このような星空がグルグル回っているような写真をみたことあるでしょうか?
北の空にカメラを向けてシャッターを開けっ放しにしてやると、地球の自転によって星の描いている奇跡を撮影することができます。
この写真だと北極星をいれているので、そこを中心にしてまるでグルグルと円を描いているような写真になるわけですね。
ただし、このような写真を撮るには30分から1時間シャッターを開けっ放しにしてやる必要があります。
デジタル一眼レフでは長時間シャッターを開けているとノイズが入ってきますし、光が少しでも入りすぎると簡単に白とびしてしまいます。
どちらかと言うとこういった写真はフィルムのほうが撮りやすいのですが、それでも1時間の間なにかに邪魔されること無くシャッターを開けているというのはなかなか難しいものです。
そこで活用したいのが今回ご紹介する比較明合成(コンポジット)という写真を合成する方法です。
比較明合成(コンポジット)とは
先程も述べましたが、長時間露光はいろんな写真が撮れて非常に楽しいのですが1時間もシャッターを開けているといろんなリスクがあります。
ノイズが出てくるかもしれないし、露出の設定がうまくできていないかもしれない。そもそもピントがあってなかったり……しかもそれらが分かるのは1時間シャッターを開けていたあとなのですね。
今でもフィルムで長時間露光をされているかたもいらっしゃいますし、それも写真の楽しみの一つです。けど、せっかくならうまく撮りたいですよね。
短時間露光した写真をたくさん撮り合成(コンポジット)する方法
デジタル技術の発達で比較明合成という写真合成ができるようになりました。
30秒程度の露光時間であればノイズが乗ることもないし、露出の設定ミスで白とびすることもありません。現地でのテスト撮影も思う存分することができます。
その30秒程度の写真を連続して60枚とれば、合計30分の連続した写真が撮れるわけです。
そうやって撮った連続した写真を明るくなった部分だけ重ねて合成していくのが「比較明合成」というわけです。
字面のとおり、明るい所を比較して合成する方法、なんですね。
コンポジットというのは複数のものを合成あるいは組み合わせたものをあらわすのでこういった 撮影の仕方をコンポジット撮影といったりします。
コンポジット撮影の方法
合成の素材となる写真を撮るには三脚とレリーズを用意しメインの被写体が動ないようにしてやります。
そうやった上で、星やホタルなど好きな時間たくさん枚数撮ります。
コンポジット撮影の基礎知識
星景写真(比較明合成)の撮影と後処理方法 | 星空が好き、猫も好き
カメラの設定やレンズの選び方、被写体などこちらのサイトが詳しく説明されているので参考にしてみてください。
さてさて、こうやって撮影した素材を合成してやるのが今回の本題なのですが比較明合成をするには別にソフトを用意してやる必要があります。
比較明合成ができるソフト
SiriusComp
Windows7、VISTA、XPなどで動作する比較明合成のフリーソフト。
RAW形式での処理にも対応しています。国産ソフト。
KikuchiMagick
こちらも国産の比較明合成のフリーソフト。
僕がお会いしたカメラマンの方はKikuchiMagickユーザーが多かった気がします。
Macの比較明合成ソフト「StarStaX」
先ほどご紹介したとおりWindows機は国産でフリーの比較明合成ソフトってけっこう充実しているのですが、ことMacになるとほとんど選択肢がないのが現状です。
Photoshopで比較明合成をするという手もあるのですが、 いかんせん値段も高く敷居がたかいのですよね。
そこで!今回ご紹介したいのが「StarStaX」です。
Macで比較明合成するならほぼこれ一択になるのではないでしょうか?しかし、海外製ということもあり全て英語なのでちょっと敬遠してしまいがちだと思います。
ただ、インストールしてしまえば使用するのはほんと直感的にできるので、インストール方法から実際に比較明合成をするまで説明してみます。
インストールの方法
ダウンロード
まずはStarStaXのダウンロードページに飛びましょう
ページに飛ぶと 09)Download and Installation という項目がありますね。
Mac OSがMavericksより前のバージョンの人は「ここをクリック」の所を、Mavericksのかたはその下の「StarStaX−0.60- experimental_Mac_10.9.dmg」からダウンロードしてください。
最新OSのMavericksでは公式には対応していないようですが、問題なく動いているようです。公式に対応するのはバージョン0.70からを予定しているようです(2014年4月20日現在)
バージョン0.70になっています。MacのOSは10.7(OS X Lion)-10.10(OS X Yosemite)がサポートされています。(2015年5月24日追記)
また、WindowsやLinuxユーザーのかたはその下にファイルがあります。
ちなみにWindow機はこちらからダウンロード。
32bitか64bitの2種類あります。ご使用のOSで選びましょう。
Linuxはこちらから。Linuxの知識が皆無なので不安ではありますが(;´Д`)
余談ですが、StarStaXはフリーソフトではありますが寄付も募っています。使ってみていいなと思ったら今後の開発のため「Support StarStaX PayPal」から寄付ができます。
dmgファイルを解凍
僕の使っているMac OSのバージョンはOS X Mountain Lionです、それで説明していきますので、以前のバージョン、もしくはMavericksのかたは少し違うかもしれませんがご了承ください。
dmgファイルをダウンロードしたあと、解凍します。
するとこのようなフォルダができます。StarStaXのアイコンを「Applications-Drag StarStaX here to install」のフォルダにドラッグしてやります。
ドラッグしたあとFinderの「アプリケーション」フォルダからStarStaXをクリックするとこういったダイアログが表示されます。
「開く」を選んでやると起動します。
うまくいかない時
Mountain LionからGatekeeperという機能が追加され、インターネットからダウンロードされたアプリはデフォルトではインストールできないようになっていることがあります。
Controlキーを押しながら解凍したり、Gatekeeperの設定を変えてやると解凍できます。以下のサイトも合わせて参照してみてください。
OS X 10.8(Mountain Lion)でダウンロードしたアプリケーションがインストール(もしくは起動)出来ない
ネットからダウンロードしたアプリがインストールできない時の対処法|Mac
StarStaXの画面
さて、無事にインストールできた方はこのような画面が表示されていると思います。
ここからはMacのアプリよろしく、かなり直感的に作業できます。英語だからといって肩肘張らなくても大丈夫ですよ♪
アイコンの説明
左上にあるアイコンで基本的なことはほとんどできます。
- ①素材になるファイルを選択するボタン。その下にある「Drop Images Here」に直接ファイルをドラッグ&ドロップしてもOKです。
- ②ダークフレームを選択するボタン。ダークフレームを撮っておくことでノイズが軽減できます。(参考:ダークフレームについて: 天体写真とか・・・ )よくわからなければすっとばしても問題ないです。
- ③比較明合成をしてできた写真を保存するボタン。
- ④選択した素材を比較明合成するボタン。
その横にあるボタンは素材の写真や比較明合成したあとの写真をチェックする際に大きくしたり小さくしたりするボタンです。
- ⑤写真を大きく
- ⑥写真を小さく
- ⑦写真をウィンドウにフィットさせる
- ⑧写真を等倍でチェック
画面の右のほうにもボタン等見えますね。
StarStaXは比較明合成だけでなく比較暗合成などいろんな合成の仕方を選べたり、設定をしたりヘルプがあったりするのですが今回の比較明合成では使うことがないので割愛します。
実際にStarStaXで比較明合成してみる
それでは実際にStarStaXで比較明合成してみましょう。
今回サンプルで使うのは先日撮ってきた与一野のしだれ桜の北天の写真です(満開の与一野のしだれ桜)
AF-S DX NIkkor 35mm f/1.8G とD5100で撮影。
ISO250 f/2.8 露出補正なし SS15秒で110枚ほど撮りました。約30分の露光時間になります。
①のファイルボタンを選んで素材の写真を選択します。直接ドラッグ&ドロップしてもOKです。
「Open」をクリックするとこのようにズラッとファイルが並びます。間違えたなら下の「Clear images」を選べば消えます。
ダークフレームがあれば②のボタンから同じように選択することができます。
準備ができたら④のボタンを押すと比較明合成が始まります。比較明合成の様子は動画のように星が動いてるのが確認できると思います。
⑤⑥⑦⑧のボタンを使って拡大、縮小してみておかしなところがないかチェックしてみましょう。
意図にそぐわない写真があればチェックボタンをクリックすることで合成の写真から除外することができます。
星の写真なら余程のことがないかぎり使いませんが 例えばホタルの写真などでは露光中に車が通りすぎたり、意図しない光が紛れ込んだりすることがあるので1枚1枚確認しましょう。
比較明合成した写真
StarStaXで実際に比較明合成したのがコチラの写真になります。
気に入った結果になったのなら③のボタンで完成したイメージを任意のフォルダに保存することができます。
まとめ
英語のソフトとうことで若干取っ付きにくい部分がありますが、実際使用するとかなり直感的に使うことができると思います。
Macで比較明合成するならこのソフトでほぼ一択ではないでしょうか。
コンポジット撮影も難しそうに思えますがやってみれば意外に簡単ですし、できあがる絵は普段目にできない幻想的な写真になるので非常に楽しいです。
今からは暖かくなりますし、夜空の写真を撮りにでかけるのはいかがでしょうか♪