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全国1億3千万人のNikonマニアのみなさんこんにちは。
いよいよZマウント初となるマイクロレンズ「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」が発売されました!頑なにマクロレンズのことをマイクロレンズと呼び続けるNikonさん。そんなマイクロレンズをわたくしsaizouも発売日にゲットできたので今回はそのレビューをしたいと思います!
デジタルカメラマガジン7月号でもレビューさせていただき写真やら記事やら載せてもらってるのでまだの方はこちらも合わせてどうぞ!
[blogcard url=”https://logcamera.com/21dcm7/″]まずは作例から!
まずは作例からご覧になってみてください。このレンズでこんなのが撮れます。
マイクロレンズは以前、シグマの180mmを持っていたのですが、イマイチ使いこなすことができず手放してしまいました。今更ながら考えてるとなんで使いこなせなかったかというと、普通のレンズのつもりで撮っていたからかなと猛省しております。
マイクロレンズ、やはりその名のとおり近接域でゴリッゴリに寄ってとらないとおもしろさがわからないのではないかと思いました。
逆を言えば、小さいものにめちゃくちゃ寄ることで日ごろ見えなかったであろう世界が見えてくるというのはこのレンズの醍醐味のひとつと言えるのではないでしょうか。
ピント距離を最短撮影距離にしておいて、そのへんの草むらにカメラとレンズ突っ込むだけで見たこともない童話の世界のようなシーンを撮影できるのはすごい。
アイデア次第でいろんな作品が撮れそうですね!
けっこう勘違いされがちなんですが、マイクロレンズは近接撮影専用というわけではありません。
単焦点レンズとして、風景撮影なんかもバッチリいけます。ボケだけではなく、解像感も素晴らしいレンズなのでガンガン使いたおしましょう。
マクロレンズによくある誤解!マクロも単焦点だし別に何撮ってもいいんだよ!
スペック
では、なんとなくこんな写真が撮れると分かったところでスペックから見ていきましょう。
大きさ
全長は140mm。大三元レンズであるNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 SとNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sを横に並べてみましたが、ちょっとだけ105mmが頭が飛び出ている感じですね。
とはいえ、質量は630gと非常に軽く、片手でも軽快にハンドリングできます。ちなみに24−70mmで805g。
フィルター経は62mmです。
最短撮影距離
最短撮影距離は撮像面から0.29m。かなりがっつり寄ることができますね。最大撮影倍率は当然1倍。
[blogcard url=”https://logcamera.com/satuebairitu/″]最短撮影距離での作例。花のシベもこんなに大きく切り取ることができます。
105mmのマイクロレンズは初めてですが、ワーキングディスタンスがちょうどいいですね。これまでDXの40mmやFXの180mmなんか使ったことがありますが、個人的には105mmがしっくりくる気がします。
レンズ性能
ボケ
まず特筆すべきなのがボケの美しさ。いやまあ、これ半端ないです。
最近のNikonさんがもっとも力を入れているのが3次元点な立体感のあるボケ。いわゆる「カリカリ」のレンズにしてしまうと解像度は上がるものの、ボケが汚くなってしまう。そのあたりのバランスを近年ず〜っと意識してレンズ設計しているのは知っていましたが、Zレンズになってから花開いた印象はありますね。
例えばNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctなんかもそういったレンズのひとつなわけですが。
[blogcard url=”https://logcamera.com/noctsakure/″]レンズを評する言葉に「開放からシャープ」というものがあります。ここ数年のレンズは猫も杓子も「開放からシャープ」とは呼ばれてきましたが、なんかその言葉にようやくふさわしいレンズが出てきたようか気がします。それがこの105mm。
開放の等倍。マイクロレンズならではの薄いピント面ながらも合焦している部分は恐ろしいほどに解像している。にもかかわらず、そこからは非常に滑らかにアウトフォーカスしていきます。
このなだらかさが異常なほどの立体感を生んでくれます。ファインダーを覗いているとゾクッとするほどの、今までみたことのない光景。いやあ、ほんと素晴らしい。
解像
ここからは解像感をみていきましょう。Zレンズになって、中央なんてもはや解像しててあたりまえレベルなので周辺のみ比較していきます。全部等倍です。
f2.8
若干ゆるいのかな?というくらい。開放のf2.8だからプラシーボ的になんだかゆるいような気がるから、ゆるいかなという感想がでるくらい。まあふつうに解像してます。もはやZの単焦点で周辺が気になることなんてないのかもしれません。
f5.6
開放でもぜんぜん問題ないのですが、f4くらいでかなりシュッと解像したします。f5.6ではもうパキパキですね。
f8
f8くらいでピークを迎えるのかな。f5.6よりキリッとした感じ。とはいえ、ブログの写真サイズだとわかんないんですね。気になる人は買って比べてみてください。
f22
f16から回折の影響が現れ、f22くらいまでいくとだいぶモヤッとしてきます。マクロレンズなので絞ることが多いとは思いますがあんまり絞りすぎると解像感を失ってしまうので注意したいですね。できるなら被写界深度合成なども駆使したいところです。
[blogcard url=”https://logcamera.com/hishakai-kosei/″]収差
星を撮ると、レンズの性能がわかりやすかったりします。赤道儀に載せてISO2500でf2.8、f4、f5.6で撮影。露光時間で露出を合わせます。
真ん中はどうやったってきれいにうつるので右上のあたりの周辺部分を等倍にしてみましょう。
f2.8
まずは開放のf2.8。さすがにコマ収差がでてはいるのですが、とはいえ開放とは思えないくらい控えめです。これくらいであればぜんぜん開放でもいけるなという感じです。
f4
f4にすると、コマ収差が気持ち改善したかな?という感じ。これなら逆に開放でもいいですね。
f5.6
f5.6でかなり安定してきます。星像も非常にシャープ。やはりこのレンズはf5.6あたりでピークを迎えてきそうですね。
周辺減光
周辺減光も星空を撮ってみるとわりとわかりやすいですね。
こちらがf2.8の写真。周辺が少し暗いのがわかります。このへんはやはり開放かなという印象。
周辺減光もf4くらいでかなり改善します。少なくても1段絞っておけば、赤道儀での星撮影でも後処理がけっこう楽になりそうです。
逆光性能
逆光性能も、Zマウントになってから語るのがおこがましいかと思うほど良くなりましたね。
まあまあ強めの太陽を構図内に入れてどうにかこうにかゴーストがでないか試してようやく出たのがこちら。気になるようなゴーストではありませんし、なんならこんな表現ですって言い切ってしまってもいいでしょう。
フレアもかなり抑えられており、逆光時でもしっかりコントラストが出ます。
4.5段分の手ブレ補正
今回実際に比較してみてけっこうえげつないなと思ったのが手ブレ補正。このレンズ、4.5段分の手ブレ補正が効きます。こちら手ブレ補正ONでの撮影。
1/8でもがっつり止まっています。
手ブレ補正を切ってみたらこんな感じ。見事にブレました。これ、テストだからおおげさにしてるとかでもなんでもなく、がっちり脇をしめて本気で撮ってます。
100mmで1/8はブレる…。
さて、今回なんでシャッタースピードを1/8でテストしたかというと、1/8の4.5段分がだいたい1/100だからです。
一般的に手ブレがしないためのシャッタースピードは(1/焦点距離)秒といわれています。つまり、この105mmマイクロレンズなら1/100くらいのシャッタースピードなら手ブレしないわけです。その4.5段分遅いシャッタースピードである1/8。
つまり、手ブレ補正を効かせている状態では1/8まではシャッタースピードを開けることができるということですね。
105mmくらいの焦点距離なら、ポートレート撮影なんかもいけると思います。ポトレの手持ちでも105mmで1/8までいけるというのはけっこうなアドバンテージ。先にモデルさんが動いてブレそうなくらいです。
オートフォーカス
オートフォーカスはけっこう微妙です。これはZ7側の性能も問題なのかもしれません。Z7のオートフォーカス方式は像面位相差とコントラストのAF方式を最適に切り替えているとあるのですが、コントラストがはっきりしない部分では見極めるためにピントが行ったり来たりを何回か繰り返します。
フォーカスの速度も非常に遅く、フォーカスに迷いまくられると非常にストレスを感じます。
公式HPでは静音性がある、みたいなことが書いてありますがフォーカス迷っている間にけっこうウイーンウイーンいってる。僕はスチルしか撮らないので別にいいんですが、最近はムービーもがんばりまっせ!って言ってるのにこんなにウイーンウイーンいってて大丈夫なのかなと若干不安ではあります。
とはいえ、マイクロレンズであるということを考えると、基本はマニュアルフォーカスになると思いますし、オートフォーカスなんて飾りですよとジオンの偉い人も言ったのかもしれません。
マニュアルでのピント合わせ
ということで、足がなくてもやれるんだという強い気持ちでガンダムに挑む、、もといマニュアル撮影に挑んでみたわけですが、これあれですね。
Zマウントになってから基本ステッピングモーターになっているんですが、Fマウント時代の超音波モーターに比べてマニュアルのピン合わせがしづらいと思っているのは僕だけでしょうかね?
「ここや!」ってところでフォーカスとめたつもりでも若干いきすぎることってないですか?なんか微妙に使いづらいのです、最近…。
まあ、拡大表示が以前に比べて簡単にできるので、拡大してからAFでピピッと合わせてればそう問題ないんですが、このステッピングモーターでマニュアルフォーカスは撮ってて楽しくないなあ、という気分です。
ノクトなんかはその点、トルクもしっかりしているし、思ったように挙動するのでマニュアルフォーカスオンリーでもまったく気にならないし、むしろ楽しいんですよね。このへんのマニュアルの挙動を今後改善してほしいなと思います。
その他の作例
そのへんに咲いている水仙を撮影しただけでもファンタジックになるのはやはりボケが美しいからですね。
マイクロレンズを買ったらぜひ撮ってみてほしいのが水滴です。不思議な雰囲気の写真が撮れます。
バラの花にグッと近づいて撮影。ボケが美しいながらも、合焦面の解像感が素晴らしいわけです。奥の水滴が玉ボケになっているのもきれいですね。
枯れたあじさい。ピントが合っている部分からとろけるようにボケていきます。
まとめ
ということで、足早にささーっとレビューしていましたがいかがだったでしょうか。
若干気になるところもありますが、ゆうて10万チョイで買えることを考えるとコストパフォーマンス的にはめちゃくちゃいいレンズだと思います。
なによりボケが美しい、出てくる世界観がハンパない、適当にとってもそれなりの作品ができると、すばらしく楽しいレンズになっております。マクロは今までそこまで撮ってこなかったのですが、がっつりハマりそうな気がしています。
気になるかたはぜひ手にとってみてくださいね。