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NIKON Z9のプリ撮影機能「プリキャプチャ」が凄すぎてシャッターチャンスを逃さない件

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Z9のファームウェアVer2.0から搭載されたプリキャプチャ機能。

最近、動物を撮影する機会がけっこうあるのですが、このプリキャプチャ機能が非常に便利すぎて重宝しまっくているので皆さんに紹介してみたいと思います。

プリキャプチャ機能とは

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Via:Z 9 – 製品特長 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング

プリキャプチャ機能というのは、シャッターを押した瞬間から時間を遡って記録できるというタイムマシンのような機能です。

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例えば、小鳥のような被写体を撮影する場合、枝に止まっているのは簡単に撮れるんですね。

そこから羽ばたく瞬間を収めたいのですが、小鳥が羽ばたいてくスピードは非常に素早く、それに僕らの反応速度は追いつかないわけです。

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ですので、羽ばたいた!と思った瞬間にシャッターを切っても、このように飛び立ってしまってどこにも小鳥がいない写真となってしまいます。

これをなんとかするために、これまでは「なんか飛びそうな気がする」ところからずっと連写をしておく、という方法で我々は小鳥が羽ばたいている瞬間を撮影してきたわけです。

羽根を広げたメジロを撮影してきたので撮り方の備忘録を書いてみる

メジロと息を合わせる

飛んだ!と思った瞬間シャッターを切っていては、すでにフォーカスアウトした写真しか撮れないでしょう。基本的には飛ぶ前から連写を始めているのがいいかと思います。

ただ、望遠レンズをつけた重いカメラを延々連写しながら飛ぶのを待つというのはけっこう苦痛です。たくさん撮ってくると、なんとなく、ほんとなんとなく飛びそうな雰囲気がわかったようなわからないような気分になってきます(笑)

とにかくメジロと息を合わせるつもりで、飛び立つちょっと前から連写を始められると歩留まりがいいでしょう。

以前に、メジロという小鳥を撮影する際の備忘録をこのように書いています。息を合わせるとはいえ、その瞬間まで連写し続けるのも結構大変ですし、バッファも詰まってしまって撮れなくなることもありました。

プリキャプチャならその飛んだあとから遡って記録できる

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プリキャプチャ機能を使うと、いつもなら反応が遅れ飛び立ってしまってなんにもいないところで写真を押すことで、そこから数秒遡って記録ができるという、ものすごいことができるわけなんです。

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そうやって遡って記録したところ、メジロの羽ばたいている様子がバッチリ記録されていました。

プリ撮影の仕組み

まるでタイムマシンのようなプリ撮影ですが、どのような仕組みでそんなことができるのでしょうか?

バッファメモリ

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カメラの中にはバッファメモリというメモリが入っています。撮影した写真データはバッファメモリに一時的に記録され、順次SDカードのような記録メディアに記録されています。

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なんでこんなことをしているかというと、記録メディアは容量が大きい代わりに読み書きが遅く、バッファメモリは読み書きが早いのですが容量が少ないという特性があります。

なので、連写などのデータは読み書きが早いバッファメモリに一度記録させておき、そのあとゆっくりと大容量のSDカードにうつしていくのです。

しかし、バッファメモリは容量が少ないのでたくさん連写しすぎるとすぐにいっぱいになってしまい、いっぱいになった後は記録メディアにデータを移し、その中身を消すまでは次の撮影ができなくなってしまいます。これをバッファが詰まるなんていいます。

詳しくはこちらに書いています。

連写が途中でとまっちゃう!?カメラの連写速度にも影響するバッファメモリとは

プリキャプチャはバッファメモリをフル回転させている

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バッファメモリは書き込み速度は早いのですが、容量が少ないのですぐいっぱいになると書きましたが、プリ撮影をしているときというのは、この高速で書き込まれた写真を高速で消していっているのです。

バッファメモリ idraw

高速で書き込みながらも、次々消していくおかげでバッファは詰まることなく、どんどん連写ができます。

しかし、このままではSDカードなどの記録メディアにはまだ記録できていません。

バッファメモリ idraw

シャッターを半押ししている間は、延々とバッファメモリ内に写真が書き込まれ次々と消されている状態。

そこでシャッターボタンを押すと、

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①は通常通り、シャッターを押したことで記録メディアに記録されていきます。

一方ですでにバッファメモリには撮りためていたものがあるので②のように過去に貯めていたものも記録メディアに記録していきます。これが時間を遡って撮影できる仕組みです。なんとなくイメージができたでしょうか?

NIKONのZ9のプリキャプチャ機能

Z9

プリ撮影機能は他のメーカーでも搭載されてはいますが、僕が持っているのはZ9なのでこちらの「プリキャプチャ」機能について説明してみましょう。メーカーによって呼び方がちょっとずつ違います。

NIKON「Z9」を徹底レビュー!フラッグシップ機の実力を検証!!

Z9にはもともと「ハイスピードフレームキャプチャ+」という機能があります。これはJPEGで画像サイズが11メガピクセルの場合、最大で120コマ/秒、45メガピクセルで30コマ/秒の超高速連写ができるという機能。

電子シャッターを使ってバシバシ連写ができまっせという機能ですね。さすがにまだRAWではファイルがデカすぎるためそこまでの連写はできませんが、JPEGであればガシガシ撮れるようになったわけです。

んで、このハイスピードフレームキャプチャ+モードであればプリキャプチャも使えるようになったわけです。

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プリキャプチャでは最大1秒まで設定することができます。シャッターを押してから1秒間も遡ることができるんですね。

シャッターを押したあとは最大で4秒間記録することができます。たった数秒のように感じるかもしれませんが、ハイスピードフレームキャプチャ+が最低でも30コマ/秒なのでプリキャプチャ1秒、シャッター後4秒でも150コマも撮れるという計算になります。

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1秒間、30コマ撮れるとこんな感じで撮影ができます。メジロが飛びだってからシャッターを押してもその瞬間までしっかり遡ることが可能になります。

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プリキャプチャ中は「PRE」のアイコンの右に緑のランプがつき、プリキャプチャしていることを知らせてくれます。

羽を広げた小鳥などの歩留まりがめちゃくちゃ上がった

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というわけで、プリキャプチャを使っていろいろと撮影をしてきたのですが、あの難しかった小鳥が羽を広げた瞬間の撮影がめちゃくちゃ簡単になりました。

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これまでは飛ぶか飛ばないかわからないときでも連写し続けなければいけませんでしたが、プリキャプチャを使えば大変効率的にその撮影をすることができました。

決定的瞬間を逃したくないときにはプリキャプチャを使っておけば間違いなさそうです。

JPEGでもそれなりに現像できる

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プリキャプチャ機能を使う場合、現時点ではJPEGでしか記録できません。

「RAWじゃないからレタッチ耐性ないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、それなりに現像することができます。

白飛びや黒つぶれに近いデータをゴリッと持ち上げる、なんてことはさすがにできませんが、明るさやコントラストの補正、色調の変化など思っている以上には思い通りに現像することができます。

また、RAWでもいえることですが、現地でしっかりと設定をつめて、撮影した時点で完成形を目指すことも大事です。

まとめ

Z9のプリキャプチャがすごいというお話でした。今回フラッグシップへの搭載でしたが、今後は下位機種にも普及していくのも楽しみですね。

シャッターチャンスを逃さないことがじつは撮影で一番大変なことかもしれませんが、そんなチャンスを逃さないプリキャプチャ、ぜひ活用していきたいです。