本が出ました!「美しい風景写真のマイルール」

ゲンジボタルの光跡を撮影する方法

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ゲンジボタル

初夏の蒸し暑い夜に、美しい光跡を描いてくれる昆虫。それがホタルです。

たくさんの光の乱舞。なんか写真に収めるのが難しそうと顔をしかめるそこのあなた、コツさえ掴んでしまえば案外キレイに写せるもんです。やっほい。

いやいやー、うちの周りにはホタルなんていないからー、なんておっしゃるそこのあなた。ややや、少し足を伸ばしてみればけっこういるもんですよ。ホタル。

せっかくなら一生に1回くらい、ホタルの撮影にチャレンジしてみるのもいいんじゃないでしょうか?その幻想的な光の軌跡を写真に収めることができれば、かなりテンションあがるのは間違いないですよん。

今日は、そのテンションあがるホタルの撮り方を徹底的にご説明したいと思います!めちょ長くなる予定なので、余計なところはすっとばしながら読んでくれよな!



蛍の撮影の前に

休憩しているダンボー

ホタルを撮影する前に少しだけ前置きをしたいと思います。前置きが長いのがこのブログの悪いクセです。

ゲンジボタルの生態

ホタルに限らないかもしれませんが、生き物を撮影する場合、その生態について理解しておくことはけっこう重要だと思っています。

この初夏にしか見ることができない昆虫がどこで、どんなふうに見られるのか、まず理解しておきましょう。

ホタルの種類

今回タイトルに「ゲンジボタル」とわざわざつけたのは、実はホタルの種類によって光り方がまったく違うからなんですね。

代表的なホタルの種類は以下のようなもの

  • ゲンジボタル
  • ヘイケボタル
  • ヒメボタル

この中のゲンジボタルが作例の写真のように光跡を描くように撮影することができます。

ちなみにヘイケボタルがコレ↓

ヘイケボタル

ヒメボタルはこんな感じです↓

かすかに息づく小さな昆虫の光

ヒメボタルに関してはまた別記事で撮影の仕方を取り上げたいと思います。

ゲンジボタルの生息地

ゲンジボタルの幼虫は清流の流れのゆるいところでカワニナという巻き貝を餌に成長していきます。その後、川から上がり川岸の土で蛹、そして成虫へと成長していきます。

つまり、ゲンジボタルを見るには餌のカワニナが生息できるような清流の周辺を探してやる必要があるんですね。また、ホタルはその光で求愛しています。ですので、その光をかき消してしまうような街灯や車のライトのキツイところでは見ることができません。

あなたのお住まいの側にもありませんか?川の流れのとてもキレイな所。あんまり流れが早いところはダメですよ。そして、街灯もないような暗い場所。そんな場所を探してみると、その幻想的な光に出会えるかもしれません。

最近は人工飼育の技術もだいぶ確立されてきたようで、ほたるの里といったホタルが鑑賞できる場所もあちこちに見られますね。

ゲンジボタルの光る時期・時間

早いところで5月中旬くらいから遅いところでは7月後半くらいまで見ることができます。だいたい20度くらいが目安のようです。また、天気にも影響されやすく、雨天や風の強い日などはあまりたくさん飛びません。

ゲンジボタルは日が暮れだすと少しづつ光りはじめます。この時期だと日没がだいぶ遅くなっていますので、だいたい19時30分くらいを目安にされるといいと思います。

その後20時ごろをピークに21時をまわると少しづつその数が減っていきます。その後、再び23時ごろから光はじめ24時くらいまで光っています。その後午前2時〜3時ごろも光るようです。

撮影地でのマナー

岩場から見上げるダンボー

光に気を付ける

さきほど述べたように、ホタルは自分以外の光を非常に嫌います。光の取り扱いにはかなり慎重にしていただきたいと思います。

まず、撮影場所には車で乗り入れない。車のヘッドライトは非常に強い光です。少し離れた場所に駐車し、歩いて行きましょう。

一人で撮影しているのならまだしも、撮影スポットでは他にもホタルを撮影しているかたがいるかもしれません。そんな時にあれこれ明かりをつけていたら、他人のカメラにその明かりが写り込んでしまいます。

具体的に気をつけたい光は以下のとおり。

  • セッティングするための懐中電灯やペンライト
  • フラッシュ
  • AF補助光
  • 背面液晶やアクセスランプ
  • 携帯電話や時計の明かり

セッティング自体は本来明るいうちにすませておくべきです。なので現地の移動以外には懐中電灯などの明かりは付けないほうがいいでしょう。

フラッシュは厳禁。フラッシュを焚いたところでホタルは写りません。

AF補助光やアクセスランプなどのカメラ自体が発生させる明かりも要注意。マスキングテープやパーマセルテープで目隠しをしておきましょう。帽子やタオルで覆ってやるのもいい方法です。

その他、携帯やら時計やら、とにかく邪魔な明かりが写り込まないよう、細心の注意を。

 地元の住民のかたへの配慮

ホタルが生息している場所は静かな場所であることがほとんどです。毎年ホタルの光を見ることができるのも、地元の住民のかたが美しい自然を守ってくださっているおかげです。感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。

大きな声で話したり、騒音を出したりしないよう注意しましょう。ゴミなども厳禁ですよ。

また、ホタルを見に来るのはなにもカメラマンだけではありません。ホタル観賞にこられる一般のかたもたくさんいらっしゃるでしょう。三脚などで道を塞いでしまうなど、普段気にしている撮影マナーにも注意したいものです。



合成か?長時間露光か?

iMac

え?合成すんの?そんなの邪道じゃねえの!?って思ったかたいませんか?

もちろん長時間露光で撮ることも可能です。とはいえ、ログカメラ的には合成をオススメしています。

その理由として

  • 露光時間の計算のしにくさ
  • 長時間露光中に光が入ることによる失敗

この2点があげられます。とにかく、長時間露光の一発勝負では失敗しやすい!

ホタルの撮影地は暗いところとはいえ、一晩中真っ暗な場所ってこの日本そうそう無いのです。何度もホタルの撮影していますが、1回の撮影で必ず1度は車が通過したりだとか、ホタルの観賞に来たかたが誤ってフラッシュ焚いたりだとかのハプニングが発生します。

長い時間かけてホタルを撮影するのですから、そりゃあ成功させたいですよね。せっかくなら。

とうわけで、今回のホタル撮影は比較明合成という方法を使います。後で詳しく解説しますが、以前記事にもしているのでぜひコチラも参考にしてみてください。

比較明合成(コンポジット)の撮影方法と必要な道具〜その1「比較明合成とは」

比較明合成(コンポジット)の撮影方法と必要な道具〜その2「実践編」



撮影に必要なもの

D750にストラップを装着

ここでは撮影に使うものを、必ず必要なものとあったほうがいいものにわけて紹介してみます。

必ず必要なもの

  • ISO・シャッタースピード・絞りが設定できるカメラ
  • 明るいレンズ
  • 三脚
  • レリーズ
  • ライト
  • 長袖・長ズボン
  • 比較明合成ソフト

では、ひとつずつ見ていきましょう。

ISO・シャッタースピード・絞りが設定できるカメラ

一番のオススメは一眼レフカメラ。ですが理屈としては、ISO、シャッタースピード、絞りが設定でき適正露出が得られれば撮れるはずです。

ただホタル撮影では比較的高めのISO感度で撮ることになります。できるだけ高感度に強いカメラがいいでしょう。熱ノイズなども心配なのでやはり安心なのは一眼レフカメラです。

最近はAPS-C機もかなり高感度強い機種が出てきていますしね。AFはそんなに影響しないのでエントリー機でも十分いけます。

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明るいレンズ

ゲンジボタルは案外明るく光ってくれるので暗いレンズでも撮れないことはないのですが、それでも感度を上げてノイズを乗せるくらいなら明るいレンズを用意したほうが安心です。

APS-C機で24mm〜35mmくらいが撮りやすい画角ですが、50mmなどの中望遠でも面白い絵がとれます。

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【機材紹介】軽くて安い!Nikonの35mmについて語ってみる【AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G】

三脚

ホタルをどれくらいうじゃうじゃするかによるのですが、それでも長い時間露光することになります。途中少しでも画面が動いてしまったら、背景がブレた写真になってしまいます。できるだけしっかりと固定できる三脚を選びましょう。

レリーズ

ケーブルレリーズ、リモートコードといった名称でも販売されています。

カメラ本体のシャッターを切ってしまうとどうしてもブレてしまうので、コードで繋いで手元でシャッターが切れるのがレリーズです。同じ写真を長秒シャッターで何枚も撮ることになるので、連写状態で固定できる物を選びましょう。

タイマー機能が付いている高価なものもありますが、今回は特に必要ありません。

Nikonであれば純正品のこれなんかがそうです。

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ライト

できるだけ明かりはつけないほうが望ましいのですが、それでも夜の真っ暗な時間での撮影になります。撤収時で足元を照らすためにライトは必ず用意しておきましょう。

懐中電灯とか大げさなものよりペンライトみたいな小さいもののほうがかさばらないのでよいと思います。

カメラの撤収時、両手を塞ぐことがないのでヘッドライトもオススメです。ヘッドライトの中には赤色の明かりをつけることができるものがあります。白色灯は暗闇に慣れた目にはけっこうきつかったりするのですが、赤色灯なら眩しい感じがないので、ぜひこの種類を選びたいですね。

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長袖・長ズボン

初夏の蒸し暑くなってくる季節。思った以上に虫がいます。

なるべく肌の露出は控えたほうがいいでしょう。サンダルなども同じ理由で避けたほうがいいです。夜になるとわりと涼しいので初夏の頃なら1枚くらい羽織るものもあってもいいかもしれませんね。

比較明合成ソフト

アプリケーション

今回ご紹介する方法では比較明合成をします。ということで比較明合成できるソフトが必要です。以下にご紹介するのはどれもフリーソフト。ありがたやありがたや。

僕はMacユーザーなのでStarStaXを使用していますが、非常に扱いやすく直感的に使える非常に良いソフトです。比較明合成だけでなく比較暗合成やダークフレームでの熱ノイズ除去などの機能も搭載しています。

マカーの方は他にPhotoshopくらいしか選択肢がないのでフリーソフトならほぼ一択だと思います。またWindows機でも使用可能。使いやすいソフトなのでぜひWinユーザーのかたも試してみてください。

海外のソフトなので全て英語なのですが、ほとんど問題なく使用できると思います。以前に使い方を詳しく書いていますのでこちらも参考に。

Macで比較明合成(コンポジット)をするならStarStaXが超オススメ!

あったほうがいいもの

  • 傘・雨具
  • パーマセルテープ/マスキングテープ
  • ぬかるんでても大丈夫な靴
  • カメラにかけられる布やタオル
  • 熊鈴
  • 折りたたみのイス
  • 時計

なければ無いでなんとかなるのですが、あったら便利なものたちです。

傘・雨具

ホタルはどうしても梅雨時期の撮影になります。急に雨が降り出すなんてことも少なくありません。雨具や折りたたみの傘などを用意しておくと安心ですね。

僕はお守りとしてモンベルの折りたたみ傘を持っていっています。豪雨では使い物になりませんが、非常にコンパクトに折りたたむことができるのでカメラバックの隅に入れておくのに便利です。

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パーマセルテープ/マスキングテープ

アクセスランプの目隠し、ピントリングの固定などいろんな場面で活躍してくれるパーマセルテープ。

粘着跡が残らないのでカメラやレンズに貼るのに安心です。気にしなければピントやズームは固定しなくても構いませんが、ない場合はアクセスランプや液晶を隠せるよう帽子やタオルなどを用意しましょう。

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ぬかるんでても大丈夫な靴や長靴

雨の多い時期、当日は晴れていても暗い森の中など降り続いた雨が乾ききっておらず、案外ぬかるんでいることが多いです。

長靴やぬかるんでても大丈夫な靴を用意しておくと安心です。僕はいつも登山用のゴアテックスの靴を履いていきます。

カメラにかけられる布やタオル

他のカメラマンがいらっしゃる場合、アクセスランプは非常に目立ちます。パーマセルテープが無い時などは覆いかぶせることができる布やタオル、帽子などで光を遮ってやりましょう。

熊鈴

市街地に近い場所なら必要ありませんが、場所によっては山あいの非常に暗い場所での撮影になることも少なくありません。地域によっては熊の生息地だったりしますので熊鈴があると安心です。

また、暗闇の中なので他のカメラマンとすれ違っても分からないことがあったりします。自分の場所を知らせることもできるので便利です。

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折りたたみのイス

1回の撮影で1〜2時間くらいの長時間露光になります。ずっと立ってるのも大変なので折りたたみの小さいイスがあると便利です。ただ、場所によっては混雑しているところもあるのでそういった場所では控えましょう。

僕はGRIVELの折りたたみイスを使っています。かなりコンパクトにたたむことができるのでホタルに限らず長時間撮影の時には重宝しています。

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時計

ホタルを撮っている時は時間を確認することも多いです。スマホなどは明かりがキツイので蛍光塗料が塗ってあるような時計があると便利ですね。



撮影方法

目を光らせたダンボー

やっと撮影方法まで来ましたね。長い。

ここまでちゃんと読んでくれているか非常に不安なのですが、もうちょいかかります。適当にすっとばしながら読んでください。

撮影前のセッティング(PM6:00ごろ)

暗くならないとホタルは出てこないのですが、暗くなってから現地に着いたのではピント合わせや設定ができません。比較的に明るい時間帯のうちに現地入りしておきましょう。

まずはカメラの設定をホタル用に変えておきましょう。

カメラの設定

長時間のノイズリダクションをOFF

Nikonのカメラであれば「長秒時ノイズ低減」をOFFにします。

長時間露光していると、ポツポツとした明るい点がノイズとなってでてきます。このポツポツは同じ所に出てくるのでノイズリダクションをかけておくとそれを計算して取り除いててくれます。

しかし、1枚撮影するとそのノイズの除去に同じ時間だけかかってしまうという欠点があります。連写で複数枚撮りたいのにこれだと1枚シャッターを切る度にいちいちノイズリダクションをはじめてしまいます。なのでOFFにしておきます。

手ブレ軽減機能をOFF

NikonのカメラならVRがそれにあたります。三脚に乗せて撮るので手ブレ補正は必要ありません。それどころか、三脚を使用した場合手ブレ軽減機能をONにしているとき微妙にブレることもあるようで、各メーカでは三脚の使用時には手ブレ補正を切っておくことを推奨しているところが多いです。

オートフォーカス(AF)もOFF

ピントを決める時はオートフォーカスで合わせてもいいのですが、ピント合わせが終わったらAFはOFFにしておきましょう。AF切るのを忘れてて、いざ暗くなって撮影!となった時シャッターボタンを押したらAFが働いてピントがずれた、なんて経験があります。

せっかく三脚にのせてピント合わせするのでライブビューを見ながらマニュアルで合わせるのがいいかもしれません。

AF補助光をOFF

初期設定のままだとAF補助光がONになっている場合が多いです。暗い中で光らせるとひんしゅくを買うので切っておきましょう。

ホワイトバランスやISO感度などのオート設定もOFF

オート設定にしているとホワイトバランスやISOが時間によってコロコロ変わってしまうので切っておきます。

RAWで撮るか?jpgで撮るか?

?ダンボー

ホタルの撮影では撮影枚数が膨大となってしまいます。僕も多い時で100枚くらい合成します。

そこで気になるのがRAWとjpgどちらで撮るか。

ここはみなさんのHDの空き容量しだいになってくるのですが、やはりオススメはRAWです。

現場での露出がもしかしたらうまくいってなかったりしても、RAWで撮っておけばかなり情報が残っているので安心です。ホワイトバランスも現像の時に微調整できますし。なので僕はいつもRAWで撮影しています。

最近ではHDDもだいぶ安くなってきていますし、いっぱいになったら外付け増やせばいいですしね。

ハードディスクドライブがいっぱいになったので写真のバックアップについて考えてみた

構図の決定とピント合わせ

渓流とホタル

構図

カメラの設定を終えたら次はいよいよ構図を決めます。

ホタルの撮影で何が難しいって、ホタルが飛んでいないのに構図を決めなくちゃいけないということです。すげえ良い構図を見つけたのにそこにはホタルが飛んでこなかった、なんて経験よくあります(笑)

一番いいのは自分のホームを見つけて何度も足を運ぶことです。どこでどんな風にホタルが飛ぶのかわかっているとのわからないとでは作品の完成度がまったく変わってきます。

まずはホタルをきちんと撮れるような場所を把握しておきましょう。初めて行く場所?そこはもう心の眼でホタルを見て構図を決めてください(/・ω・)/

背景を考える

ホタルを撮り始めたころは、その光がきちんとカメラに写るだけですごく楽しいのですが、人間だんだん欲がでてきます。

ホタルが飛んでいて美しい背景をいかに一緒に写しこむかが、ホタル撮影の醍醐味かな、なんて個人的には思っています。いろんな場所でいろんなアイディアを試してみてください。

上の写真は渓流の上を舞うホタル。他にも人工物や星、田んぼなどいろいろ思いつきますね。斬新なものが撮れたらぜひ教えて下さい。ぱくr……ゲフンゲフン。僕も参考にさせていただきますので!

ピント合わせ

さて、暗くなるまでに最高の背景で最高の構図を決めたらピント合わせをしましょう。

  1. 背景がハッキリ分かるように絞った写真を撮影
  2. 暗くなってから絞りを開けて明るくホタルを撮る

といった手順で撮影します。

暗くなってしまうとピント合わせはできなくなりますので慎重に。

バッチリピントを合わせたらパーマセルテープでピントリングを固定しておきましょう。ズームレンズの場合はズームリングも一緒に固定。これでなにかの拍子で触ってしまって写真がずれてしまうのが防げます。

時期的には初夏から夏にかけての撮影ですので結露することは少ないと思いますが、気になるかたはレンズにヒーターをつけておいてもいいかもしれません。

まあ、めんどくさいですよね。すっ飛ばしても撮れると思います(白目

面倒くさくてもピントだけはちゃんと合わせてね。

背景用の写真の撮影(PM7:00〜7:30)

ホタル 背景用の写真

日が暮れ始めてうっすらと暗くなってくるころ。すこしづつホタルの光が見えてきているでしょうか?

この時間のうちに背景用の写真を撮っておきます。この後は絞りをなるべく開けて撮ることになるので被写界深度が浅めになります。ここできちんと絞った写真を撮っておきましょう

また、満月の夜などはわりと背景が写りますが、新月などは真っ暗になってホタルの明かりしか撮れなかったという経験もあります。

ホタルの撮影(PM7:30〜ホタルが飛ぶ時間)

背景用の写真を撮り終えたらいよいよホタルの撮影を始めましょう。

 

ホタルの光の写真

さて、一番みなさんが気になるのはその設定だと思います。ますは

f/2.0 ISO 800 シャッタースピード20秒 or f3.5 ISO 1600 シャッタースピード30秒

くらいの設定で試してみましょう。

多くのキットレンズはf値3.5スタートだと思います。ホタルでキットレンズを使うとISOを1600まであげないといけないんですね。これが明るいレンズをオススメする理由です。

最近の機種はだいぶ高感度が強くなっているのですが、お手持ちの機種の中には1600まであげると辛いものもけっこうあると思います。僕のD5100なんかもそうです。

まあ、あまり心配しなくてもゲンジボタルの光は案外強いのでもう少し暗めの設定でも写ります。

上のサンプルではf/2.0 ISO 320 SS15秒です。f3.5ではISO 800 SS20秒くらいの設定が同じ露出になりますね。

実際の場面場面で最適解は変わってきますがとりあえず

明るめ
  • 単焦点レンズ f/2.0 ISO 800 SS20秒
  • キットレンズ f/3.5 ISO 1600 SS30秒
暗め
  • 単焦点レンズ f/2.0 ISO 320 SS15秒
  • キットレンズ f/3.5 ISO 800 SS20秒

こんな感じでやってみると失敗は少ないと思います。ご自分のカメラの高感度具合に応じて調整してみてください。

(シャッタースピードを30秒以上にしてISO感度を落としノイズを減らす手もあるのですが、そういった場合は別途タイマーレリーズが必要になります。)

比較明合成ソフトで合成

StarStaXで合成

さて、上手にホタルの写真は撮れたでしょうか?

あとはお家に帰って合成します。

さてさて、今回の比較明合成という手法なのですがなんだか画数が多くて目がチカチカしますね。これは

比較してるいところを合成する

という合成手法なんです。ちょっとイメージできますか?

例えばこの2枚の写真

ヒメボタル 道路

ヒメボタル 懐中電灯

これはホタルをとっていた時に懐中電灯を持った人が途中でカメラの前を横切った2枚の写真。これを比較明合成すると

比較明合成したホタルの写真

こんな感じに。複数枚の写真を比較して明るいところだけを上に合成していくんです。

 

ホタルの撮影であれば、時間の経過によってどんどん周りが暗くなり、ホタルの光だけが写真に写ります。その光だけを何枚も何枚も重ねていくんですね。

実際にホタルの光跡を比較明合成した様子がこちらです

どうですか?イメージできましたか?では、具体的にどのように合成していくか見てみましょう。

ファイルを開く

StarStaXでホタルの比較明合成

このフォルダのボタンを押すと比較明合成をするファイルを選択できます。取り込んだ写真を選びましょう。

StarStaXでホタルの比較明合成

こんな風にファイルが並びます。

合成する

StarStaX合成

右端のボタンを押すと合成が始まります。

StarStaXで比較明合成したホタルの写真

計115枚の合成写真がコチラ。うじゃうじゃですね。15秒×115枚なので約30分の露光時間に相当します。

StarStaX 保存

最後にこのフロッピーのアイコンを押すと合成した写真を保存できます。たったこんだけ!楽チーン!

さらに完成度を上げるためにダーク減算(面倒ならすっ飛ばし可)

さきほどカメラの設定の項で長時間ノイズリダクションをOFFにしました。

これをOFFににしているため長時間で撮影していると長時間ノイズが乗ってきます。

山王寺の棚田 星

先日撮影した棚田の写真。およそ1時間半の撮影。ブログにあげている写真は小さいので上手く撮れてるように見えますが長時間ノイズ

拡大してみると、このように長時間ノイズが発生しているのがわかります。画像編集ソフトのスタンプツールなどでひとつずつ取り除いてもいいんですがめんどくさいですよね。

ダークフレームを撮影しておく

この長時間ノイズ。ランダムに出てきているように思いますが、実は規則性があり、同じ環境であれば同じ場所にノイズが発生するのですカメラに搭載されているノイズリダクションはその特性を活かし、ノイズが出ているところを計算し、撮影画像から引いてくれるのです。これが減算です。

けど、ホタルの撮影でいちいちノイズリダクションかけてたら大事な露光時間が少なくなってきてしまいます。

ではどうしたらいいか?

実はStarStaXにはこのノイズリダクションと同じ原理で減算することができるのです。

同じ場所に写るということは、レンズにフタをつけ真っ暗にして撮影するとノイズだけの写真が撮れます。

ダークフレーム

これをダークフレームと呼びます。

この写真をStarStaXで合成する際にダークフレームとして1枚いれておくと自動的に減算処理をしてくれます。これをダーク減算と呼びます。

StarStaXでダーク減算

このアイコンをクリック。ダークフレームのファイルを選択すると

ダークフレームの挿入

このように一番最後に「Dark images」という項目が増えます。そして先ほどと同じように合成処理をすると自動的に長時間ノイズを減算しながら比較明合成してくれるのです。賢いですね!

ただ、今回のサンプルのように30分くらいだと気になるノイズも少なかったりします。あんまり面倒ならこの処理を省いてもいいかもしれません。んが、やはり完成度を上げたいなら一手間をかけたいですよね。

まとめ

疲れた!

いかがだったでしょうか?むちゃくちゃ長かったのでどれだけの人が途中離脱しているかとても不安なのですが、なるべくわかりやすいようにホタルの撮り方を説明できたと思います!

ホタルは一番好きな被写体の一つなのですが、みなさんもその魅力にトリコになってもらえればなーと思います。やたら難しい単語やら説明できてないところなどあるかもしれませんので、わからないところがあればぜひご質問ください!

そして、いいホタルの写真が撮れたらぜひ見せていただければ幸いです。んで、いい場所教えて下さい(ゲス顔

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