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2019年のお正月にイエローナイフでオーロラの撮影をしてきました。
はじめてのオーロラ撮影でしたが、いい経験を積むことができました。自分なりに体験したオーロラの撮影方法や撮り方で気をつけたいことをまとめてみたいと思います。
オーロラをいつどこで撮影するか?
とりあえずオーロラを撮影するにはオーロラが出ていないと話になりません。
今回はカナダのイエローナイフという場所で撮影してきたのですが、その場所を選んだ理由も含めていつどこで狙えばいいのかちょっと考えてみましょう。
オーロラが出る場所は限られている
オーロラが出る場所というのは限られています。オーロラは太陽風がいろいろとあれすることで発生します。詳しく書くと理科の授業のようになるので割愛。
覚えておきたいのは、その太陽風の影響をうけて発生するのは南北ともに緯度60度から70度のオーロラベルトという場所に頻繁に観測できるということ。太陽風の影響が強ければその他の地域でも見ることができるようですが、このオーロラベルトというのがやはりよく見れるわけです。
ただ、南半球のオーロラベルトはほとんど海とか南極になってしまうので観測する場所がない。というわけで、北半球の地域での写真をよく見るわけですね。
具体的にはカナダ、アラスカ、北欧の国々でオーロラを見ることができます。
今回イエローナイフを選んだ理由
今回僕がオーロラ撮影の地として選んだのはイエローナイフでした。
[blogcard url=”https://logcamera.com/aurora/″]
いろんな場所がある中、このイエローナイフを選んだのはなによりもオーロラ鑑賞率の高さ。
今回は4泊6日の旅。オーロラを鑑賞する機会は4回でした。
ぶっちゃけ、4泊6日という短い期間のなかで外すわけにはいかないじゃないですか。もっと長い期間お休みがとれるなら他の選択肢もありますが、僕はこれでもかなり長いおやすみをいただけたほうなのです。
イエローナイフは年間240日くらいオーロラが観測できる場所。3日間のオーロラ観測率が95%以上です。実際僕も4日間滞在しましたが天気の悪い冬の時期でも2日間オーロラを鑑賞することができました。
北欧などもオーロラ鑑賞の名所ではあるのですが、若干晴天率や観測率が低いようです。しかし、アイスランドなどオーロラ以外でも撮影できる雄大な風景があるので、時間もたっぷりとれていろいろ撮り歩きたいという人にはいいかと思います。
逆にイエローナイフはオーロラがメインで他にあまり行くところもなかったりします。
時期はいつがいいか?
オーロラが見える北極圏では4月下旬〜8月頃まで真夜中でも日が沈まない白夜になります。ということで、このあたりの時期はオーロラ観測に向きません。
また、オーロラは夜に観測できるので夜の時間が長ければ長いほど、観測の確率が上がるわけです。
オーロラというと冬の寒い中見るイメージがありますが、寒い時期のほうが白夜にならず夜の時間が長いからなのですね。
ただ、冬以外にもオーロラは発生しており、カナダなどでは8月くらいからツアーも始まります。夏の時期は晴天率が上がるため観測もしやすいようです。
雪とオーロラもいいですが、湖などが凍らずリフレションが狙えるのは夏の時期なので悩ましいところかもしれません。
イエローナイフの過去の観測結果はオーロラビレッジで見ることができるので参考になります。
今回休みの都合で冬に訪れましたが、晴天率などを考慮すると夏から秋などにかけてもよさそうですね。
オーロラを撮るのに必要な機材
オーロラの撮影は基本的には星を撮るのとよく似ています。日本でも練習したいなら何回か星空をきれいに撮ってみるといい経験になるかと思います。
ということで、こちらも参考になれば。
[blogcard url=”https://logcamera.com/hosi-tettori/″]
内容が少し重複しますが続けたいと思います。
シャッタースピードが調節できるカメラ
カメラによりますが、夜間の撮影になるので明るく撮るため数秒間シャッターを開けたままにできるカメラが必要です。
一眼レフやミラーレスカメラはほとんど該当するかと思います。コンデジでも多くの種類がシャッタースピード調節できると思うので説明書を調べてみてください。
[blogcard url=”https://logcamera.com/a-s-iso/″]
三脚
数秒間シャッターをあけたままにしないといけないので、手持ちではどうしてもぶれてしまいます。ということで三脚が必要になってきます。
日本から持っていくにはちょっとめんどう、という人はオーロラビレッジでは三脚の貸出をしていたので利用するといいでしょう。
三脚にはアルミとカーボンがあります。アルミのほうが安いのですが、マイナス30度の中で素手で触ってしまうと一気に体温が奪われると思います。もしもお金に余裕があればカーボンの三脚を用意しておくと安心です。
空に向けてカメラを向けるので雲台は自由雲台のほうが使いやすいかと思います。
[blogcard url=”https://logcamera.com/sankyaku-erabikata/″]
ヘッドライト
オーロラ鑑賞や撮影をしている人がいるのでできるかぎり余計な明かりは灯さないほうがいいのですが、それでも真っ暗な中ではなかなか設定ができません。
ヘッドライトがあると両手も使えるので安心です。また、赤い光はまぶしさが軽減されます。このヘッドライトのように赤い灯りと切り替えられるようなものを選んでおくといいでしょう。
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バッテリーは多めに
寒冷地ではいつも以上にバッテリーの消耗がはげしくなります。カメラによっては数枚撮ったらバッテリーが空になる、なんてこともあります。
バッテリーの持ちのいいカメラを使い、予備も多めに持っていくことが必要です。
使わないバッテリーも、寒い中カメラバックに入れていると冷えていつのまにかバッテリーを消耗しているので衣服の内ポケットなどに入れて温めておきましょう。
レリーズ
オーロラ撮影では数秒間シャッターをあけることになるのでレリーズがあると直接カメラに触ることなく撮影ができるので便利です。
とはいえ、マイナス30度くらいになるとレリーズのコードが凍ってしまって根本の部分が折れてしまうこともあります。というか、僕は2日目で折ってしまいました。
あったら便利だけど、なかったらまあ無くてもいいかなという感じです。
結露対策
撮影はマイナス30度、テントの中は薪ストーブでぬくぬくと、オーロラビレッジでの撮影は結露が発生する条件が揃っています。
必ず結露対策をしていきたいところです。できればジップロック、なければ大きめのビニール袋、シリカゲル、タオルなどあると便利だと思います。
具体的な結露対策はこちらもご覧ください。
[blogcard url=”https://logcamera.com/keturo/″]
カメラの設定
いきなりオーロラが出て慌てることがないよう、あらかじめ設定をすませておきましょう。
カメラのモードはM(マニュアル)に
カメラのモードはM(マニュアル)に設定しておきます。このモードではシャッタースピードや絞りなど自由に設定できるモードです。
オーロラはオートだとちょっと撮りにくいのでこのモードにしておきます。
長秒時ノイズ低減をOFFに
カメラのメニューから「長秒時ノイズ低減」を選択しOFFにしておきます。
長い時間シャッターを開けているとノイズが乗ることがあるんですが、撮影後にそのノイズを除去するためしばらく撮影ができなくなります。オーロラの撮影では長くて30秒くらいのシャッタースピードなのでほとんどノイズ乗らないと思います。切っておきましょう。
くわしくはコチラ。
[blogcard url=”https://logcamera.com/bulb-noize/″]
高感度ノイズ低減はONにしておく
似たような機能に高感度ノイズ低減というのがあります。JPEGで撮るならONにしておきましょう。低減度合いを選べるカメラもあります。とりあえず普通(NORM)で。
オーロラ撮影ではかなりISO感度をあげることになるので、ノイズが気になるのであれば強めにしてもいいかもしれません。
RAWで撮影する場合はあとでノイズ処理をすることになるので切っておいてもかまいせん。
くわしくはコチラ。
[blogcard url=”https://logcamera.com/noise-kokando/″]
オートフォーカスはマニュアルに・手ぶれ補正はきっておく
オーロラ鑑賞するような場所では非常に暗くオートフォーカスは効きません。これがONになっていると、せっかく合わせたピントがシャッターを押すときに動いてしまうのでマニュアルにしておきましょう。
手振れ補正ができるカメラやレンズがあります。これ、手持ちで撮る時は非常に便利ですが、三脚につけて撮影する場合、誤作動をおこし写真がブレてしまうことがあります。 これも忘れずに切っときましょう。
シャッタースピードは10秒、ISOは1600、絞りは開放
カメラの設定はまずはこんな感じでいきましょう。これはF値4まであけてますが、レンズによってはf5.6くらいかもしれません。
レンズの開放F値は変えられないので、あとはシャッタースピードとISO感度で調整していくことになります。
この設定だと、もしかしたらちょっと明るめに写るかもしれません。このへんは現地で細かく設定を調整していくことになります。
ホワイトバランスはとりあえず晴天でためしてみる
ホワイトバランスはけっこう難しいです。オートでもいいんですが、まずは晴天に設定していろいろと試してみるといいでしょう。
RAWで撮っておくと、撮影後にホワイトバランスの調整もできるのでおすすめです。
レンズは広角がおすすめ
オーロラは空一面に発生するので広角レンズがおすすめです。単焦点レンズだとF値が明るくていいんですが、やっぱりズームレンズが使いやすいと思います。
35mm換算で14〜24mmくらいが一番使いやすいのではないでしょうか。
センサーサイズによって焦点距離が変わるので具体的には
- フルサイズー14〜24mm
- APS-Cー10〜18mm
- マイクロフォーサーズー7〜14mm
くらいの焦点距離でできるだけ明るいレンズを選ぶといいかと。
焦点距離ごとの特徴などはこちらも参考にしてみてください。
[blogcard url=”https://logcamera.com/shoutenkyori-tokucho/″]
また、魚眼レンズなんてのをお持ちならおもしろいのが撮れそうなので余裕があればバッグの片隅にいれておくといいと思います。
実際に撮影してみる
では、ある程度設定ができたら実際に撮影してみましょう。
実はオーロラは肉眼では緑色には見えない
これ、現地でも勘違いしている方がけっこういたんですが、オーロラというのは肉眼では写真のような鮮やかな緑には見えません。
白いモヤのような、雲のようなものがゆらゆらとしている、という表現が近いです。肉眼で見たようなオーロラを忠実に再現してみるとこんな感じです。カメラを通すことではじめてあの鮮やかな緑色を見ることができるのです。
最初のうちは雲との区別もつかないかもしれません。
まずはとにかく撮る!
構図だとか、前景だとかいろいろ考えてしまいますが、幸運にもオーロラを見ることができたのなら、まずはとにかく撮りましょう。
イエローナイフとかでは3日間滞在の鑑賞率95%なとどうたっているので夜の間ずっと見れるように思ってしまいますが、ちょっとでも雲が出てくるとすぐに見えなくなってしまいます。
僕は4日間オーロラ鑑賞に訪れ2日間その様子を見ることができましたが、それでもすぐに雲が出てきてしまい実際に鑑賞できたのは数時間といったところです。
あなたが運がよければいいのですが、こればかりは行ってみないとわかりませんし、何度も行ける場所でもありません。とりあえず、オーロラを見る機会に恵まれたのならとりあえずその美しい景色をとにかくカメラにおさめておきましょう。
設定は細かく変えてみる
オーロラはその活動によって、写真に写る明るさが変わってきます。
なので、設定の説明では絞り開放、シャッタースピード10秒、ISO1600としていますが、とりあえず一度撮影してみていろいろと変えてみましょう。
この設定で十分明るく撮れる、という場合であればISOを下げていきましょう。ISO1600というのはけっこう高い感度なので、けっこうノイズがのってしまうからです。
撮影した写真は液晶モニターでチェックすると思います。しかし、オーロラは非常に暗い場所で行います。液晶モニターで明るく見えていても実際にPCに取り込んでみると暗かったということもあるかもしれません。
ヒストグラムを見てきちんとした明るさで撮れているか確認する
これがヒストグラム。おそらく大半のカメラはヒストグラムが確認できるようになっていると思いますが、わからないかたは説明書を見直してみましょう。
液晶モニターで確認して明るく見えていてもこのヒストグラムの山が極端に左に張り付いているような形だと、実は適正な明るさで撮れていません。
写真によっていろいろ山の形が変わるので一概には言えませんが、せめてこの上のような形くらいの明るさで撮っておくといいと思います。
くわしくはこちらを参考にしてみてください。
[blogcard url=”https://logcamera.com/histogram/″]
暗い場合はISO感度かシャッタースピードを上げる
撮影してみて暗かった場合はISO感度かシャッタースピードを上げましょう。
ISO感度をあげてしまうとどうしてもノイズが出てしまいます。同じISO感度でもカメラのセンサーサイズによってノイズの出方が変わってきます。できれば大きなセンサーサイズのカメラを使うといいでしょう。
あなたの許容できるノイズ量がどのあたりのISOで出るのか日本にいる間に星で練習しておきましょう。
絞りは開放だと思うのでISOも許容範囲いっぱいまであげてしまうと、あとコントロールできるのはシャッタースピードです。
オーロラはけっこう早いスピードでゆらゆら動いているのであまりにも長いシャッタースピードにしてしまうと空全体が緑になってしまってオーロラ特有のヒダのような感じになりません。
このへんはあなたの好みと実際に現地で試してみるほかないので、シャッタースピードを変えていろいろと撮影してみてください。
余裕があれば異なる露出で撮っておく(ちょっと難しい)
これはちょっと難しいので、あんまり写真に慣れてないなら無視してください。
10秒くらいの長いシャッタースピードで撮影するとオーロラはきれいに撮れるんですが、例えばイエローナイフのテントのようなちょっと明るい前景があると白飛びしてしまいます。
ある程度オーロラの写真も撮れて少し余裕が出てきたら、「明るい・普通・暗め」の3枚くらいを撮っておくといいでしょう。
LightroomでHDR合成もできますし、フォトショップが使える人なら白飛びしてないテントと形のきれいなオーロラを上手く合わせることもできます。
ただ、あんまりブラケット撮影に気をとられすぎてあっという間にオーロラが雲に隠れた、なんてこともあるのでまずはたくさん撮るといいと思います。
多少テントが白飛びしてても、とりあえずはオーロラのショットをおさせえておきましょう。
実際の作例
ここでは実際の作例と設定、どういうふうに撮ってみたか書いてみます。
- カメラ:Z7
- レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- 焦点距離:14mm
- f値:2.8
- SS:10秒
- ISO:1250
レリーズで連射モードにしておいて自撮りしました。広角レンズの広角端を使うことで空を広く写すことで遠近間のあるオーロラが撮影できました。
現像でコントラストをちょっと強くしてやることでオーロラがしっかりと浮かび上がります。
- カメラ:Z7
- レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- 焦点距離:14mm
- f値:2.8
- SS:30秒
- ISO:1600
到着して一発目に撮った写真。まだ設定をどうしていいものかよくわからず、とりあえず明るめにと思って30秒で撮影。オーロラが動いてしまうので、ヒダヒダ感がちょっと薄まってしまいました。
- カメラ:Z7
- レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- 焦点距離:15mm
- f値:2.8/7.1
- SS:13秒/10秒
- ISO:1600
明るめに撮ったオーロラと白飛びしないように撮った前景のテント(ティーピー)をフォトショップで合成。
ホワイトバランスをどうするか悩ましかったのですが、オーロラの緑とティーピーの暖かい感じが出るようにしました。ティーピーがけっこう明るいのとその光でだいぶ周りの木もだいぶ暖色系によるのでホワイトバランスの落とし所はけっこう難しいです。
- カメラ:Z7
- レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- 焦点距離:16mm
- f値:2.8
- SS:10秒
- ISO:800
16mmで撮影した2枚を縦パノラマしています。
広角レンズは遠近感のある写真を撮りやすいですが、パノラマをすることでさらに迫力ある構図を作ることができます。
f値がけっこう明るいのでISOを少し落とすことでノイズの発生を抑えています。
- カメラ:Z7
- レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- 焦点距離:14mm
- f値2.8/4.5
- SS10秒/8秒
- ISO1250/320
こちらもティーピーが白飛びしてしまうので、暗めに撮った前景と明るく撮ったオーロラを合成しています。
ティーピーから漏れる明かりが綺麗だったので、ファンタジックな雰囲気になるように現像しました。
まとめ
オーロラの撮影は難しいですが、写真ならでこそ表現できる素晴らしい光景を写し取ることができます。
機会があれば、ぜひちょっといいカメラで素敵な写真を撮ってみてください。