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一眼レフカメラやミラーレスカメラの中には同じマウントでもセンサーサイズの違うものがあります。
今までAPS-C用のレンズを使っていたかたが、フルサイズ機にステップアップするときに今までのレンズが付けられるかというのは気になるところではないでしょうか。
ということで、今日はAPS-Cレンズをフルサイズにつけるとどうなるか解説していくZE!
結論:Nikon、ペンタックス、SONYはつけられる、Canonは一眼レフはつけられない
現在、日本のメーカーでの中で、同じマウントでフルサイズとAPS-Cを作っているのは以下の4メーカー
- Nikon(Fマウント・Zマウント)
- Canon(EFマウント・RFマウント)
- PENTAX(Kマウント)
- SONY(Eマウント)
APS-C専用のレンズをフルサイズ機につけられるか?という疑問、結論から言うと「Nikon・PENTAX・SONY」は付けられる、「Canon」は一眼レフのマウントであるEFマウントは付けられません。(ミラーレスのRFマウントは付けられる)
逆にフルサイズ用のレンズはどのメーカーでもAPS-C機につけることができます。
Canonの場合、後玉を伸ばすことでレンズの小型化を図っています。パンケーキレンズなんかもそのお陰ですね。ただ、そのためフルサイズ機で使うとミラーなどに干渉するようです。
イメージ的にはこんな感じですね。APS-C機ではミラーを小さく作れるので後玉が伸びても問題ないのですが、フルサイズ機で使うと伸びた部分がミラーに干渉するのがわかるでしょうか。
Canon機ではフルサイズにAPS-C専用レンズ(EF-Sレンズ)は使えないので注意しましょう。
※これはEF-Sレンズでの話。SIGMAやTAMRONなどのサードパーティ製のレンズは後玉が伸びていないので、Canonのフルサイズ機でも使用可能です。
- フルサイズ用のレンズはどのAPS-Cカメラにもつけることが可能
- APS-C用のレンズはCANONの一眼レフのみ付けられない
APS-Cレンズをフルサイズで使う時の注意点
APS-Cレンズをフルサイズ機で使えるメーカーのものも、実は少し注意が必要です。
APS-Cレンズのイメージサークルはフルサイズのセンサーよりも小さいので周辺がケラれるのです。は?イメージサークル?ケラれ?なにそれですよね。ちょっと勉強してみましょう。
イメージサークルとセンサーサイズ
イメージサークルという言葉があります。レンズっていうのは見てわかるとおり、丸いカタチをしていますね。なので、レンズから入ってきた光は実は丸いんです。一方、その光を受けるセンサーは四角くなっているので、写真は四角く写るんです。じつは気づかないところで周りの丸い部分をばっさり切っちゃっているんですね。
というわけでレンズのイメージサークルというのは
センサー<イメージサークル
である必要があります。
ほいで、さっきからフルサイズだAPS-Cだといろいろ出ていますが、実は同じ一眼レフカメラでもフルサイズ機とAPS-C機のセンサーっていうのはこれだけ大きさが違うんですね。
APS-C機というのは小さく作りやすいんですが、そもそもこのセンサーが小さいのであらゆるところを小型化できるのがその要因。
またレンズのほうも、この小さいAPS-Cのセンサーの部分をカバーできるイメージサークルのものを作ればいいわけですから、やっぱり小型化することができます。
例えばこの2本のレンズ。f値が違うので一概には比べられませんが、どちらも同じような画角をカバーする標準レンズです。左がAPS-C用、右がフルサイズ用です。だいぶ大きさが違いますね。
APS-Cのイメージサークルはフルサイズのセンサーサイズより小さい
そんなコンパクトなAPS-C用のレンズなんですが、そうなるとイメージサークル自体も小さいんです。そりゃそうです、APS-C専用として作っているのでわざわざフルサイズセンサーに合わせてムダに大きく作る必要がないですからね。
なので、APS-C用のレンズをフルサイズのカメラにつけるとどうなるかというと
こんな感じになります。光が入ってきているところよりもセンサーで写る範囲が大きくなっているのがわかりますか?んで、薄暗くなっているところがあるじゃないですか。ここってどうなってるのかというと、黒くなってしまい何も写らなくなっています。これを「ケラれ」と呼びます。ケラれっていうのはわりといろんな場合に使われることがあり、余計なところが暗く影になることをいいます。
実際撮ってみよう
机上のことであれこれ言っててもわかりにくいので実際撮ってみました。
こちらの写真、NikonのAPS-C用レンズであるAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR IIでとりました。カメラはAPS-C機のD5500。
同じAPS-C用のレンズをD750というフルサイズのカメラにつけて撮影したのがこちら。ごらんのとおり、周辺がケラれているのがわかりますね。また、レンズが丸い形である「イメージサークル」も理解できると思います。
あと、同じレンズ、同じズームで撮ってるのにちょっと大きさが変わっていますね。これもちょっと覚えておいてください。
このままじゃ使えないので、カメラ側で調整できるものがある
こんなに周りが真っ黒になるなら使えないやーん!って思う方もいらっしゃるかもしれませんね。でも大丈夫。
APS-C機から初めてゆくゆくはフルサイズに行きたい!けど、レンズはAPS-C用で揃えちゃったしレンズ資産が無い!って悩みを抱えていたかたは少なくないのでは?なのでメーカーが側もこの問題にきちんと対応してくれています。
結局の悩みは周りが黒くなっちゃっているとこなんです。
そう、まわりが黒いなら切っちゃえばいいんです。このいらない所を切り取ることをクロップと呼びます。
こんなふうに、APS-Cサイズに合わせて…
まわりを切り取るとこんな感じ!
ね?周りの暗いところがなくなったでしょ?最近はこれをカメラ側で勝手にやってくれる機種がたくさん出てきています。
NikonやPENTAXのファインダーはレンズからの光をそのまま鏡に反射させているので、ファインダー内に枠線を引いてクロップする範囲が分かるようになっています。
例えば僕の持っているD750、
ファインダー内を無理矢理撮影してるので、ちょっと画質が悪いのですが、APS-C用レンズを装着するとこんな感じで見えます。周辺がケラれていますね。
ここでカメラ側のクロップ機能をONにすると、こんな感じで枠線が現れます。このままシャッターを切ると自動的にカメラ側で枠線に合わせて、まわりのいらない所をクロップしてくれ、本来APS-Cで写る範囲だけが残るようになっています。
撮ってみるとこんな感じ。周辺のケラれが無くなってますね(*´ω`*)
枠線があるだけだと、撮影時に混乱することもあります、高級機のなかにはこのクロップ部分を自動的に真っ暗にしてくれるものもありますね。また、ライブビューで撮影すると、液晶画面にはクロップしたあとの画面が写しだされます。
ミラーレス機は自動的にクロップしてくれる
最近は各メーカーがミラーレスカメラを出しています。
ミラーレスカメラはEVF(電子ビューファインダー)なので、こちらもクロップ後の画面が写しだされます。
画像処理ソフトでクロップするのもアリ
ちょっと古いカメラではこのクロップ機能が無いものもあります。とはいえ、そこまで気にしなくても大丈夫。
カメラ側で自動的にやってくれるので非常に便利なクロップ機能なんですが、結局やっていることは周辺切り取っているだけなんですね。なので、お手持ちの画像処理ソフトでおんなじように周辺の使えないところを切り取ってやるという手もあります。
クロップ=画素数低下になるので、ちょっと注意
周辺を切り抜くということは、もともとあったデータが無くなってしまうということです。
これによって、実は画素数が低下している、というのは少し注意が必要です。例えば僕の持っているD750は2432万画素なんですがクロップしてしまうと約1000万画素まで低下します。
1000万画素あれば、それなりに大きくはできるのですが、プリントですっごく大きく引き伸ばさないといけないような時は物足りなくなることもあるかもしれません。それでも四つ切くらいのサイズであれば、充分な画素数ではありますが。
これは画像処理ソフトでクロップする場合も同様です。
画素数低下するから画質が悪くなるの?
画素数=画質がいい、みたいに勘違いしている人もいるかもしれませんが、実は画素数はそこまで画質に影響しません。画質を決定づけるのは1画素あたりの多きさです。だから、センサーが大きい方がいいんですね。クロップして1000万画素になっても、画素の大きさ自体は変わっていません。
上の写真はフルサイズ機にAPS-C用の望遠レンズを付けて撮った写真ですが、APS-C機ではなかなか難しい霧の濃淡やそこから浮かび上がる仏塔の細かいディティールがよく出ています。
画素数はおちるものの、APS-Cレンズをフルサイズ機につけたほうが、高感度性能や色の再現性などの性能はいいのではないかなと個人的に思っています。このへんはカメラにもよりますが、覚えてほしいのはAPS-Cレンズをつけて画素数が落ちるからといって、必ずしも画質が悪くなる、ということではないということです。
焦点距離はどうなるの?
例えば今お持ちのレンズがAPS-C用の35mmのレンズだとしましょう。これをフルサイズ機につけた時、焦点距離ってどうなるの?と思うかたもいらっしゃるかもしれません。
その前にちょっと焦点距離をおさらいしてみましょう。
焦点距離とは
焦点距離というのは小難しくいうと「レンズの主点から焦点までの距離」のことをいいます。難しいですね。
けっこうざっくりですが、こんな感じのイメージを想像してもらえればOKです。カメラの場合は、主点がレンズの中心部、焦点がセンサーになります。
ほんとはもっとややこしいのですが、あんまり最初からややこしいことを覚えていても難しいだけなので、今日はザックリ解説します。気になる人はググッてね
1.APS-CレンズをAPS-Cカメラにつける
さてさて。この上の図なんですが、例えばこれがAPS-C用のレンズをAPS-Cカメラにつけていた時の状態としましょう。
APS-Cのレンズとカメラの組み合わせで撮るとこんな感じになるとします。
2.APS-Cレンズをフルサイズカメラにつける
フルサイズカメラにAPS-Cレンズをつけるとこんな感じです。写る範囲(緑の部分)よりもセンサー(赤い部分)のほうが大きいのがわかりますか?
そしてもう1つ重要なのが「焦点距離自体は変わってないということ」そう、焦点距離は変わらないんです。まずはここをきちんと押さえておきましょう。
虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がした経験ありませんか?あの時も焦点っていうのはある一定の距離だったはずです。
けれど実際撮るとこうでしたね。大きさが変わっているのが気になりません?
並べてみてましょう。
あきらかにフルサイズにAPS-Cをつけたほうが小さくなっているのがわかりますね。
これ、図にするとこんな感じになっています。
センサーが大きいぶん、写しとれる範囲が広がっているのがわかるでしょうか。写す範囲が広い、ということはズームアウトした状態なのでダンボーもちっちゃくなります。
センサーが変わると写せる範囲が変わる
ということで、結論としては35mmのAPS-Cレンズをどのカメラにつけても焦点距離は変わりません。しかし、写せる範囲が変わってくるというのを覚えておきましょう。この写せる範囲のことを画角と呼びます。もう少し詳しく知りたいかたはこちらを参照してください。
初めて単焦点レンズを購入する人は要注意!50mmは標準レンズじゃないぞーい! – ログカメラ
レンズを選ぶ時は焦点距離と画角がごっちゃになっているので要注意
さきほどの記事でも詳しく述べていますが、同じ焦点距離でもセンサーのサイズによって写る範囲が変わっています。
レンズ選びの際はそこを理解して購入しないと、あれ?思ってたのと違う、となりかねないので注意が必要です。
APS-Cレンズをフルサイズで使う分にはクロップするので画角は変わらない
APS-Cレンズをフルサイズで使う場合にはイメージサークルが足りないので周囲をクロップするっていいましたよね。
本来はセンサーが大きくて広く写る部分をカット(点線の部分がカットされたところ)するので、写る範囲はもとと一緒になります。
クロップ機能をオフにすると先ほどのように、画角が広くなります。
まとめ
いかがだったでしょうか。けっこう難しいよねー。
けっきょく、座学で僕があーだこーだというよりも、実際お店などで、
- フルサイズ×フルサイズレンズ
- フルサイズ×APS-Cレンズ
- APS-C機×フルサイズレンズ
- APS-C×APS-Cレンズ
の組み合わせで試させてもらうと、もっとスッキリするかなと思います。
いつかはフルサイズと思ってレンズを集めたい人は
- APS-Cレンズでもフルサイズで使える
- フルサイズで使うとちょっと画素数が落ちる
- 写る範囲はクロップされるところがあるので、APS-Cの時と変わらない
っていうところをちょっと覚えておきましょう。
Canon以外のメーカーでは、増やしたレンズ資産はそのまま引き継げます。もちろん、いずれフルサイズ用のレンズにいれかえていくことになりますが、それでもまったくムダにならないのは嬉しいですよね。