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35mm換算という言葉があります。これ、初心者のうちはなんのことだかチンプンカンプンな言葉なんですが、レンズやカメラを選ぶ際に覚えて置かないとちょっと困ったことになってしまう言葉。
僕がそうだったんですが、なんだかめんどくさそうだからって見てみぬふりをしていると、思ってたのと違ったレンズを買ってしまうこともあります。
今回は誰もがつまづく35mm換算という言葉を徹底的にわかりやすく解説してみようと思います!
まずは結論から
今からダーッとめんどくさい説明をねちねちやっていきますので、まずはてっとり早く結論から言っておきましょう。概要を理解してから細かい所を理解していくほうが早いと思います。
同じレンズを使っているのにカメラが違うと写る範囲が変わってくることがある
この2つの写真を見てください。一見違う写真に見えますね?これって実は同じレンズで同じアングルから撮った写真なんです!
どちらもSIGMAというメーカーのの35mmf1.4 DG HSMというレンズを使用しています。
じゃあ、これ何が違うのか?実は使っているカメラが違うのです。
1枚目はNikonのD750というカメラ。
2枚目はD5500というカメラ。
2つのカメラの違いはセンサー
じゃあ、この2つ何が違うかという、センサーの大きさが違うんです。ん?センサーってなんだ?
カメラのレンズを外してみましょう。カメラの中には上の写真のように、緑っぽい色をした、センサーというのが入っています。これは入ってきた光を記録する役目を持っています。昔でいうフィルムと同じ働きですね。
D750に入っているのは「35mmフルサイズ」、D5500に入っているのは「APS-C」。これ、それぞれセンサーの大きさのことを指す名前です。
同じレンズを使っているのにセンサーが変わると写る範囲が変わるんです。
言葉で言っててもよくわからないと思うので実際に同じレンズで違うカメラをつけてみたところを動画にしてみたのでごらんください。なんとなく言いたいことがわかってもらえると思います。途中で出てくる難しい語句も後で説明するので適宜すっ飛ばしながら。
同じレンズのことを言っているのに写る範囲が違うとややこしい
これ別に困んないじゃん、って思うかもしれませんが、実はけっこう弊害があります。
同じレンズの話をしているつもりなのに、黄色いひよこはフルサイズにつけた時の話を、赤いひよこはAPS-Cにつけた時のことを想像していると、もう何言ってるかわかんなくなりますよね。フルサイズとAPS-Cの2つの大きさだけならまだいいものの、センサーの大きさって実はたくさんあります。
現在発売されてるカメラだけでもこんなにたくさんのセンサーが。詳しくは下の記事で説明しています。
35mmフルサイズのセンサーの時の写る範囲を基準にして話そうねっていうのが「35mm換算」
いちいちセンサーのサイズごとにレンズの写る範囲があーだこーだ言ってるとややこしくなるので、とりあえずレンズの写る範囲は35mmフルサイズのセンサーのことを基準に話そうよ、っていうのが今日解説する「35mm換算」なんです。
レンズの写る範囲は焦点距離で変わってくる
焦点距離という言葉があります。
レンズの写る範囲というのは、レンズごとに設定されている焦点距離で変わってきます。
こんな風にレンズの周りに数字がふってあったり
レンズの名前に◯◯mmって書いてあるのが焦点距離です。
35mmフルサイズのミリと焦点距離のミリは別の意味
35mmフルサイズの言葉の中にもmmって入っていますね。これ、焦点距離のmmとはまた別の意味なので気を付けましょう。
35mmフルサイズというのは昔のフィルムのサイズが35mmだったことに由来した名前。焦点距離のmmっていうのは、レンズの中心からセンサーまでの距離のことを言っています。
こちらに詳しいことは書いていますが、ちょっとややこしいかもしれないので、今日のところは35mmフルサイズと焦点距離のmmは意味が違うということを覚えておきましょう。
ちなみに35mm換算の35mmは、35mmフルサイズのことを言ってますね。「35mmフルサイズのセンサーに換算した時」という言葉が縮まったものです。
画角と焦点距離
もう1つ言葉を覚えましょう。写る範囲とさっきから言っていますが、この写る範囲には角度がありますよね。なので、これを画角といいます。
例えば、フルサイズ機に35mmの焦点距離のレンズをつけた時、50mmの焦点距離のレンズをつけた時ってそれぞれこんな感じになります。
この画角、焦点距離が短ければ(mm数が小さけれれば)広く、焦点距離が長ければ(mm数が大きければ)狭くなります。この例で言えば35mmのほうが50mmより画角が広いと言えます。
さて、この35mmの画角と50mmの画角って、なんだか見覚えがありませんか?そう、さっきフルサイズとAPS-Cを同じレンズで撮り比べた時の大きさとなんだか同じような気がしますよね。さっきのはSIGMAの焦点距離35mmのレンズで、それぞれ撮影していました。
これもちょっと言葉で言っていると小難しいので実際にやってみましょう。
APS-Cに35mmとフルサイズに50mmの画角、ほとんど一緒になりますね。
では、さっきの35mm換算の話に戻してみます。
この結果から、APS-Cに焦点距離35mmの画角は「35mmフルサイズのセンサーに換算してみた時」では50mmと同じということがわかります。
このことを、APS-Cに35mmのレンズをつけると35mm換算で50mm、というふうに言うんですね。
公式をおぼえちゃおう
さて、これっていちいちレンズごとに覚えるとかなり大変です。APS-Cに85mmの時は?200mmの時は35mm換算でいくらだっけ、えーっと……。となっちゃいます。
ですが大丈夫!実は簡単に計算できる公式があるんです。公式なんてもう丸暗記しちゃいましょう。センサーサイズによって式が違うんですが、今日は2つだけでも覚えておきましょう。
APS-Cのセンサーで35mm換算する場合
APS-Cのセンサーを35mm換算するときの公式はコレです。
・焦点距離×1.5=フルサイズに換算した焦点距離
APS-Cセンサーの場合はレンズの焦点距離を1.5倍すると35mmフルサイズと同じ画角になります。例えばAPS-Cセンサーのカメラに35mmも焦点距離のレンズをつけると
・35mm(焦点距離)×1.5=52.5mm(フルサイズに換算した焦点距離)
このように、式の通りの結果になることがわかります。わかるよね?つまりAPS-Cの35mmとフルサイズの50mmはだいたい同じ画角になります。
APS-Cのセンサーは初心者用の一眼カメラが多いのですが、これらのレンズはフルサイズ機でも使えるので、APS-Cからフルサイズにステップアップした時、揃えたレンズの画角が変わってきます。
APS-C機用のレンズをフルサイズ機につけると、どうなる?互換性や焦点距離は??
・Canonは×1.6
CanonのAPS-Cセンサーは他社のものより、ちょっと小さいものを使っています。なので、厳密には1.5ではなく1.6をかけてやります。
マイクロフォーサーズのセンサーで35mm換算する場合
ミラーレス機で多く使われているのがマイクロフォーサーズというサイズのセンサー。OLYMPUSやPanasonicというメーカーのものが有名ですね。マイクロフォーサーズを35mm換算するときの公式がこちら
・焦点距離×2=フルサイズに換算した焦点距離
マイクロフォーサーズではもうちょっと計算が簡単。2倍してやればいいです。例えば
・25mm(焦点距離)× 2 =50mm
このようにマイクロフォーサーズに25mmのレンズをつけた画角とフルサイズに50mmをつけた画角は一緒になります。
マイクロフォーサーズのレンズをフルサイズにつけることはないんですが、パンフレット等で画角を35mm換算で説明していることもあるのでちゃんと覚えておきましょう。
via:交換レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO | 交換レンズ M.ZUIKO PRO | オリンパス
例えばマイクロフォーサーズのメーカー「OLYMPUS」の焦点距離300mmのレンズ。謳い文句には焦点距離300mmなのに超望遠600mmと書いてあります。
よく見てみると…
600mmの横には[1]って注釈がありますね。これHPの下のほうまでいってみると、「35mm換算」のことだよーって書いてあります。ややこしいェ……。
600mmって、フルサイズレンズでは超望遠レンズに分類されます。ただ、マイクロフォーサーズの時では焦点距離は300mmなんですね。これだとフルサイズのユーザーからするとなんだか超望遠と理解しにくいので35mm換算(300mm×2=600mm)して説明しているんですね。
ここまでのまとめ
ということで、なんとなく35mm換算のことがつかえめてきたかなと思います。つかめていたら嬉しいな。
ここまでの話をザッとまとめると
となります。
なんでセンサーが変わると画角が変わるの?なんで35mm換算っていうの?
さて、とりあえず35mm換算は以上のことを覚えておけば支障はないんですが、あれじゃないですか?なんでセンサーが変わると画角が変わるのかモヤッとしませんか?なんでわざわざ35mmフルサイズを基準にしているのか疑問じゃないですか?
僕もそうなんですが、細かい理屈を理解しないとなかなか納得できないかたもいると思うので、ここからはもうちょっと掘り下げてみたいと思います。
焦点距離を35mmフルサイズに換算する理由
上のほうで、35mm換算の35mmっていうのはフィルムに由来しているといいましたね。
今やデジタル真っ盛りなカメラですが、もともとはフィルムがメインでした。とはいえ、もうフィルムすら見たことない方もたくさんいるでしょうね。
んで、一番普及していたフィルムの規格が35mm判フィルムというものなんです。フィルムの横幅が35mmであることが由来しています。
一番普及していたので、各メーカーからカメラやレンズがわんさと作られていました。なので、デジタルしか知らない人からするとわかりにくいかもしれませんが、カメラと言ったら35mm判をイメージする人が多かったんですね。デジタルの歴史って実はまだまだ浅いのです。
だから、その頃は50mmの焦点距離って言ったら50mmの画角しかなかったし、200mmって言ったら200mmの画角しかなかったのです。
ちなみにフィルムの36mm×24mmっていうところが写真が写るとこなんですが、これと同じサイズが35mmフルサイズセンサーに使われています。35mm判と同じサイズのセンサーだから35mmフルサイズなんですね。
その後、デジタル化がすすみ、カメラを小型化するためにたくさんの小さなセンサーが世に送り出されてきました。そうなると、前述したようにセンサーの大きさによって画角が変わってくるわけです。んで、その画角を説明しようと思うとそれまで最も普及していた35mmフィルムでの画角で話をしたほうがピンときやすかったんですね。
ただ、今や完全に主流はデジタルに移行し、さらに新しく入ってくるユーザーが手にするのはAPS-Cやマイクロフォーサーズのセンサーを搭載した一眼レフやミラーレス機が圧倒的に多いわけです。なので新規ユーザーからすれば「35mm換算?は?なにそれ?」みたいなことになってると思うのです。
個人的には35mm換算に変わる尺度を作ってくれればいいなとは思うのですが、このへんはある程度長い歴史があってのことというのも理解しておきましょう。
詳しくはこちらに書いています。
なんでこんな名前なの?カメラのセンサーの由来を調べてみた! – ログカメラ
- 35mm換算の35mmというのはフィルムのサイズのこと
- それがそのままデジタルカメラのフルサイズセンサーの大きさの基準になった
- センサーの大きさの違うカメラで撮影すると同じ焦点距離でも画角が変わってくるので、35mmフルサイズを基準にすることにした
センサーが変わると画角が変わる理由
こうやって、デジタル化がすすんでくると小型でもいい写りのするセンサーがたくさん出てきます。やっぱりカメラって大きいと持ち出すのがめんどくさくなるので、小さいデジカメはよく売れました。
センサーが変わると画角(写る範囲)が変わるというのは説明しましたが、じゃあ、なんでセンサーの大きさで画角が変わるの?ってモヤッとすると思います。ちょっとこれを説明してみましょう。
焦点距離と画角の仕組み
まずは、焦点距離と画角がどういう関係になっているか見てみましょう。
レンズにはそれぞれ焦点距離が決まっていましたね。この焦点距離っていうの、そもそもは「レンズの主点から焦点までの距離」という意味です。この図のようにカメラで撮ったものはレンズの中を通りセンサーに記録されます。カメラの中心を主点といいセンサーの部分が焦点になり、その距離を焦点距離といいます。
詳しくはこちらに書いているので参照してみてください。
では、この焦点距離を伸ばしてみたらどうなるでしょうか?
点線の距離だけ焦点距離を伸ばしてみると、ご覧のとおり写る範囲が狭くなっているのがわかります。焦点距離を伸ばすと画角が狭くなるんですね。
比べてみましょう。レンズが違うとこれだけ画角に変化ができます。
焦点が一緒なのに画角が変わる理由
さて、焦点距離で画角が変わるのは理解できましたか?では、今度は焦点が同じなのにセンサーの大きさで画角が変わる理由について。
センサーが変わると焦点距離が伸びる?とか勘違いしそうですが、レンズの焦点距離はどんなカメラにつけても変わることはありません。
では、焦点が一緒なのに画角が変わるのはどうしてなんでしょうか。
この図、赤がフルサイズの画角緑がAPS-Cの画角。つけているレンズは同じです。
焦点距離や被写体への距離は同じですが、センサーの大きさで写る範囲が変わってるのがおわかりいただけるでしょうか。センサーが小さいと写る範囲が小さくなるんですね。
もう少し詳しく知りたい方は以下も参考にしてみてください。
APS-C機用のレンズをフルサイズ機につけると、どうなる?互換性や焦点距離は?? – ログカメラ
標準レンズ?広角レンズ?望遠レンズ???
レンズはその焦点距離ごとに、標準、広角、望遠なんて分類わけされます。35mm換算で50mmの焦点距離のレンズは標準レンズだから初心者でもおすすめ!なんて言葉を聞いたことありませんか?これ、きちんと35mm換算を理解しておかないとAPS-C機に50mmをつけてしまいかねません。
実際、僕がそうだったんですが、50mmのレンズっていうのは35mm換算すると75mmになり、分類としては中望遠になるんですね。なので、けっこう画角が狭いんです。
初めて単焦点レンズを購入する人は要注意!50mmは標準レンズじゃないぞーい! – ログカメラ
けど、センサーによっていちいち計算するのもめんどくさい!ということで各センサーで、レンズの焦点距離がざっくりどれくらいだと標準、広角、望遠に分類されるか表にしてみましょう。
ちなみに、よく計算してみると分かるんですが、厳密には数字を少しまるめてます。端数が出ると見づらいのと、35mmフルサイズで言うとAPS-Cだとだいたいこのレンズっていうのがある場合はそれに合わせてます。また35mmは標準だろ!とか135mmは望遠だろ!っていう人もいると思いますが、あくまで目安であり、主観です。
レンズ選びや、比較の時の何かの参考にしてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?初心者がつまづきやすくて、小難しい35mm換算について解説してみました。
徹底的にわかりやすくと大上段に振りかぶってるので、初心者のかたでこれ見て「なるほど、よくわからん」というかたがいらっしゃいましたら、どの部分がモヤッとしてるか教えていただけると嬉しいです。適宜、修正していきたいです。
一度覚えてしまうと、なんてことはないですし、言葉で説明するより実際に違うセンサーサイズのカメラでレンズを付け替えてみたりすると案外ストンと腑に落ちると思います。
特に、最初はエントリーモデルのAPS-C機を購入し、ゆくゆくはフルサイズに行きたい!なんて人は理解しておかないとムダな回り道をしてしまうこともあります。
小難しいですが、今日のはちょっとがんばって覚えてみてくださいね(๑´ڡ`๑)