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構図を考えるときってけっこう直感的にやっていませんか?
しかし、構図内にある物や形、色には実は重さがあります。この重さというのは「視覚的な重み」。これをビジュアルウエイトを呼びます。
この視覚的な重みを構図にうまいこと散りばめてやると、いわゆるバランスのいい構図が作りやすくなります。
どんなものに、どのような重みを感じるのか今日は解説していきます。
ビジュアルウェイトとは
例えばこの写真。なんだかバランスが悪いと思いませんか?
ダンボーの位置とか視線とかが右によりすぎているからです。全体的に右側にばかり不自然に目がいく、つまり「右側が重い」状況になっています。
このように画面の中にある物や形、色などを重い軽い、で考えると画面内のバランスが取りやすくなってきます。
では、実際にどのようなものが重く、どのようなものが軽いのでしょうか。
どんなものにビジュアルウエイトを感じるか?
大きさ
まずは大きさ。大きさが大きいもののほうが重く、小さいもののほうが軽く感じます。
色
色もビジュアルウェイトに影響します。明度の暗いものは重く、明るめのものは軽く感じます。
彩度が高いものは低いものに比べて重く感じます。
色によっても重い、軽いがあります。しかし、背景との色の組み合わせなどによっては一概に言えない場合もあります。
コントラスト
背景とのコントラストが高いほうが重く、コントラストが低いものほうが軽く感じます。
形状
規則的な形状のものは不規則なものより重く感じます。
生き物
生き物もビジュアルウェイトをもっています。この写真は右下が重く感じます。
構図内に生き物がいると他の要素に比べ、ビジュアルウェイトが重めになります。
生き物の中でも人はさらに重さを持ちます。
構図でどのようにビジュアルウェイトを使うか?
構図の中にはいろんな被写体を配置していきます。その配置されたものがひとつひとつ重さをもつ。それがビジュアルウェイトです。
構図内でその重さのバランスをとることで気持ちのいい構図になっていきます。反対に構図内のどこかにビジュアルウェイトが偏っていると重さのバランスが崩れてしまい、気持ちの悪い構図となります。
例えばこの構図の中には木がありますね。
地面の色が緑なので空と比べると重さを感じます。比率も空1:地2くらいの割合なので下が重いですね。
さらにここに被写体としての木がありますが、右下に配置されています。なので右下がかなり重たい感じになっています。バランスもあんまりいい気がしません。
ここでは色での重さ、その面積、被写体の配置の重さなどが関係しあっています。
真ん中で支えたときにこのように傾いてしまうようなビジュアルウェイトの配置だということがわかるでしょうか?
右下にあった木を真ん中に持ってきます。右下にあるよりはバランス良く感じますね。木の頭の部分がちょっと空のとこにはみ出しているのも背景とのバランス感の良さに一役かっています。
緊張感
ただ、バランスがよくなったのはいいんですが、写真としてのおもしろさがないな、とも思いませんか?
あまりにもどっしりとした重さの構図よりも、全体的に緊張感のあるようなバランス、例えばこの構図を1点で支えているときに重さでうまく釣り合っているような構図のほうがおもしろみがあったりします。
木をさっきの位置にもどして、今度は重さを釣り合わせるために太陽を構図の中に入れてみます。こうなることで右下と左上に重さのあるものがあり全体的にはバランスがとれます。
わかりますかね?真ん中で支えた時にグラグラするけどバランスがとれている。そんな感じの構図。
もちろん、撮るものによってもどちらかがいいかは変わってきます。どっしりとした雰囲気を作りたければビジュアルウェイトもどっしりと。構図をおもしろくしたいなら緊張感のあるビジュアルウェイトに使い分けてみましょう。
三分割構図がいいとされるのはこのビジュアルウェイトのバランスがうまく作りやすいから
三分割構図ってありますよね?あれがいいよって言われるのは、このビジュアルウェイトの緊張感がうまく作りやすいからからです。
構図の中で三分割の部分にオブジェクトを置くことで簡単にこのビジュアルウェイトの緊張感作りやすく、さらにはバランスのいい構図に仕上げやすいのです。
日の丸構図はどっしりしている
先ほどの例でも少し触れましたが、日の丸構図のように真ん中にウェイトが集中しているものはバランスが取りやすくどっしりとした印象を与えることができます。
一方で、あまりにも安定感がありすぎて緊張感を感じさせにくく、構図としてちょっとおもしろ味にかけるという部分もでてきます。
被写体のインパクトというのも大事になってきますね。
構図におけるビジュアルウェイトの具体的な例
ではここからはビジュアルウェイトを意識して撮影した写真を見ながら具体的にどのように重さを感じさせながら構図を組みたてていったらいいか見てみましょう。
色や明度のウェイト
こちらのコスモスの朝焼けの写真。この構図のメインの被写体はコスモスですね。メインなのでしっかりと見てほしいので三分割の3分の2の部分をコスモスで埋めました。
構図的に右下に偏ったコスモスの配置となっているので、ビジュアルウェイトは右下に傾くはずです。
そこで重さの均衡をとるために配置したのが太陽です。色と彩度が非常に印象的なので意識せずとも存在感を感じますね。また、太陽というオブジェクト自体が非常に力を持っているため、さらに重さを感じさせることができます。
試しに太陽の部分の彩度と明度を下げてみましょう。カウンターとなるべきビジュアルウェイトが失われ、なんだか下側だけがもっさりと重たい写真になりましたね。
人と動物
こちらはダイバーとイワシの群れの写真です。
海の中に2種類の生き物がいるという単純な構図。イワシの大群は非常にインパクトがあり、構図の多くを埋めているため左側にビジュアルウェイトがあるといえそうです。
しかし、点景のような人が、そのビジュアルウェイトを一点で均衡させているような気がしませんか?大きな面を非常に大きな点で支えています。
人のもつビジュアルウェイトというのは非常に重いというのがよくわかりますね。
人というのはストーリーを持っているというのもビジュアルウェイトが重くなる要因かもしれません。
色と人
こちらは燕岳とテント場の夜の写真。左奥に燕岳とヘッドライトを灯した人、右側に色とりどりのテントがあります。
暗い中に色とりどりのあるテント郡にはビジュアルウェイトがあります。これもなんなら右側に偏ってしまいそうな写真ではありますが、強烈なコントラストのあるヘッドライトを灯した人が点景として、さらに奥には美しい燕岳が質感のあるビジュアルウェイトをもってして、色とりどりのテントとのバランスをとっています。
日の丸構図のビジュアルウェイト
日の丸構図はどっしりしすぎることがあると書きましたが、被写体やシチュエーション次第ではうまく使うことができます。
例えばこんな曇りの日の長時間露光。
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白というのは視線を引き寄せる色です。基本的には暗いところから明るいところへと視線が動くのですが、この構図では四方八方が明るくなっているので周辺全体に視線が引っ張られます。
そんな中で、真ん中にどかんとビジュアルウェイトの重いものが鎮座しているといった構図になります。つまり、周辺部のテンションと中央のビジュアルウェイトが構図の中で均衡を保っているため、写真の中に緊張感が生まれているというわけですね。
まとめ
構図を決めるためにはいろんな要素が絡み合っているため、ビジュアルウェイトのバランスがとれているから一概にいいというわけではありませんが、しかしやはり重要な要因のひとつであるといえます。
次の撮影ではちょっと意識して、構図を決めてみるのもおもしろいかもしれせん。