見頃の時期をそわそわしながら待つことになります。
開花する時期
前年の夏に形成された桜の花芽は、その後休眠という状態にっています。一定期間低温にさらされることで、開花の準備を始めます。これを休眠打破とよびます。逆に言えば、暖冬などそこまで寒くない場合はうまく休眠打破がされず開花が遅れたりします。
南の暖かいほうから北にむかって開花していき、その開花していく開花予想日を結んだものを桜前線といいますね。この桜前線、九州や四国、関東のほうでは3月中旬〜下旬から徐々に北上をはじめ4月上旬には本州の各地で桜が開花します。東北や北海道などは4月下旬、ゴールデンウィークに開花していきます。
この桜前線なんですが、よくニュースで見るものは「ソメイヨシノ」のことを言っています。
桜というのはソメイヨシノだけでなく、たくさんの品種があり、それらの桜は桜前線とはまた違ったタイミングで咲き始めます。また、平野部と山間部では開花のタイミングが違うので、お住いの近くでも実に1ヶ月以上桜を楽しむこともできます。
桜を撮るために覚えておきたい基礎知識
満開の桜か一本桜か
桜というと、ソメイヨシノが満開に咲いている桜並木を想像するかたが多いかもしれません。このソメイヨシノが拡散していったのは明治以降のこと。ただ、たくさんの桜を植えて花見をするにはやはりそれなりに財力がいるものでした。
それまでは、寺社の境内など一本の桜を植え観桜されていました。今でもその頃に植えられた一本桜が各地に残っており、被写体としての魅力は群生するソメイヨシノにも劣らないくらい素晴らしいものです。
群生するソメイヨシノだとどうしても主題をどこに持っていっていいか悩む反面、一本桜は主題としての存在感があるのでけっこう撮りやすいかもしれません。副題とも絡めやすいです。
一方、ソメイヨシノなどの群生する桜はボリューム感を出しやすいですね。桜色一色にしたい場合などはやっぱりこういった満開の桜がキレイです。
どんなふうに狙うかは桜によって変わりますので、いろんな構図や撮り方を考えてみましょう。
何時頃を狙うか
写真を撮る上でやっぱり基本はマジックアワーではあるんですが、桜に関しては一概に言えないかもしれません。みなさんがイメージされる桜の花びらの色ってピンク色だと思うんですが、実際撮ってみるとそのピンクってかなり薄い、というかかなり白に近いんです。
マジックアワーだとどうしてもオレンジっぽい光が入るので、なんか桜っぽい色になりにくかったりします。これはこれできれいなんですけどね。
ただ、やっぱり撮るならそのピンクっぽいのを表現したいじゃないですか。例えばライトアップなどされている桜などは、光に照らされることでそんなピンクっぽい桜の表現もできるようになります。なので、夜桜を狙いに行くというのもおもしろいでしょう。実際、ソメイヨシノも一本桜も見頃の期間ライトアップされることが多いです。
ライトアップが終了した後も星などと一緒に撮ることもできます。
[blogcard url=”https://logcamera.com/magic/″]また、お昼の写真もけっこういいかもしれません。お昼はわりと写真撮りづらい時間帯ではあるんですが、それでもやっぱり桜からイメージするのは春めいた雰囲気。日中のほんわかした桜と青空はやっぱり春らしくて気持ちがいいです。PLフィルターなど使ってあげるといいかもしれませんね。
天気
春というと、なんかやたら天気がいい日を思い浮かべますが3月〜4月は実は天気が安定しない季節でもあります。晴天を狙って出かけたいところですが、わずかしかない桜の見頃、天気の悪さにめげずにいろんな場合に対応できるようにしておきましょう。
晴れ
ほんとわずかな時間しかない満開のタイミングに晴れ間が来てくれるとラッキーですね。朝や夕方のマジックアワーを撮るもよし、お昼のほんわかした感じを撮るのもよし。
夜も星や天の川、お月さまなどいろんなものと絡めることができます。
曇り
桜の花びらはかなり白に近い色。そんな淡い色なのに曇り空だと画面全体が真っ白な感じになってしまって非常に撮影が難しいです。とにかく曇った白い空を入れないように気を付けましょう。空の色に引きずられるとかなりそっけない感じになります。
山など、色のあるものを入れるように構図を作り切り取ってみたりするといいかもしれません。無理に全体を入れようとするとどうしても空が入ってきます。
春にはレンギョウやモモなど色の濃い花が桜の側で咲いていることがあります。こういった花を入れると、コントラストが出にくい曇りの日も色が乗っていい感じです。
桜のライトアップなんかは、曇天でも撮影できるので、夜を狙うのもいいですね。ほんとはブルーアワーくらいの時間帯に撮影できると色っぽくていいんですが、曇なら真っ暗になるのを待ってから撮る方がいいかもしれません。
雨
雨まで降っちゃうと、逆にいい感じになったりします。雨霧が発生したりすると、幻想的な雰囲気が表現できます。
カメラの防水だけ気をつけて、ガンガン出撃してみましょう。
レンズの選び方
一本桜を撮るなら広角〜標準域が使いやすい
主題となる桜がハッキリしやすい一本桜。一本桜はけっこう大きな樹が多いので広角や標準レンズで広めに切り取れるほうが使いやすいでしょう。
グッと近づいてパースをつけてやるのもいいかもしれません。
望遠レンズの圧縮効果を使い、桜のボリューム感を出す
一方、ソメイヨシノなどの満開に咲く桜というのは、ボリューム感を出して撮りたいですね。広角レンズで撮ると隙間や要らないものが入り込みすいです。
望遠レンズの圧縮効果をうまく使い、桜以外の余計なものを切り取りボリューム感を狙ってみましょう。
マクロレンズはあんがい使いにくい
花というと、なんだかマクロレンズのイメージがあるんですが、個人的には桜にマクロってけっこう苦手です。
梅の花と違い、ソメイヨシノは房のように花が咲きます。なのでこのボリューム感がでるんですが、マクロで寄ってみるとなんかイマイチな気がします。また、どうしても桜ばっかりの写真になってしまうので、やっぱり難しい。
また、ソメイヨシノってけっこう背が高いのでマクロで寄りづらいというのもあります。
桜にマクロレンズを使いたい場合は、どんなふうにイメージしてから撮らないと、漫然としたものになりやすいので注意が必要です。
カメラの設定
桜を撮影する時にカメラ側の設定で気を付けたいことをチェックしておきましょう。
マゼンダを上げすぎない
桜の花びらってほんと白に近いピンクです。んでもって、僕らが頭の中でイメージしている桜ってかなりピンクなんです。実際目で見たときも頭の中でピンクの色を補完しています。けど、カメラが出す色はかなり白い。この辺にけっこうギャップがあります。
なので、写真で撮影したものを見ると味気ない気がしてしまいがち。じゃあ、どうするかというと、ホワイトバランスを例えば蛍光灯にしたり、現像で色をマゼンダ(赤紫)によせてしまうんです。
これ、自分のイメージに近づけるわけですから、個人的には全然かまわないとは思っています。写真の表現は人それぞれですから。とはいえ、付けすぎた香水が自分では気にならないように、自分でこの色をいじりすぎていると、人から見たらギョッとするくらいの色にしているときがあります。このへん用法用量を守ってくださいね。
ただ、僕はガンガンに上げますが(笑)
露出補正を使いこなす
露出をマイナス側にすると、明暗差のある場合このように浮き上がったような写真を撮ることができます。ライトアップの時とか使いやすいですね。背景を飛ばすことでよけいなものが出ないので、後ろががちゃがちゃしている場合も有効です。
露出をプラスにすることで、逆にふわっとした印象にも仕上げることができます。ただ、花の色が白っぽくもなるので、画面がのっぺりしないよう気を付けましょう。
ブレないシャッタースピードで
特にシダレザクラなどは枝が長く、少しの風でブレてしまうことが多いです。風が止むのを見計らって撮るんですが、それでも少し揺れていることが多々あります。
ブレのないようなシャッタースピードで撮影し、撮り終わったあともきちんとチェックしておきましょう。
きれいに撮るためのアイデア
桜はどんなふうに撮ったっていいんですが、それでも手っ取り早くそれっぽく撮りたいものです。ログカメラは手っ取り早くかっこよくがメインテーマです。
桜を撮る時に手っ取り早くそれっぽく撮るためのアイデアをいろいろ書いてみます。
1.ライトアップを狙う
ソメイヨシノはもちろん、シダレザクラやエドヒガンなど各地の有名な一本桜など、いろんな場所でライトアップされています。桜の花は白っぽいので日中だと撮るの難しかったりするんですが、ライトアップされることでそのピンク色が強調されて、いわゆる「桜っぽい」写真が撮りやすくなります。
暗い中での撮影になるので、三脚やレリーズが欲しいですが、三脚禁止の場所も少なくありません。そんなときはどうするか?気合の手持ちでいきましょう。
真っ暗になってからのギンギラギンのライトアップもいいですが、日没後の一瞬のブルーアワーなんかを狙うのもいいものです。
2.星の日周運動と合わせる
ライトアップ後、お天気がよければ星の日周運動と合わせてやるのもいい感じです。ライトアップ中はけっこうギラついて星撮りにくいので、ライトアップの時に前景を押さえ、ライトアップ後に星の撮影に入るといいかもしれません。撮影後に比較明合成をするといい感じになります。
比較明合成(コンポジット)の撮影方法と必要な道具〜その1「比較明合成とは」
3.天の川と合わせる
3月〜4月にかけては天の川もしっかりと昇ってくる時期です。だいたい12時すぎくらいから徐々に昇りはじめて朝方まで撮影することができます。
桜と天の川をどういう構図にしたいかで時間帯変わりますが、いろんなパターンを試してみましょう。僕はちょっと横たわった感じが好きです。
4.桜吹雪を狙う
(写真提供:みっちゃん Twitter )
桜の満開の時期より少しあと、桜がちょっとずつ散り始めた時には桜吹雪を狙うチャンスです。強い風が吹くとまるで吹雪のように桜が舞い散ります。
桜が目立ちやすいよう、背景は暗めのほうがいいかもしれません。舞い散る桜を止めるのでシャッタースピードは早めにしておきましょう。この写真で1/320くらい。晴れの日ならそんなに問題なく止められると思います。
望遠レンズで圧縮効果を狙うと、たくさんの花びらを表現できそうです。
5.リフレクションをいれる
大正義リフレクション。とりあえず困ったらリフレクション。なんで反射しているだけでいい感じになるんでしょうね。
一本桜などは田舎の田んぼの近くに植えられていることがけっこうあります。田植え前で水を張っていることも多く(桜があるから水を張ってくれる農家さんもけっこうある)わりとリフレクションポイントは見つけやすいです。あとは風が吹かないよう祈りながら撮影しましょう。
ライトアップなどされていると、より撮影しやすいでしょう。もちろん、お昼のリフレクションなんかもぜんぜんありです。いろいろ探してみましょう。
6.雨霧、朝霧を狙う
お天気のところでも少し触れましたが、雨霧はかなり桜と相性いいので雨が降ったからといって閉じこもっているのはもったいないです。
また、場所によっては朝霧なども発生する場合もあるでしょう。霧と合わせることで桜の持つ幽玄な雰囲気を表現することができます。
7.逆光は正義
桜の花びらはとても薄いので、朝や夕暮れの逆光ではキラキラと光ります。また、レンズによってはフレアがいい感じに出てくれるかもしれません。逆光をうまく使うと桜をより引き立てることができます。
8.花筏(はないかだ)を狙う
ソメイヨシノの桜並木は各地に見られます。先ほども少し触れましたがソメイヨシノは全てがクローンなので、一斉に咲き一斉に散っていきます。
この散ったたくさんの花びらが川や池に浮かび筏のようになるのを花筏(はないかだ)と呼びます。弘前城のお堀などが有名ですね。
一面花で埋まらなくても長時間露光などで花の流れる様子を撮影するのもいい感じになるのでチャレンジしてみましょう。
9.副題を意識する
一本桜などは、迫力があるので、それだけで主題として成り立つのですが、ソメイヨシノなどの桜の花がただ咲いているのを撮ると、どうしてもインパクトが弱かったりします。
ただ、いろんな場所に植えられているのがソメイヨシノのいいところ、近くには観光名所やランドマークなどもたくさんあることでしょう。城、橋、お寺、神社、橋などなど。
主題である桜とともに副題に添えるものも少し意識してみるといいでしょう。
カメラ初心者がてっとり早くそれっぽい写真を撮るために「主題」と「副題」を考えてみようという話
桜の種類
ひとことで桜といっても実にたくさんの種類があります。ここではどんな種類の桜があるのか紹介してみたいと思います。
ソメイヨシノ(染井吉野)
桜といって、まずあなたが思い描くのがこちらでしょう。キングオブ桜。ソメイヨシノ。
3月の終わり頃から4月上旬にかけて開花しはじめます。全国にあるソメイヨシノはすべて接木で増やされたもの。いわゆるクローンです。一斉に咲き、一斉に散る理由がソメイヨシノがクローンだからなんですね。
桜吹雪や花筏なども狙いやすいでしょう。
シダレザクラ(枝垂桜)
枝が柔らかく垂れ下がり、そこに桜の花がさくのがシダレザクラ。樹齢の長いものが各地にあり、一本桜として愛でられています。
大きく広がる枝とそこに咲く花が非常に美しいので、主題にもってこいの桜。
エドヒガン(江戸彼岸)
ソメイヨシノの寿命は約60年程度といわれますが、エドヒガンは非常に長命でなかには樹齢1000年を越えるようなものも。神代桜や薄墨桜などがこのエドヒガンです。
樹齢が長い分、非常に大きな樹がよく見られます。花の色はかなり白っぽく付き方もソメイヨシノに比べるとまばらです。
ヤマザクラ(山桜)
ソメイヨシノなどは品種改良され、人の手によって全国に植えられていったものですが、このヤマザクラは日本古来の野生の桜。奈良県の吉野山などが有名ですね。あそこはシロヤマザクラが多いようです。
樹齢もかなり長いものが多く、30mを越えるような巨木もよく見られます。野趣あふれる姿が魅力的ですが、ソメイヨシノなどよりもさらに見頃の時期が短いです。
カンザクラ(寒桜)
その名のとおり、まだ寒いうちから咲き始める早咲きの桜。2月〜3月ころにはその花をみることができます。花は淡い紅色。
普通の桜に比べて花の色が濃いので、撮ってて楽しいと思います。
カワヅザクラ(河津桜)
こちらも早咲きの桜。原木は伊豆半島の河津町にあり、川沿いにたくさん並んでいるのをみることができます。その河津町の桜が全国に広がっていきました。花の色は鮮やかな桃色。
シキザクラ(四季桜)
春と秋、年に二度開花する桜。春は4月上旬、秋は10月末にみごろをむかえます。年に2度開花する桜はほかにも、子福桜(コブクザクラ)十月桜(ジュウガツザクラ)、冬桜(フユザクラ)などがあります。
ヤエザクラ(八重桜)
八重咲きする桜の総称をヤエザクラといい、関山(カンザン)、松月(ショウゲツ)などの品種があります。花びらが多く、ボリュームがあり、色もちょっと濃い目のものが多いです。
ソメイヨシノなどよりも開花時期が遅く、4月中旬から下旬にかけて咲き始めます。
まとめ
日本人が大好きな桜。写真を撮る僕たちにしても、年に1度の一大イベントです。見頃の時期はほんとうに短く儚いものなので、しっかり後悔のないようこの素晴らしいメインテーマに向き合いたいものですね。
たくさんの素晴らしい桜にであえますように。