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1989年、あるアメリカ人男性の勤める会社が倒産しました。彼はすでに58歳という年齢でしたが、引退するには貯蓄は十分ではなく、かと言って新しく仕事を探すには年を取り過ぎていました。
彼の長年の趣味は写真撮影でした。そして当時購入したARCA-SWISSの自由雲台に取り付けるための、ボディやレンズのクイックリリースプレートの品質や形状に不満を抱いていました。その不満はやがて挑戦への決意へと変わりました。
彼はその後の人生とそれまでの貯蓄を「本当に正確なもの(Really Right Stuff)」の誕生のために捧げました。 そして翌年1990年10月、ついに彼は夢のスタートラインに立ったのです。 自分が信じられるものを決め、人生を前に進めた彼こそ、Really Right Stuff(リアリーライトスタッフ)の創始者 Bryan Geyer(ブライアン・ガイヤー)です。
はじめまして、自称三脚フォトグラファーのハクと申します。
今回は縁あって尊敬する写真家saizouさんのブログに寄稿させて頂く事となりました。どうぞよろしくお願いします。
さてプロのようにシャープな作品を撮影するために必要な事は数多くありますが、もっとも重要なことが三脚を使う事です。
カメラをしっかりと固定する事は三脚の唯一の役割ですが、こと三脚に関しては機種によって大きく差が生まれます。品質の悪い三脚はしっかり固定するという役目を果たしてくれません。そもそもそれが安く買える理由だったりします。
いつまで続く?Gitzo一強時代
その高い要求を満たしてくれる製品と言えば真っ先に思い浮かぶメーカーはGitzoでしょう。 saizouさんも愛用されていますね。もちろん私も使っています。 事実、何年もGitzoが三脚界では絶対王者の座に君臨し続けています。
[blogcard url=”https://logcamera.com/gitzo/″]しかしその長く続いたGitzo一強時代に、今まさにReally Right Stuffが風穴を空けようとしています。
Really Right Stuff(リアリーライトスタッフ)
カーボンの柄は非常に妖艶で艶やか、そしてまるで装飾品のような高級感が漂う機能美は、見る者、触る者を魅了します。そして性能も【軽さ・高さ・頑丈さ】を武器に、Gitzoとの差を一気に縮めてきています。
そしてその僅かな差というのも、三脚としての性能差ではなく、センターコラムの着脱の面倒臭さや、補修パーツが入手しにくい環境、そして質の悪いゴム石突くらいのものです。他の部分においてはGitzoとの差は感じません。
なぜここまで急速に差が縮まったのでしょうか?それは「圧倒的な品質の高さ」が理由のひとつに挙げられると思います。
その「圧倒的な品の高さ」という根拠をお見せしましょう。下の画像をご覧下さい。
寸分の狂いも無い正に【Really Right Stuff】その名に恥じない精度です。 このようにReally Right Stuff製品は「本当に正確なサイズの部品」で作られています。
計測には日本が誇る高精度のノギス、ミツトヨのデジタルノギスを使用しております。
ちなみにかなり前のReally Right Stuffのカタログだったと思うのですが、ミツトヨのデジタルノギスが大きく掲載されていたと記憶しています。今でも使っているかどうかは分かりませんが。
そして、この精度の高さはクランプだけではなく、三脚のパイプ径にも言えることで、部品の精度だけに焦点を絞れば、すでにGitzo社を上回っていると思います。
メーカーサポートの重要性
少し話が変わりますが、使っていれば故障はつきものです。Really Right Stuffの製品だって例外ではなく故障やトラブルは起こります。トラブルが一切無いメーカーなどありません。大事なことはその時のメーカーの対応だと思います。
Really Right Stuff製品で故障した時は、メールにて依頼すれば本国での修理対応に応じてくれます。初期不良の場合は返送用のラベルも用意してくれます。Gitzo製品で故障した時は、日本の正規代理店であるマンフロット社のサポートに問い合せすれば、やはり同じように親身に対応してくれます。
しかしいざ修理となった時、修理を行うのは本国Gitzo社でも無ければ、日本のマンフロット社でもありません。あなたの大切な機材の向かう先は、国内のカメラ修理業者であり、Gitzo専門ではないどころか三脚のプロフェッショナルですらありません。
Really Right Stuffの三脚の購入を悩む方々の背中を、私が自信を持って押してきた理由はこういったメーカーのモノ作りの姿勢と、安心のサポート体制があるからです。
Really Right Stuff製品は何がどう優れているのか?
それではいよいよ具体的に製品のどの部分が優れているのかを例を交えて紹介したいと思います。
先にReally Right Stuffの三脚は「軽さ高さ」が武器と紹介しました。「TVC-34L」のトップチューブ(一番太い脚)のパイプ径は36.65mmです。重量は2146g、高さが1746mmです。
GitzoでTVC-34Lにもっとも近いモデルは「GT4533LS」です。トップチューブ(一番太い脚)のパイプ径は37mm、重量は2310g、高さが1560mmです。
若干Gitzoの方がパイプ径は太いですが、その差は0.35mmです。Really Right StuffのTVC-34Lの方が、高さが186mm高く、164g軽くなっています。実際に持つと数値以上に軽く感じます。
もちろん三脚は軽ければ良いという物ではありません。むしろ私の過去のテスト結果では、三脚は重い方がブレに対して強いという事が分かっています。TVC-34Lは背が高く軽いですから、風や振動の影響を受けやすいと言えます。ただし三脚を担いで撮影を行う上で軽いことが武器になることもまた事実です。
こと三脚においては、シンプルであるほど剛性に優れ、ブレに強いとされています。ですのでセンターポールなど余計なものを排除したシステマティック三脚を推奨する声が高まっています。 GitzoもReally Right Stuffもフラッグシップモデルはシステマティックタイプとなっています。
しかし利便性と拡張性を高めるために、あらゆるアクセサリーを交換出来るように取り外しが可能となっています。そのため実際にはセンターコラムとアッパーディスクは分離しています。
つまりネジなどで雲台の取り付け台を固定しているだけなのです。ブレ対策が最大の目的というのであれば他のアクセサリーへの交換など考えずに、完全な一体型を目指すべきと言えます。
そしてこの度、Really Right Stuffから完全な一体型のAPEXシステム「FIXED APEX CONVERSION KIT」が発売されました。200g近く軽量化できる上に、剛性は飛躍的にアップします。そしてこの製品の登場によりGitzoの4型までを、Really Right Stuffがついに性能面で抜いてしまった! 私はそう確信しています。
少し熱くなり過ぎてしまいましたので、話題を変えましょう。
カメラのアクセサリーって 「便利そうと思ったけど、実際使ってみると実用性に乏しかった」ことって意外と多いと思いませんか?例えばテーブル三脚なんて、その代表例だと思います。
しかしReally Right Stuffはそんな常識さえガラガラと崩してしまいました。
「TFA-01ウルトラポケットポッド」は非常に強固でバランスさえ気をつければ、フルサイズボディでの使用も全く問題ありません。折り畳むと約14cm、重さはたった130gしかありません。これならポケットに入れてどこに行くにも携帯できます。
ほんの数年前まではReally Right Stuffのレバークランプも「便利そうと思ったけど、実際使ってみると実用性に乏しかった」物のひとつでした。他社との互換性の悪さが原因でしたが、今では改良されほとんどのメーカーと互換性があり、実用性のある便利な物になりました。
大型自由雲台BH-55もそうでした。私が3〜4年ほど前に購入したBH-55は、当時のアルカスイスZ1と比べて明らかに操作性において劣っていました。しかしBH-55は型番を変えることなく進化を続け、今ではそのZ1と肩を並べるほど進化を遂げています。
アルカスイスZ1が国内で販売されたのは2010年。この8年間でさほど進化しなかった事を考えると、もう2〜3年もすれば、Really Right Stuffに抜かれてしまう可能性さえあります。
そう、Really Right Stuffがもっとも優れているところはこの進化のスピードです。そしてその脅威の波は三脚や自由雲台だけに留まらず、あらゆる製品に押し寄せています。
パノ・ジンバル雲台は私がこれまで使ったジンバル雲台の中でもっとも剛性が高く、高品質です。独創性が高く、ジンバル雲台としてだけではなく、マルチロウ(多重列)パノラマ撮影に特化していることが特徴です。
10万円近いジンバル雲台と、これまた10万円近いパノラマ雲台を統一したのがPG-02。最上位機種FG-02においては油圧式にすることにより、さらに10万円近いビデオ雲台をもひとつにまとめてしまいました。
PG-02が約82000円(2018/02/15為替換算)、FG-02が約144000円(2018/02/15為替換算) 高額である事には間違いありませんが、ワンパッケージでこの価格は非常に魅力的と言えるのではないでしょうか?
ニッチなアクセサリーにもReally Right Stuffは手を緩めません。レベリングベースは高さを抑え三脚と一体型となるため、非常にブレに強い製品です。
構造上の理由により、若干固定力は弱いですが、他社のレベリングベースと比較しても満足度の高い製品だと思います。クランプ付きモデルを選べば、アルカスイス互換のアクセサリーを直接接続できます。
RRS製品のReally Right Stuffな選び方
それではいよいよ本題であるRRS製品のReally Right Stuffな選び方をご紹介したいと思います。
クランプ
改良されたレバークランプは、他社クランプと完全に差が開いたなと思います。
初めて購入される方には幅60mmのレバークランプをお勧めしています。反対にノブ式クランプはデザイン以外は他社と比較して特別優れたところがあるとは思いません。
購入時に注意したいのは付属のネジのサイズと、ネジ穴の有無、裏側の溝の有無、水準器の有無などです。 型番のおおよその読み取り方は下の画像をご参照ください。
商品ページの「SPECS(スペック)」の項目に「Center Hole not threaded」と記載があればネジ穴が切られていないと言う事です。
「・Center hole threaded 3/8″-16 ・Outer holes threaded 1/4″-20 spaced 30mm apart on center 」と記載があれば真ん中の穴は3/8インチのネジ穴が切られており、両外側の穴は、クランプ中心から30mm間隔で1/4インチのネジ穴が切られていると言う事です。
英語が読めなくてもGoogle翻訳などを使えば分かりますので、面倒くさがらずに読むようにしてください。
パノラマクランプも他社と比べて非常に精度が高い仕上がりです。
この精度とは水平が取れた状態でパノラマクランプの上に水準器を置き、パンした時の水準器の気泡のズレによって判別可能です。安物のパノラマクランプだとかなり気泡がズレてしまいます。
クランプとしては、やや色物ですが縦構図でレリーズケーブルを使いたいという方にはケーブルリリーフ用スペーサーが便利です。ただ付属のネジは工具が無いとクランプの装着ができず、結局オプションの専用ノブは必須です。コレに関しては最初から付けてくれたら良いのにと思うところです。
自由雲台
BH-25やBH-30にはフリクションコントロールが付いていませんので、そこにこだわりがある方は注意が必要です。個人的には良い製品だと思っていますが、いざ誰かに勧めるか?と問われれば微妙なところです。
RRS(リアリーライトスタッフ)の小型雲台「BH-25」 – ログカメラ
BH-40もこのサイズの自由雲台の中では他社の自由雲台よりもやや格上という感じですが、最高とまでは言えません。そのためどうしてもこのサイズにこだわりがあるという方にしか勧めていません。
Really Right Stuffの中型自由雲台「BH-40LRⅡ」を購入しました! – ログカメラ
しかしBH-55は明らかに完成度が高いです。競合はアルカスイスZ1+くらいだろうというくらい最高傑作に仕上がっています。ただし年代によって操作性にバラツキがありますので、なるべく新品での購入をお勧めしています。
HAKUオススメ自由雲台
BH-55 BALLHEAD
http://www.reallyrightstuff.com/BH-55-Ballhead
カーボン三脚
これだけ品質の良い太く軽いパイプを使って作られているのですから、出来れば長いモデルをオススメします。
登山や旅行が多い方にはTVC-24L、一般的な成人男性の普段使いならTVC-34Lがお勧めです。先にも書きましたがFIXED APEX CONVERSION KITを換装すれば三脚としての性能は、Gitzoの2型〜4型を凌ぐのではないかと私は思っています。
パノ・ジンバル雲台
PG-02は今一番のオススメ機材です。
ジンバル雲台として完成度が高いだけではなく、さらにパノラマ雲台とワンパッケージと考えれば、コストパフォーマンスは最高です。
webサイトを見ていますと上位機種FG-02も気になる方もいらっしゃると思います。油圧式でさらに操作性は上がりますが、レンズ単体で3kgを超えるような大きなレンズを使ったり、ビデオ雲台メインとして使う予定がなければオーバースペックになってしまう可能性があります。
レベリングベース・クランプ一体型ノーダルスライドレール
ビデオ雲台やパノ・ジンバル雲台を使用する場合、必須アイテムとなるのがレベリングベースです。オプションでエンドフックタイプを選べば風が強い日の撮影も安心です。
パノラマ撮影を使用する場合、必須アイテムとなるのがクランプ一体型ノーダルスライドレールです。お持ちの機材に合わせて長さを選ぶ必要はありますが、短過ぎると用を成さない可能性がありますので、MPR-CLⅡを選んでおくと無難だと思います。
テーブル三脚
TFA-01ウルトラポケットポッドはお金に余裕があれば是非手に入れてほしいと思う一品です。 (開脚セレクターがないTFA-01 Basic Pocket ‘ポッドと間違えて注文しないように注意してください。)
付属しているのは1/4細ネジですが、デュアルネジ取り付けスタッドというネジがRRSから6ドルで販売されていますので、そちらを使えば3/8太ネジ仕様の雲台も装着可能となります。
ただしこのネジは1/4部分が長過ぎるので、KIRK社の「Double Male Stud」の方が見栄えが良いと思います。Really Right Stuffに並々ならぬ思い入れが無い限り、こちらをお勧めします。
ヘッドにはBC-18がお勧めです。
その他、HAKUオススメアクセサリー
マルチクランプがあって本当に救われた場面が多々あります。例えば手すりに取り付けたり、三脚の脚に取り付けて2台運用したりと用途は様々。ゴムが使われていないため、固定力は他社のどの製品より強く安心して大切な機材を任せられます。BC-18やスマートフォンホルダーとの組み合わせもお勧めです。
・MULTI-CLAMP(マルチクランプ)
・MOBILE PHONE CLAMP & STAND (アルカスイス互換スマートフォン用クランプ)
http://www.reallyrightstuff.com/Mobile-Phone-Clamp-Stand?quantity=1&custcol43=5&custcol44=1
ストロボでオフライティングをされる方にはコールドシュープレートがオススメです。
底面がダブテールプレートとなっていますので三脚やクランプポッドと組み合わせれば、かなり自由な位置からライティング可能となります。
これで今回私がオススメするReallyRightStuff製品は終わりです。ご紹介したどの製品を選ばれても、きっとご満足いただけると思います。
ただ私の意見を鵜呑みにするのではなく、興味が湧いた製品は徹底的に調べてから購入してください。そうやってたくさん悩んで、迷って選んだ方が機材への愛着も湧きます。
そして実はまだ紹介したくて仕方がない製品が残っています。でも敢えて今回はご紹介せずに秘密にしておこうと思います。 そしてその製品はきっと皆さまが見つけてくれると信じています!
このような素晴らしい機会をくださったsaizouさんと、最後まで読んでくれた皆様に感謝します。 ありがとうございました!ではではー!
まとめ
こんにちは、saizouです。いかがだったでしょうか?今回はご縁があってログカメラに寄稿していただきました。
ハクさんのRRSへの並々ならぬ情熱がこれでもかというほど伝わる記事だったのではないでしょうか?
RRS製品だけではなく、三脚や雲台への情熱と造詣がこれほどすごいかたは日本でもなかなかいらっしゃらないと思っていますし、僕も機材購入の際にはいろいろと参考にさせてもらって、いつもお世話になっています。
そんなハクさんは「カメラと三脚とアルカスイスとときどきMac」というブログを運営なさっています。今回ここに書かれているRRSの記事はほんの触り、もっと詳しくて面白い記事を書かれていますのでぜひこちらもご覧になってください。
[blogcard url=”https://arcarrsgitzo.com/″]